【簡単解説】Amazon ElastiCacheとは|メリット・デメリット、2つの高速エンジンを紹介
Amazon ElastiCacheとは、AWS社が提供する「データベースの負荷を軽減し、Webアプリケーションのパフォーマンスを向上させるフルマネージド型キャッシングサービス」です。本記事では、Amazon ElastiCacheの概要や利用するメリット・デメリット、2つの高速エンジンについてご紹介します。
目次
Amazon ElastiCacheとは
まず、Amazon ElastiCacheの概要を見ていきましょう。
Amazon ElastiCacheとは、AWS社が提供する「データベースの負荷を軽減し、Webアプリケーションの応答速度を高速化させるフルマネージド型キャッシングサービス」のことです。頻繁に使用するデータをキャッシュという場所に入れておくことで、ミリ秒未満という速度で取り出すことができ、Webアプリケーションにデータの転送要求を出してからデータが実際に出力されるまでの応答速度を高速化させます。また、フルマネージドサービスであるため、数クリックで手軽にサービスの利用を始めることができます。
Amazon ElastiCacheは、1時間単位の従量課金制であり、ユーザーが選択したノード数、ノードタイプ、料金モデルによって料金が異なります。1年もしくは3年で契約を結ぶと割引が適用されるノードもサポートされています。また、新しくAWSを利用する場合、Amazon ElastiCacheはAWS無料利用枠に含まれているため、最大12 ケ月間、cache.t2.micro/cache.t3.microノードの750時間分を無料で使用することができます。
Amazon ElastiCacheのメリット・デメリット
この項では、Amazon ElastiCacheを利用するメリットとデメリットについて説明します。
Amazon ElastiCacheのメリット
Amazon ElastiCacheを利用するメリットは以下の通りです。
フルマネージド
Amazon ElastiCacheは、クラウドベースのフルマネージドソリューションです。そのため、高度なキャッシュ機能だけでなく、バックアップや障害回復、監視、構成、セットアップ、ソフトウェアのパッチ適用、およびハードウェアのプロビジョニングまで全てをカバーします。これにより、企業の人的リソースをより価値の高いアプリケーション開発に集中させることが可能になります。
アプリケーションの高速化
Amazon ElastiCacheは、インメモリデータストアにより、Webアプリケーションにおける読み取りまたは書き込み操作に要する時間を 1 ミリ秒未満に短縮します。これにより、迅速かつリアルタイムに応答するWebアプリケーションの提供が可能になります。
拡張性
Amazon ElastiCacheを利用することで、アプリケーションのスケールに合わせて機能を増やしたり減らしたりすることができます。クラスターのメモリ内データを最大340TBに増やすことができたり、Redisクラスター環境において500個のシャードと500このノードまで拡張できたりします。
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Amazon ElastiCacheのデメリット
AWSがホストするサービスに限定される
Amazon ElastiCacheは、Amazonがホストするデータベースとアプリケーションにしか接続できないというデメリットがあります。
高い学習コスト
Amazon ElastiCacheに初めて触れる方にとって、操作方法を習得するのに一定の期間を要する場合があります。また、直感的なユーザーインターフェースではないため、最初は戸惑うことが多くあるかもしれません。
高価な利用料金
AWS ElastiCacheは従量課金制であるため、利用最低料金などはなく、ユーザーがサービスを利用した分だけ料金が発生します。そのため、企業によっては、消費したリソースが多ければ、その分利用料が高額になる可能性が考えられます。
Amazon ElastiCacheの2つの高速エンジンとは?
Amazon ElastiCacheは「Memcached」と「Redis」という2つのキャッシュシステムを提供しています。以下はそれぞれの特徴です。
Memcached
まず、Memcachedは、「メムキャッシュディー」と読みます。
最小の構成単位であるノード単体の性能では、Memcachedはマルチスレッドで動作するため、CPUのコア数を上げることで、性能を上げることが可能です。また、Memcachedのクラスタ(ノードの集合体)は、ノードを増やしたり・減らしたりすることで負荷を分散することができます。さらに、MemcachedはSrtingというシンプルなデータしか格納できないため、他のデータを扱いたい場合は、アプリケーション側で格納できるような型に変更する必要があります。AWSによるバックアップはサポートされていないため、バックアップを取得したい場合は、専門のツールを使用しなければなりません。
Redis
Redisuは、「レディス」と読みます。
Redisはシングルスレッドで動作するため、CPUのコア数を上げることによるパフォーマンスの向上はMemcachedほどは期待できません。クラスターのエンドポイントを持っている点が、Memcachedクラスターとの違いになります。ユーザーは、シャーディング(水平分割とも呼ばれる負荷分散方法の1つ)という機能によりノードの管理における手間を削減することが可能です。また、Memcachedがシンプルなデータしか扱えないのに対して、Redisは、さまざまなデータ型を扱うことができます。
さらに、似ている点として、Redisクラスターもノードの数を増やしたり減らしたりすることで負荷の分散ができる点が挙げられます。
以上の特徴の違いから、Memcachedはノード単体の性能を上げたい場合に向いており、Redisはさまざまな機能を利用したい場合に向いていることがわかります。そのため、利用する場合は、プロジェクトの目的に合わせて選択する必要があります。
まとめ
本記事では、Amazon ElastiCacheの概要やメリット・デメリット、2つの高速エンジン「Redis」、「Memcached」の違い、などについてご紹介しました。Amazon ElastiCacheの詳細や使い方を知りたい方は、AWS公式サイトに公開されている3つのチュートリアル動画をご参照ください。
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