本クライアントは日本を拠点とする大手ITソリューションプロバイダーであり、教育、医療、製造など多様な業界の企業向けに CMS「Drupal」プラットフォームの構築および保守を専門としています。
システムインテグレーター(SI)として、同社はDrupalのカスタマイズから導入、長期保守までエンドツーエンドのサービスを提供しています。しかし、プロジェクト数の拡大に伴い、品質を維持しながらリソースを柔軟に拡張することが難しくなっていました。
この課題を解決するため、2018年よりクライアントはCMC Japanを戦略的エンジニアリングパートナーとして選定。CMC Japanの技術力と豊富なリソースを活用し、日本国内の複数のDrupal案件を長期的に支援しています。
お客様の課題と要望
クライアントは、熟練したDrupalエンジニアの不足に直面しており、増加する案件の対応力や納期遵守に課題を抱えていました。単なるリソース提供ではなく、技術的なオーナーシップを持ち、エンドツーエンドで信頼できる開発パートナーを求めていました。
主な課題は以下の通りです:
- バージョン移行対応: 大規模システムを Drupal 7からDrupal 9へ移行し、パフォーマンスとセキュリティを強化。
- 継続的な機能開発: 企業向けDrupalサイトの新機能追加および保守を継続的に実施。
- カスタム開発: 大手食品メーカー向けに5万人以上のユーザーに対応した社内研修ポータルサイトを構築。
- パフォーマンス最適化: 医療機関向け電子カルテ管理システムの処理効率を改善し、高トラフィック環境下での安定稼働を実現。
クライアントはに対し、見積り・設計・開発を一貫して担い、エンドクライアントの期待水準を満たす高品質なDrupalソリューションを提供することを期待していました。
CMC Japanの対策
エンジニア不足と複雑化する開発ニーズに対応するため、CMC JapanはDrupal分野に強みを持つ約20名の専任チームを編成し、Offshore Development Center(ODC)モデルを採用。期的かつ安定した開発支援体制を構築しました。
このチームは日本側のプロジェクトマネージャーやBrSEと密に連携しながら、
Kanbanをベースにした柔軟かつ透明性の高い開発体制を確立。
これにより、リソースの最適化と品質・スピードの両立を実現しました。
1. 専任ODCチームによる開発体制の構築
CMC Japanは、Drupal専門エンジニア約20名で構成される専任ODCチームを設置。 Kanbanモデルを採用し、タスクの可視化と優先度管理を徹底。PM・BrSE・Tech Leadが密に連携し、透明性の高い開発プロセスと柔軟なリソース運用を実現しました。
2. 要件分析と技術レビューによる高品質デリバリー
クライアントからの依頼は、まずPMとBrSEが要件を整理・分析。
開発メンバーが詳細な調査と見積を行い、複数の実現案をメリット/デメリット付きで提示します。その後、Tech LeadとPMが技術的観点からレビューを行い、最適な解決策を決定。これにより、納期・コスト・品質のバランスを保ちながら、高い再現性をもったデリバリー体制を確立しました。
3. Drupal開発・保守とパフォーマンス最適化
各案件に応じて、カスタムモジュールやテーマの新規開発・保守を継続的に実施。
大規模サイトでは、キャッシュ設計・クエリ最適化・アクセス権限管理を改善し、システム全体のパフォーマンスとセキュリティを向上させました。これにより、システムの安定稼働と優れたユーザー体験を両立しました。
4. バージョン移行および大規模システム開発
レガシー環境では、Drupal 7からDrupal 9への移行を計画的に実施し、データ整合性と機能互換性を確保。さらに、5万人以上が利用する企業向け研修ポータルサイトでは、認証・学習履歴・コンテンツ配信などの主要機能を高負荷環境でも安定稼働できるよう設計しました。これらの取り組みにより、クライアントの大規模案件を支える基盤を構築しました。
5. 外部システム連携とナレッジ蓄積の仕組み化
SalesforceやOBICなどの外部システムとのデータ連携機能を開発し、異なるプラットフォーム間の情報整合性を自動的に維持。また、長期参画メンバーの知見を活かしてナレッジ共有とドキュメント整備を推進。これらの取り組みにより、プロジェクト全体の保守性・拡張性を高め、クライアントの継続的な成長を支援しています。
成果
長期的なパートナーシップにより、定量的にも高い成果を達成しました:
・93点以上のCustomer Satisfaction Score(CSS)を維持
直近6四半期連続で100点を記録し、技術品質とコミュニケーション力の高さが評価されました。
・100%の契約更新率
2018年以降、3か月ごとに契約を更新し、現在は2025年12月まで契約延長中。CMC Japanへの高い信頼を示しています。
・6年以上にわたる安定した協業
20名規模の専任チームにより、高い生産性と技術的信頼性を確保し、スムーズなプロジェクト運営を実現。
・高い拡張性とコスト効率
複数のDrupal案件を同時並行で展開しながら、品質とコスト効率を両立しました。
まとめ
本プロジェクトは、CMC Japanにとっても学びの多い貴重な経験となりました。
お客様の現場で生まれる課題には、業種・業務ごとに異なる背景や制約があります。私たちは、そうした現場の声に耳を傾け、「何が本当に必要か」から共に考える姿勢を何より大切にしています。
今後も、Drupalを含む幅広いシステム開発・クラウド・DX領域で、お客様の課題解決を共に進めるパートナーとして貢献してまいります。