ラボ型開発チーム:ラボ型開発チームとは何か、なぜラボ型開発チームを採用するべきなのか?
ソフトウェア開発において、クライアントとリモートで協業するための一般的なパートナーシップモデルは、ラボ型開発チームです。既存のビジネスと発展途上のスタートアップの両方にとって、ラボ型開発チームを雇うことは理想的な選択肢です。
この記事では、ラボ型開発チームとは何か、その利点と欠点、他のチーム構造との違いについて説明します。さらに、ラボ型開発チームを採用するべきか、またどのような場合で他の方法を利用するのが良いかについて、いくつかのアドバイスを提供します。
1.ラボ型開発チームとは?
ラボ型開発チームとは、顧客と開発チームが長期にわたって共同作業を行う、外部の開発チームとのコラボレーションモデルです。固定価格(Fixed Price_FP)モデルや実費精算(Time & Material_T&M)モデルと同様に、最も一般的なコラボレーションスタイルの1つです。
ラボ型開発チームと契約するとき、企業の目的に合わせて特別に選ばれたスペシャリストのグループを得ることができます。このチームは、労働法的には貴社のスタッフであり、社内チームのような形です。
しかし、専任チームの場合、従業員の管理、人事、税務、社会保険などの問題に悩まされることはありません。その代わり、開発パートナーが残りのタスクを処理する間、貴社はより高いレベルのビジネスの問題に集中することができます。
つまり、ラボ型開発チームモデルは、特定のプロジェクトの遂行に専念し、十分に吟味されたプロフェッショナルチームを提供するものです。さらに、すべての管理コストにも責任を持ちます。
1.1 一般的なラボ型開発チームでの各役割はどうなる?
チームの正確な構成は、組織の需要によります。したがって、開発チームの構成は以下のようになります。
- フロントエンド、バックエンド、フルスタックエンジニア、モバイルエンジニア
- UX/UIデザイナー
- デブオプスエンジニア
- 品質保証のスペシャリスト
- ビジネスアナリスト
- ブリッジシニアエンジニア
- プロダクトマネージャー
- プロジェクトマネージャー
1.2 ラボ型開発チームを雇う場合の価格は?
デロイトの「2020年グローバルアウトソーシング調査」(Deloitte’s 2020 Global Outsourcing Survey) では、回答者の約70%がコスト削減がアウトソーシングの最大の動機であると述べています。ここでは、ラボ型開発チームを雇うことがどのようにコスト削減につながるか説明します。
ラボ型開発チームを雇用する場合、料金体系は比較的単純です。各従業員の時給(または月給)が設定され、チームを雇ってから働いた時間(または人月)に対してのみ支払いが発生するようになります。基本的に、貴社が支払うのはこれしかありません。オフィスのレンタル、機器の購入、税金、電気代の支払いなど、チームにかかる追加費用は一切ありません。
さらに、ソフトウェアラボ型開発チームを雇うことは、人事部が各個人を個別に探すよりもはるかに迅速で低コストです。
2. ラボ型開発チームと他のモデルの違いとは?
2.1 ラボ型開発チームと請負契約の違い
専任チームモデルと固定価格モデルが混同されることがよくあります。しかし、この2つのモデルは、全く異なるビジネスニーズに対応します。
請負契約と呼ばれる枠組みでは、クライアントは、完了した作業の時間数や品質に関係なく、一定の金額を支払います。要件が明確で、作業領域が限定された短期間のプロジェクトは、この方式に最も適しています。
請負契約の最大の欠点は、過払いのリスクです。期間や作業内容の予測しにくい場合もあります。いずれにせよ、仕事が完了しなくても、請負契約で指定された金額を支払わなければなりません。
請負契約は以下のような場合に相応しいです。
- 納期が明確なプロジェクト
- 仕様が確定されているプロジェクト
- 短期間のプロジェクト
- 予定の変更がない場合
- MVP開発
固定価格モデルと異なり、ラボ型開発チームは、過払いなしで出来る限りの自由度と開発スペースで開発できます。
2.2 ラボ型開発チームとTime&Material(実費精算)モデルの比較
Time&Materialモデルも、一般的にラボ型開発チームと競合するものの1つです。
Time&Materialモデルでは、特定の機能を構築するために費やされたチームの実時間と労働力に対して、クライアントが料金を支払います。
したがって、このコラボレーションモデルは以下のような場合に適しています。
- 要件が変更される可能性があるプロジェクト
- 市場を十分に調査していない状態
- 製品の市場適合性がまだ確定していない状態
Time&Material モデルでは、広範な検討と開発の為の余裕がありますが、プロジェクト全体を通じて同じチームとコラボレーションすることは保証されません。貴社のプロジェクトに十分なタスクがない時、スペシャリストは別のプロジェクトにアサインされる可能性があります。
一方、ラボ型開発チーム/ 専念の開発チームのメリットは、コミットメントがあることです。 専念の開発チームを雇用すると、貴社のプロジェクトにのみ専念し、他の仕事を引き受けないスタッフが得られます。これこそ、まさに「専念」と呼ぶにふさわしいものです。
3.ラボ型開発チームを雇うべきタイミングは?
ラボ型開発チームは、成長の潜在性のある挑戦的な長期プロジェクトに適しています。プロジェクトにまだ製品市場適合性が認められず、開拓段階が必要とされる場合、ラボ型開発チームがお勧めです。
3.1 初期段階のスタートアップ企業
成長が期待できる初期のスタートアップであれば、ラボ型開発チームの採用を検討するべきです。より迅速にチームを作り、採用に費やす手続きを抑え、より迅速に製品を作り上げることができます。貴社のスタッフが自社の業務に専念している間に、増強されたスタッフが追加の仕事をこなします。
3.2 要件が明確ではないプロジェクト
ラボ型開発チームは、商品と市場の適合性がまだ認められず、アイデア創出の開発段階が必要な場合には良い選択肢です。創出の開発段階は、プロジェクト全体の開発メカニズムの基礎を形成するため、最終的に物事が落ち着くまで、テストやインタビューに何ヶ月もかかることがあります。ラボ型開発チームは、予算オーバーを心配することなく、創出の開発段階に集中できる必要な時間とリソースを提供します。
3.3 長期プロジェクト
ラボ型開発チームは、成長の潜在性があり、挑戦的な長期プロジェクトに適しています。プロジェクトの潜在能力を最大限に発揮させるには、その道程を支援する有能な開発者集団が必要です。ラボ型開発チームがあれば、一緒に仕事を始めた人たちがプロジェクトが完了されるまで協力します。
4. ラボ型開発チームが最適でない場合は?
ラボ型開発チームは、一見するとメリットがあるように見えますが、万能な戦略ではありません。ここでは、ラボ型開発チームを採用すべきではない場合をまとめます。
4.1 短期・中期のプロジェクト
要件が明確に定義された小規模なプロジェクトでは、ラボ型開発チームは必要ありません。職務範囲が正確に定義されている場合、割り当てられた職務を完遂するために専門家チームが必要となります。このシナリオでは、中期的なビジネスには Time&Material(実費精算)方式が適しているのに対し、短期的な取り組みには請負契約が適しています。
4.2 時間と予算が限られている場合
プロジェクトの予算が完全に決まっている場合、ラボ型開発チームを選択するのは最適ではありません。時には、専任のプロジェクトマネージャーやデザイナーが必要ない場合もあります。このような場合、望ましい成果を提供するため請負契約の方が適切です。
5 なぜラボ型開発チームを雇うべき?
ここでは、次のプロジェクトでラボ型開発チームを採用すべき主な理由を説明します。
5.1 包括的な専門知識を一カ所に集約
最近のプロジェクトでは、多くの技術に関する専門的な知識が必要になっています。例えば、一般的なWebアプリケーションやWebサイトでは、バックエンド(SQL、PHP、Java、C#など)とフロントエンド(HTML、CSS、JavaScriptなど)の両方の開発者が作業を行っています。
自分で開発チームを作るとなると、かなりのコストがかかることは否めません。しかし、アウトソーシング会社では、さまざまな技術に精通し、プログラミングに必要なスキルを身につけた開発者が働いています。
また、マーケティング、検索エンジン最適化、デザイン、ユーザーエクスペリエンスなど、他の重要な分野の専門家もラボ型開発チームの一員として、全員が一カ所に集まって作業することになります。そのため、コミュニケーションが容易になり、作業工程がより円滑に進むようになります。
5.2 法的な責任
ラボ型開発チームと仕事をする場合、相手はたった一つの組織です。正式な契約書と秘密保持契約書に署名することで、サプライヤーは貴社の機密情報を秘密にすることを強制されます。規模が大きく、評判の良い会社は、突然姿を消すことはありません。 責任を果たすことができ、法的な住所がある会社です。
5.3 最大のコミットメント
ラボ型開発チーム/ 専念の開発チームでは、「 専念」という言葉は、チームが貴社のプロジェクトに完全に専念することを意味し、これには、すべてのニーズを満たし、すべての要求を完了することが含まれます。それ以外に惑わされるようなことはないでしょう。これにより、安定性と高水準のアウトプットが保証されます。
5.4 明確なコミュニケーション
Web 開発やアプリ開発のプロセスで最も重要なことのひとつは、コミュニケーションです。プロバイダーとクライアントの両方が、お互いに十分に理解していなければなりません。そうでなければ、すべてはプロバイダーのせいではありませんが、クライアントが作業終了後に不愉快なことを経験することになりかねません。
しかし、ラボ型開発チームを利用する場合、それを考慮する必要はなありません。PMとブリッジSEがすべてのコミュニケーション・プロセスを担当しています。いつでもPMと連絡を取り、チームの誰が特定の機能に取り組んでいるのか、あるいはバグが修正されたか確認することができます。
5.5 完成後のサポート
アプリケーションやウェブサイトのリリース後、サポートやメンテナンス(新機能の追加、既存機能の更新、障害のない動作の確保)が必要になる場合があります。アウトソーシング・ソフトウェア会社と契約を締結することで、協力関係の開始時に、これらのサービスをすべて提供することができ、その後のトラブルを回避することができます。
5.6 信頼できるライセンスされたソフトウェアとハードウェア
ウェブ開発者は、企業品質のソフトウェアを作成するために、IDEs やグラフィカル・エディタなどの開発ツールの最新版にアクセスする必要があります。これらは、ほとんどの場合、大企業にしかできない投資になります。ラボ型開発チームであれば、最先端のライセンスソフトウェアやハードウェアが利用できるため、業界最高の水準でプロジェクトを実施することができます。
CMC Global は、オフショアラボ型開発チームをお探しのお客様に最適な選択肢となります。
まとめ
結論として、ラボ型開発チームは、スタートアップや発展途上のデジタル企業のあいまいなニーズを持つタスクに対して理想的な選択肢であると言えます。このようなパートナーシップは、最高の価格と厳選されたチームメンバーという点で、長期的なコラボレーションを求める企業にとって最高の選択肢です。このような観点から、ラボ型開発チームが必要かどうかご自身で判断できると思っております。
しかし、どのようなコラボレーション手法が最適か、迷うのであれば、お気軽にCMC Japanにご連絡ください。お客様のニーズに最も適した戦略を選択させていただきます。