開発環境をクラウド化するメリットとは?オンプレミスとの違い
従来のオンプレミス開発環境では、自社内のサーバーや機器に開発環境があり、特定の場所やネットワークでしかアクセスできませんでした。また、初期投資額が大きく、開発者が同じネットワークに接続する必要があるため、共同作業に制約がありました。このようなデメリットから、近年、開発環境のクラウドへの移行が促進されています。
本記事では、開発環境をクラウド化するメリットや従来のオンプレミス開発との違い、クラウド化が向いているケース、向いていないケース、おすすめのクラウドサービスについてわかりやすく解説します。
目次
開発環境をクラウド化するとは?
開発環境をクラウド化するとは、従来のローカルマシン(自分が利用しているパソコン)上で行われていた開発作業を、インターネットに接続された任意のデバイスから開発環境にアクセスし、作業が行えるようにすることです。
従来のオンプレミス開発との違い
次に、クラウド開発環境と従来のオンプレミス開発環境を比較します。
項目 | クラウド開発環境 | オンプレミス開発環境 |
アクセス | インターネット経由でどこからでもアクセス可能 | 特定の場所やネットワークでしかアクセスできない |
設定管理 | クラウドサービスが環境設定や管理を行い、手間が少ない | 自分で環境設定や管理が必要で手間がかかる |
コスト | 使った分だけ課金されるため、初期投資が少ない | 自前でサーバーや機器を用意するため、初期投資が大きい |
スケーリング | クラウドサービスにより、リソースの追加が容易 | 追加のリソースが必要な場合、手動で拡張する必要がある |
共同作業 | クラウド上で開発者が同時にアクセス・作業が可能 | 開発者が同じネットワークに接続する必要があり、制約がある |
クラウド化開発環境では、インターネット上のサーバーに開発環境があり、どこからでもアクセスが可能です。クラウドサービスが環境設定や管理を行ってくれるため、手間が少なく、リソースの追加も簡単です。また、開発者が同時にアクセス・作業ができるため、共同作業がしやすいです。
オンプレミス開発環境では、自社内のサーバーや機器に開発環境があり、特定の場所やネットワークでしかアクセスできません。環境設定や管理は自分で行う必要があり、手間がかかります。リソースの追加にも手動で対応する必要があり、初期投資が大きいです。また、開発者が同じネットワークに接続する必要があるため、共同作業に制約があります。
開発環境をクラウド化するメリット・デメリット
ここでは、クラウド開発環境のメリットとデメリットについて解説します。
メリット
開発環境をクラウド化するメリットは、まずアクセスのしやすさが挙げられます。インターネットを介して、どこからでも開発環境にアクセスできるため、複数の開発者が同時にアクセスし、共同で作業することが容易になります。これにより、チームでの開発がスムーズに進行し、効率的な開発が実現されるでしょう。
次に、環境構築や管理の手間が減ることも大きなメリットです。クラウドサービスが環境設定や管理を一括して行ってくれるため、開発者は開発に専念できます。また、リソースのスケーリングが容易になり、プロジェクトの規模が変化しても柔軟に対応できます。さらに、クラウドサービスでは使った分だけ課金される従量課金制を採択しているサービスが多いため、初期投資が少なく済む点も魅力的です。
デメリット
一方で、クラウド化にはデメリットも存在します。インターネットへの依存度が高まるため、ネットワークの不安定さや接続障害が直接開発に影響を与えるリスクがあります。また、セキュリティ面でも懸念があります。企業の重要なデータやプロジェクトがクラウド上にあるため、データ漏洩や不正アクセスへの対策が必要です。クラウドサービスの選定やセキュリティポリシーの整備が重要となります。
また、クラウドサービスのコストは、長期的に見るとオンプレミス環境に比べて高くなることがあります。継続的な使用料が発生するため、プロジェクトの期間や規模によっては、コスト面で不利になることも考慮する必要があります。
クラウド化が向いているケース
次に、クラウド上で開発することが向いているケースを3つご紹介します。
分散チームでの開発
上述したように、クラウド化された開発環境では、インターネットを通じてどこからでもアクセスが可能です。そのため、地理的に離れた場所にいる開発者が共同で作業する際に効率的です。
プロジェクトの規模が不確定
クラウド環境ではリソースのスケーリングが容易で、プロジェクトの規模が変化しても迅速に対応ができます。そのため、規模が不確定なプロジェクトや急激なリソース変更が必要なケースに向いています。
短期間での開発プロジェクト
クラウドサービスは使った分だけ課金されるため、短期間で完結するプロジェクトに適しています。大きな初期投資が不要で、プロジェクト終了後も無駄なコストが発生しません。
クラウド化が向かないケース
次に、クラウド化が向かないケースを3つご紹介します。
高度なセキュリティが求められるプロジェクト
機密性が高い情報や企業の知的財産を取り扱うプロジェクトでは、クラウド環境ではセキュリティリスクが高まる可能性があります。オンプレミス環境で厳密なセキュリティ対策を講じることが望ましいです。
一貫したネットワーク接続が難しい状況
開発者が安定したインターネット接続が難しい場所にいる場合、クラウド化された開発環境は不利です。ネットワークの不安定さが開発の効率を低下させるため、オンプレミス環境が適しています。
長期間にわたるプロジェクト
長期間にわたるプロジェクトの場合、クラウドサービスの継続的な利用料がオンプレミス環境に比べてコストが高くなる可能性があります。予算面で不利になる場合、オンプレミス環境を検討するべきです。
おすすめのクラウドサービス
最後に、おすすめのクラウドサービスを3つご紹介します。
AWS
引用元:https://aws.amazon.com/jp/?nc2=h_lg
AWS(Amazon Web Services)は、世界シェアNo.1であるAmazonが提供するクラウドコンピューティングサービスです。幅広いサービスが提供されており、EC2(仮想サーバー)、S3(ストレージサービス)、RDS(データベースサービス)などがあります。特徴として、豊富なサービスラインナップと高い信頼性が挙げられます。また、世界中にデータセンターが展開されているため、低レイテンシーでの運用が可能です。メリットとして、柔軟な料金プランや使いやすい管理画面があり、初心者から上級者まで幅広いユーザーに対応しています。さらに、豊富なドキュメントやサポート体制が整っており、トラブルシューティングや学習が容易です。
Microsoft Azure
引用元:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Microsoft_Azure_Logo.svg
Microsoft Azureは、Microsoftが展開するクラウドプラットフォームで、様々なクラウドサービスが提供されています。仮想マシンやストレージ、データベースなど多岐にわたるサービスがあります。特徴の一つは、Microsoft製品との親和性が高いことです。Office 365やWindows Server、Visual Studioなどとの連携が容易で、既存のシステムとの統合がスムーズに進みます。また、オープンソース技術のサポートも充実しています。メリットとして、エンタープライズ向けのセキュリティやコンプライアンス対策が強化されており、ビジネス利用に適しています。さらに、リソース管理や開発プロセスの効率化が可能なDevOpsツールが提供されており、開発チームにも恩恵があります。OpenAIの言語モデルも活用できるようになり、今後も活用の促進が期待されます。
Google Cloud Platform
引用元:https://cloud.google.com/?hl=ja
Google Cloud Platform(GCP)は、Googleが提供するクラウドインフラストラクチャで、多様なクラウドサービスが提供されています。Compute Engine(仮想マシン)やCloud Storage(ストレージサービス)、BigQuery(データウェアハウス)などが含まれます。特徴として、Googleが培った先進的な技術やAI・機械学習サービスが利用可能で、革新的なアプリケーション開発に適しています。また、環境に優しいリージョン設計や省エネデータセンターが採用されています。メリットとして、高速なグローバルネットワークやデータ処理能力があり、リアルタイム分析や大規模データ処理が効率的に行えます。さらに、シンプルで直感的なインターフェースや強力な開発ツールが提供されており、開発者が容易に利用できる点も魅力です。
まとめ
本記事では、開発環境をクラウド化することのメリットや従来のオンプレミス開発との違いについてご紹介しました。クラウド開発環境は、場所を問わずアクセス可能で、リアルタイムなコラボレーションが実現します。さらに、リソースの迅速なスケーリングや柔軟な課金が可能で、コスト効率に優れています。競争力ある開発環境を構築したい場合は、積極的にクラウドへの移行をおすすめします。
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