顔認証システムとは|仕組みや導入するメリット、注意点を解説
顔認証技術は、スマートフォンにおけるロック解除や決済、オフィスの入退室管理、空港のチェックイン時の本人確認など、私たちの身近なところで広く活用されている技術です。また、中国やアメリカでは、犯罪者の発見に使用されており、犯罪防止やテロ対策などの目的で利用される機会も少なくありません。そのほかにも、顧客が店舗に来店した際に、過去の接客履歴が営業担当者に通知され、参照できるようになれば、顧客一人ひとりに合わせた接客が可能になり、それが顧客満足度の向上につながるかもしれません。本記事では、私たちにさまざまなメリットをもたらす顔認証システムの概要や仕組み、導入するメリットやデメリットについてご紹介します。
目次
顔認証システムの定義
まず、顔認証システムの定義および概要をご紹介します。
顔認証システムとは、「IPカメラなどの機器と接続することで取得した画像や動画から、顔を検出し、人物を識別・認証するシステム」のことです。また、顔認証は、生体認証技術のひとつであり、AI(人工知能)のディープラーニングにより開発されます。年々その認証精度は高まっており、システムによっては、マスクやメガネを着用した状態でも正確に本人認証が行うことが可能です。
顔認証の仕組み
次に、顔認証の仕組みについて簡単に説明します。
顔認証システムは、深層学習されたAI(人工知能)により、普段私たちがお互いを識別するのと同じように人間の顔を判別することができます。具体的には、その人の目や鼻や口などの特徴およびその位置、顔領域の位置や大きさ、比率などの要素をもとに、顔認証は行われています。
また、顔認証には2つの認証方式が知られています。それらは、「2D認証」および「3D認証」です。それぞれの特徴は下記の通りです。
2D認証
画像に写っている顔の輪郭や目、鼻、口などの位置関係を認識し、システムに保存されている顔データと照合することにより人物を認証するシステムです。メリットは、既存のIPカメラと接続することで利用することができ、追加コストを支払う必要がない点です。反対に、デメリットとして、平面による識別を行うため、顔写真などでも識別されてしまうという点や、髪型の変化や化粧、使用環境(暗い場所や明るい場所)によって認証精度が落ちる場合があるという点があげられる。
3D認証
2D認証方式で認証できる目、鼻、口、輪郭に加え、赤外線センサーにより、顔の凹凸などを立体的(3D)に認識し、顔データと照合することができるシステムのことです。メリットとして、認証精度が2Dのデメリットである化粧や髪型の変更による影響をあまり受けない点や、暗い/明るいなどの利用環境の光量に影響を受けない点、顔写真を偽顔だと判断する点などが挙げられる。デメリットとして、赤外センサーが搭載された専用カメラの導入が必要であり、導入コストが高額になる可能性がある点が挙げられます。
顔認証システムを導入する6つのメリット
この項では、顔認証システムを導入することで享受できる6つのメリットをご紹介します。
高いセキュリティレベルの確保
顔認証システムは、ICカードを使用した本人確認などの問題である「なりすまし」を防止するのに役立ちます。また、顔認証システムにより、オフィスや施設などの建物内に、いつ、誰が入退場したのかを記録することができるため、事件や事故が発生した場合に、疑わしい人物の識別、特定に繋がるかもしれません。このように、顔認証システムを利用することでより高いセキュリティレベルを保証することができます。
非接触で衛生的な認証方法
顔認証システムと比較した際の指紋認証システムのデメリットは、認証精度が劣るという点だけでなく、認証デバイスを不特定多数の人が接触することによる衛生面の問題があげられます。特に、新型コロナウイルスや季節性のインフルエンザウイルスなどの感染症予防という観点からも顔認証システムの大きなメリットであると言えます。
パスワードやカードが不必要
当然ですが、顔認証においては、私たちの顔データがパスワードです。そのため、オフィスや会場に訪れる場合に暗証番号を覚えておく必要も、専用のカードを持参する必要もありません。
利用者の負担が少ない
指紋認証だと荷物を持っている時などに、いちいち荷物を一旦置いてから本人認証する必要がありますが、顔認証であれば、荷物で両手がふさがっていた場合でも本人認証を行うことができます。また、顔認証システムは、人による本人確認と比べ、瞬時に実行されるため、その点でも利用者の心理的負担を軽減するのに貢献するでしょう。
あらゆる場面で使用可能
顔認証システムの中には、大人数の顔を同時に認識できるものがあり、この長所はあらゆる場面で役立ちます。例えば、ライブ会場や遊園地、ショッピングモールでは、監視カメラとシステムを接続することで大人数の中から迷子を見つけることが可能です。また、街中においてブラックリストに載っている人物の検出も瞬時に行うことができるでしょう。さらに、温度検知機能も備えたシステムであれば、日々の従業員の体調や入退室など、高度な勤怠管理が可能になります。
受付の無人化
これまで受付担当者の目視によって行われていた本人確認も、顔認証システムを導入することで受付を無人化することができます。また、打ち合わせや面接などで来客が訪れる場合などに、訪問者の顔データを事前にシステムに登録しておくことで、訪れる当日にスムーズな来客対応が可能になります。
顔認証システムの課題や注意点
顔認証システムを導入することのメリットを上述しましたが、導入するにあたってその課題や注意点も確認する必要があります。課題や注意点は以下の3つです。
システムによって認証精度が異なる
当然ですが、全ての顔認証システムが高精度で認証できるわけではありません。導入する顔認証システムにより、その精度は異なります。例えば、顔を正面からは認識できるが、斜めからは承認できない場合や、マスクを着用したり髪型が変化したりした場合に認識できなくなる場合などが考えられます。新型コロナウイルスやインフルエンザなどの予防という観点からも、マスクを着用している状態で認証されるかが非常に重要です。
そのため、顔認証システムを導入する際には、事前に使用してみることでその認証精度を確認する等の対策が必要です。
システムによっては苦手とする利用環境がある
導入するシステムによっては、認証精度が著しく落ちる、苦手な利用環境がある可能性が考えられます。例えば、暗い環境や明るい環境、悪天候、屋外などの利用環境においても一定の認証精度を維持できるのかを確認する必要があります。自社が想定している利用環境において十分な認証精度が保障されるかを確かめましょう。
個人情報の取り扱いへの注意が必要
私たちの顔データは、個人情報保護法上で「個人情報」と定められており、取り扱いに細心の注意を払わなければなりません。万が一、本人認証という目的以外でそれらの情報が利用されたり、漏洩した場合には、刑事上の罰則以外にも数千万以上の損害賠償金を支払い、企業の信用低下につながる可能性があります。そのような事態を避けるためにも、データの取り扱い(管理や運用)に関する明確なルールを決め、全従業員に共有する等の対策が必要です。
CMC Japanの顔認証システム「CIVAMs.Face」とは?
CIVAMS.Faceの概要
CIVAMS.Face(シーバムス・フェイス)とは、当社CMC Japan独自に開発された「CMC Intelligent Video Analytics and Management Solution:インテリジェントな画像処理技術を用いた高性能映像解析・顔認識ソリューション」です。
ベトナム発の顔認証ソリューションであり、顔検出・識別、性別・年齢判定、感情認識、入退室記録などに必要な機能が搭載された顔認証ソリューションです。
CIVAMS.Faceの3つの特長
CIVAMS.Faceには、以下のような特徴があります。
①既存のIPカメラ製品に組み込むだけで使用可能
ユーザーの既存のIPカメラに、当社開発のAPIを介して簡単に組み込むことが可能です。そのため別途専用のカメラ機器を購入する必要はなく、既存システムとのAPI連携もスムーズに実行できます。また、アルゴリズム処理はクラウド上で行われます。
②99.88%の認識精度、マスク着用でも検出・認識可能
約4000枚の画像から99.88%の精度、0.2秒の識別速度で識別できる性能を備えています。マスク着用の場合でも98.5%以上の精度で認識でき、最大8人の顔を同時に認識し、60000人(ID)分の顔情報の登録・保存が可能です。
③ナンバープレート識別や動く対象物の検知も可能
顔認識に加えて、自動車やバイクなどの登録番号標の認識、不審者の侵入、火災検知、既存の勤怠管理システムとの統合など、あらゆる業種で必要とされる機能にカスタマイズ可能です。
ユースケース
ここでは、「CIVAMS.Face」をどのように活用することができるのか、そのユースケースを4つご紹介します。
①店舗にて、過去の登録情報からVIPなどロイヤリティの高い顧客を識別したり、その顧客データを従業員へ即時に通知することで、接客業務の品質・顧客満足度の向上を図ることができます。
②最大8名まで同時検出が可能であり、顧客のデモグラフィック(人口動態)をデータベース化し、マーケティング戦略に活用することができます。
③オフィスのロビー や公共スペースにて、ブラックリストに基づいた人物検知、立ち入り禁止エリアへの侵入検知など、トラブルを事前に予防するのにも役立ちます。
④自動車やバイクなどのナンバープレートを認識し、出庫管理を効率・自動化したり、スピード違反した車両に対して、ナンバープレートを記録し、違反切符の即時発行したりすることも可能です。
導入事例
ここでは、当社「CIVAMS.Face」の導入事例を2つご紹介します。
勤怠・入退室管理システム
新型コロナウイルス蔓延防止のため、既存の指紋認証からCIVAMS.Faceを使用した顔認識による勤怠管理システムを導入した事例です。約1か月の運用で99.88%の精度を実現し、従業員の新型コロナウイルス予防に有効活用されました。
店舗における接客品質・顧客満足度の向上
お客様来店時の顔認証により、顧客管理システムに記録された過去の対応履歴を従業員に表示することで、過去の接客で起きたトラブルやロイヤリティに基づいて、お客様一人ひとりに対してカスタマイズされた接客が可能になり、接客品質および顧客満足度の向上に貢献しました。
まとめ
本記事では、顔認証システムの概要や仕組み、導入するメリット・デメリットを中心にご紹介しました。また、記事の後半では、当社独自の顔認証ソリューションである「CIVAMS.Face」の概要や特徴、ユースケースなどについて紹介させていただきました。
現在、希望する企業さまへ「CIVAMS.Face」のデモを実施しております。勤怠管理システムだけではなく、ロジスティクスやECの現場における物品検知や施設の防犯・火災検知、交通量の分析、ナンバープレート識別など、ご希望に合わせたデモを実施させていただきます。顔認証ソリューションをご検討している企業様は、お気軽にお問い合わせください。