リグレッション

システム開発におけるリグレッションテストの重要性とは?

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企業は、ユーザー満足度の高いアプリケーション、Webサイト、システムを開発するために新機能の追加や修正を継続的に実施しています。しかし、その新機能の追加や修正が既存のアプリやシステムに不具合をもたらし、ユーザー体験を損なう場合があります。そのようなケースを回避するために実施されるのが「リグレッションテスト」です。本記事では、ユーザー体験を高く維持するためのリグレッションテストとは何か、実施しなかった場合に考えられるリスク、リグレッションテストを自動化するツール3選などについてご紹介します。

目次

1.リグレッションテストとは?

まず初めに、リグレッションテストの概要についてご紹介します。

システム開発におけるリグレッションテストとは、既存のソフトウェアシステムに新たな機能の追加や既存の機能の改修が行われた後に、既存の機能に問題がないかを確認するために実施されるテストのことです。つまり、新たな変更を加えても、既存の機能が正常に動作しているかどうかを確認するためのテストと言い換えられます。

リグレッションテストでは、既存のテストケースを再利用して、変更前と同じように実行します。その際に、変更した機能部分だけでなく、変更によって影響を受ける可能性のある他の機能部分も含めてテストします。

リグレッションテストを実施する利点としては、変更によって既存の機能に問題が生じていないかを早期に発見することができます。また、テストケースの再利用により、テストの効率化が図れます。

一方で、リグレッションテストの実施には、時間やコストがかかることがあります。また、既存のテストケースが不十分だった場合や、新たなテストケースが必要となる場合も考えられます。

しかし、リグレッションテストを実施しなかった場合には、変更によって既存の機能に問題が生じ、システム全体の品質が低下するだけでなく、ユーザー体験を損なう可能性があります。そのため、リグレッションテストは、システム開発において重要なテストの一つとされています。

2.リグレッションテストはいつ行われるのか

リグレッションテストの概要を確認したところで、次にどのようなタイミングでリグレッションテストが実施されるのかをご紹介します。

通常、リグレッションテストは、以下のようなタイミングで実施されることがあります。

・機能追加後のテスト

新しい機能が追加された場合、その機能の追加によって既存の機能に影響を与えていないかを確認するためにリグレッションテストが実施されます。この場合、既存の機能に変更が加えられたわけではないため、既存の機能に問題が生じる可能性は低いですが、新しい機能の追加によって影響が及ぶことがあるため、年のため確認が必要です。

・機能改修後のテスト

既存の機能の改修が行われた場合、その改修によって既存の機能に影響を与えていないかを確認するためにリグレッションテストが実施されます。機能改修によって、既存の機能の動作に影響している可能性があります。そのため、改修後に既存の機能を再度確認することが重要です。

・システムテストの前後

システムテストの前にリグレッションテストを実施することで、既存の機能に問題がないことを確認します。また、システムテスト後にもリグレッションテストを実施することで、システムテストによって新たに発見された不具合が既存の機能に影響を与えていないかを確認します。

3.リグレッションテストを実施するメリット

リグレッションテストを実施することのメリットとは何でしょうか。ここでは、リグレッションテストを実施する3つのメリットについてご紹介します。

品質維持および顧客満足度の向上

ソフトウェア開発において、新たな機能の追加や既存の機能の改修が行われることはよくあることです。その際、既存の機能に影響が出ないようにリグレッションテストを実施することで、品質の維持を図ることができます。これにより、顧客からのクレームや不満を減らすことができ、顧客満足度の向上につながります。

バグの発見

新たな機能の追加や既存の機能の改修が行われる際、既存の機能にバグが発生することがあります。リグレッションテストを実施することで、これらのバグを早期に発見し、迅速に対応することを可能にします。特にシステムやソフトウェアにおけるバグはユーザー体験を損ない、ユーザー離れにつながりかねません。そのため、リグレッションテストを実施する意義は大きく、ユーザー体験を中長期的に高く維持することにつながります。

テストコスト削減

リグレッションテストは、新たにテストケースを作成する必要がなく、既存のテストケースを再利用することができます。これにより、テストコストを削減することができます。

4.リグレッションテストを行わなかったらどうなる?

リグレッションテストを行わなかった場合、以下のようなリスクが考えられます。

不具合が見つからないままリリースされる可能性

リグレッションテストを実施しなければ、新たに開発した機能や修正した機能によって既存の機能に不具合が発生する可能性があります。このような場合、ユーザーからのクレームや問い合わせが発生し、対応に時間がかかることになります。

開発コストの増大および開発スケジュールの遅れ

リグレッションテストが行われず、後からバグが検出された場合には、その原因を特定するために時間やコストがかかることがあります。特に、バグの原因が複数の機能にまたがっている場合には、原因の特定にさらに時間がかかり、コストは増大し、開発スケジュールが大幅に遅れるケースが考えられます。

ユーザーの信頼度の低下

リグレッションテストを実施しないと、ユーザーにとって不具合が多く含まれた製品がリリースされる可能性があります。そのため、ユーザーは製品に対する信頼度が低下し、今後新しくリリースされる製品についても疑念を持つようになる可能性があります。一度失ったユーザーの信頼を回復するのは簡単ではありません。再びユーザーの信用が得られなければ、企業の存続に関わる自体へと発展しかねます。そのようなケースを回避するためにも、必ずリグレッションテストを実施しましょう。

競合製品との差別化が困難になる

リグレッションテストを実施しないと、不具合の多い製品がリリースされる可能性があります。そのため、競合製品との差別化が困難になり、市場での競争力が低下する可能性があります。

5.リグレッションテストを自動化する方法

リグレッションテストを自動化することで、手動によるテストよりも高速かつ正確で少ない工数でテストを実行することができます。以下に、リグレッションテストを自動化する方法を紹介します。

テストケースの作成

まず、リグレッションテストで実施するテストケースを作成します。テストケースとは、各機能の動作を確認するための手順や入力値、期待される結果などが記載されたドキュメントです。

自動化ツールの選定

リグレッションテストを自動化するには、専用の自動化ツールを使用することが一般的です。自動化ツールは、テストケースを自動的に実行し、結果を記録する機能があります。自動化ツールの選定には、自社のテスト環境やプロジェクトの規模、テストケースの複雑度などを考慮する必要があります。

スクリプトの作成

自動化ツールを使用する場合、テストケースを自動実行するためのスクリプトを作成する必要があります。スクリプトはプログラムのような形で、自動化ツールが理解できる形式で記述します。スクリプトには、テスト対象のアプリケーションにアクセスするためのコマンドや、テストデータの設定、期待される結果のチェックなどが含まれます。

さらに、スクリプトの作成には、プログラミング言語や自動化ツールによって異なる方法があります。一般的には、自動化ツールが提供する記述言語を使用してスクリプトを作成します。例えば、Selenium WebDriverという自動化ツールは、JavaやPythonなどのプログラミング言語でスクリプトを記述することができます。

スクリプト作成における具体的なステップは以下の通りです。

テストケースを確認する

まず、実施するテストケースを確認し、テスト対象のアプリケーションの動作や期待される結果を事前に把握します。

スクリプトのフレームワークを作成する

スクリプトのフレームワークとして、テストケースごとにスクリプトを分割することが一般的です。また、テストデータや期待される結果を記録するファイルのフォーマットを定義する必要があります。

スクリプトを記述する

スクリプトを記述する際には、自動化ツールが提供するAPIを使用して、テスト対象のアプリケーションにアクセスしたり、操作したり、テストデータを設定したりします。また、期待される結果をチェックするためのコードを記述します。

スクリプトのデバッグ

スクリプトを記述したら、デバッグを行います。デバッグでは、スクリプトの動作や期待される結果を確認し、必要に応じて修正を行います。

スクリプトの実行

スクリプトを実行して、テスト結果を取得します。自動化ツールによっては、テスト結果をレポート形式で出力することが可能です。テスト結果を確認し、必要に応じて修正を行います。

その後、スクリプトを再度実行して、修正が正しく行われたことを確認します。このプロセスを繰り返し行うことで、テストの自動化が完了します。

ただし、自動化ツールはあくまでテストを実行するためのツールであり、完全に人手を介さずにテストを実施することはできません。特に、GUIを操作するテストにおいては、ツールが対応していない操作がある場合には手動でテストを実施する必要があります。

また、自動化ツールの導入やスクリプトの作成にはコストがかかるため、小規模な開発プロジェクトでは手動テストを継続することが適切な場合もあります。適切なテスト方法を選択するためには、プロジェクトの規模やスケジュール、品質目標などを考慮して判断しましょう。

6.リグレッションテスト自動化ツール3選

本記事ではテスト自動化ツールであるSelenium、Appium、JUnitの特徴や使用するメリット、価格等について詳しく説明します。

Selenium

Seleniumは、Webアプリケーションの自動テストに使用されるオープンソースの自動化ツールです。以下に、Seleniumの特徴やメリット、価格について説明します。

特徴:

・ブラウザを自動で制御し、Webアプリケーションの動作確認や自動テストを行うことができる

・複数のブラウザに対応している

・テストスクリプトをJava、Python、Rubyなどの言語で記述できる

・オープンソースであるため、無償で利用することができる

メリット:

・ブラウザごとの差異を考慮したテストが可能である

・複雑な操作やテストが必要な場合でも、プログラムで自動化できるため、手作業に比べて作業時間を短縮できる

・テストスクリプトの再利用が可能であるため、テストの継続的な実行や修正にも対応できる

Appium

Appiumは、モバイルアプリケーションの自動テストに使用されるオープンソースの自動化ツールです。以下に、Appiumの特徴やメリット、価格について説明します。

特徴:

・Android、iOSなどのモバイルプラットフォームに対応している

・テストスクリプトをJava、Python、Rubyなどの言語で記述できる

・オープンソースであるため、無償で利用することができる

メリット:

・Android、iOSなど複数のプラットフォームに対応しているため、クロスプラットフォームのアプリケーションのテストが可能である

・テストスクリプトを自動化することで、手作業に比べて作業時間を短縮できる

・テストスクリプトの再利用が可能であるため、テストの継続的な実行や修正にも対応できる

JUnit

JUnitは、Java言語で書かれたプログラム用のユニットテストフレームワークです。JUnitを使用すると、Javaプログラムのテストを自動化することができます。JUnitは、Java開発者にとって非常に人気があり、Javaアプリケーションのテストに頻繁に使用されています。

特徴:

・Java言語で書かれたプログラムをテストすることができる

・JUnitのテストケースは、単一のメソッドとして書かれる

・テストケースが成功したかどうかを確認するために、アサーションと呼ばれるメソッドを使用することができる

・テストをグループ化することができる

・テスト結果をHTMLやXMLなどの形式で出力することができる

メリット:

・Java開発者にとっては非常に使いやすい

・テストの自動化により、手動でテストを行う必要がなくなるため、時間とコストの削減につながる

・テスト結果の詳細なレポートを出力することができるため、バグの発見や修正に役立つ

・オープンソースであるため、無料で使用することができる

まとめ

本記事では、新機能追加や既存システム・機能の修正に起因する不具合により、ユーザーエクスペリエンスを損なわないためのリグレッションテストについて詳しくご紹介しました。本記事を通して、リグレッションテストを実施する重要性、実施しないリスクについて理解していただけたのではないでしょうか。また、自動化することによりテストにかかる工数やコストも削減することができます。

自前でテストを実施することが困難である場合は、専門家にアウトソーシングするという選択肢を検討してみてください。CMC Japanは、最新の技術でテストケースを作成し、分析することにより、テストプロセス全体を円滑に進めることをサポートいたします。

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