モンキーテストの全てがわかる!定義や他のテストとの違いを徹底解説
モンキーテストとは、ソフトウェアテストの一種であり、テスターが特定の計画なしにランダムにシステムをテストする方法です。モンキーテストを実施する目的は、システムを全く理解していないサルのように操作することで、通常のテスト方法では発見できないようなエラーやバグを発見することです。
本記事は、モンキーテストの定義と名前の由来、一般的なテストとの違い、「アドホックテスト」「探索的テスト」との違い、実施するタイミング、有効なケースなど、モンキーテストに関する全てが理解できるような内容となっております。それでは、それぞれ見ていきましょう。
目次
モンキーテストとは?
まず初めに、モンキーテストの概要をわかりやすく解説します。
モンキーテストの定義
モンキーテストとは、ソフトウェアテストの一種で、「テスターがシステムを全く理解していないサルのように、特定の計画なしにランダムにシステムを操作し、バグやエラーを特定するテスト」のことです。
テスターはサルや小さい子供のように斜め上の発想で、深く考えずに操作することで一般的なテストでは想定されないようなエラーやバグを見つけることができます。
モンキーテストと呼ばれている理由
システムに詳しくないサルにキーボードを与えて、ランダムにキーを押させるのと似ていることから、モンキーテストと呼ばれています。
一般的なテストとの違い
モンキーテストと一般的なテストの主な違いは、その実施方法と目的、再現性にあります。
実施方法における違い
ソフトウェア開発における一般的なテストにおいては、事前に綿密なテスト計画を作成し、実施されることが多いです。具体的には、テスターは、ソフトウェアの特定の側面をカバーするように設計されたテストケース、シナリオ、またはスクリプトに従います。また、テスターは、システムとその期待される動作について明確に理解しています。
一方で、モンキーテストは、綿密な計画はなく、その場の思い付きで無計画にテストをします。テスターは、特定の計画やアプリケーションに関する知識なしに、ボタンをクリックしたりデータを入力したりするようなランダムなアクションを実行します。
目的における違い
モンキーテストの主な目的は、通常のテスト方法では発見できないようなエラーやバグ、問題点を発見することです。そのため、ユーザーが予期せぬ方法でソフトウェアに接したときに発生する可能性のある問題を特定するのに役立ちます。
一般的なテストの主な目的は、ソフトウェアがその要件を満たし、期待通りに動作することを確認することです。テスターは、機能が正しく動作すること、システムが信頼できること、パフォーマンスとユーザビリティの基準を満たしていることを検証します。
再現性における違い
モンキーテスト:行動がランダムに行われるため、エラーや問題に至った正確な手順を再現することは困難です。
一般的なテスト:あらかじめ定義されたテストケースやシナリオ、スクリプトに従ってテストを行うため、エラーや問題につながった手順を簡単に再現することができます。
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アドホックテスト、探索的テストとの違い
ここでは、モンキーテストと「アドホックテスト」「探索的テスト」との違いについて解説します。
「モンキーテスト」と「アドホックテスト」の違い
アドホックテストは、モンキーテストと同様に、正式な文書、テスト計画、テストケースを作成せずにテストを実施します。しかし、直感だけでなく経験、ソフトウェアへの理解を駆使して問題を発見しようと試みる点に違いがあります。つまり、テスターの経験に基づいて問題が発生しやすいと思われる箇所に焦点を当てて実施するということです。
モンキーテストは完全にランダムかつ無計画であるのに対して、アドホックテストはテスターの直感や経験に依存するため、精度が高い点がメリットとして挙げられます。
「モンキーテスト」と「探索的テスト」との違い
探索的テストも、アドホックテストやモンキーテストと同様に事前にテストケースは用意しないで実施するソフトウェアテスト手法です。そのため、違いがわかりづらくしばしば混同されることが多いです。
探索的テストとアドホックテスト・モンキーテストの違いを挙げるとすると、事前準備がゼロではなく、テストを行う目的を定めたり、手順を記録したり、テストの目的を達成できたことを判断するための指針であるテストチャーターを用意してから実行したりするなどの点が挙げられます。
そのような違いがあるため、探索的テストは他の2つの手法と比べ、再現性と精度が高いテスト手法であると言えます。その分、テスターに求められるスキルも当然高くなります。
モンキーテストを実施するタイミングとその理由
モンキーテストは、ソフトウェア開発の後期、具体的には単体テスト、結合テスト、システムテストを経た段階で最も効果を発揮します。モンキーテストを開発の初期段階で実施すると、いくつかの問題が発生する可能性があるからです。
まず、開発初期ではソフトウェアが未完成であり、多くの基本的な機能がまだ実装されていないため、モンキーテストによって見つけられるエラーやバグは、開発者がすでに認識しているか、通常のテスト手順で発見される可能性が高いです。また、開発初期のソフトウェアは、しばしば変更が加えられるため、モンキーテストで発見された問題が、後の開発段階で自然と解決される場合もあります。これにより、モンキーテストの実施による時間とリソースの投資が無駄になる可能性が考えられます。
単体テスト、結合テスト、システムテストの後にモンキーテストを実施したほうがより効果的である理由は以下の通りです。
安定性:
ソフトウェアが開発の後期に到達するまでに、主要な問題のほとんどは初期のテストフェーズで対処されています。ソフトウェアはより安定し、モンキーテストは、見逃されていたかもしれないエッジケースや予期せぬ問題の特定に役立ちます。
ユーザビリティ:
開発後期の段階では、ソフトウェアのユーザーエクスペリエンスとユーザビリティに焦点が当てられます。モンキーテストは、予期せぬクラッシュや、従来とは異なる方法でソフトウェアを使用したときのエラーなど、ユーザーとのインタラクションに関連する問題を特定するのに役立ちます。
実世界のシナリオ:
モンキーテストは、現実のユーザー行動をシミュレートします。開発の後期にモンキーテストを実施することで、多様なユーザーがソフトウェアを使用した場合にのみ発生する可能性のある問題を特定することができます。
モンキーテストが有効なケース
モンキーテストが特に有効なケースは以下の通りです。
ストレステスト:
モンキーテストは、ユーザーの負荷が大きい、データ入力が多い、クリックやインタラクションが速いなど、極端な状況下でソフトウェアがどのような挙動を示すかを特定するのに役立ちます。通常の使用では表面化しないような問題を明らかにすることができます。
ユーザーインターフェースのテスト:
モンキーテストでは、ランダムにクリックやインタラクションを行うため、ボタンの位置のずれやリンク切れ、ユーザーがソフトウェアと通常とは異なる方法でインタラクションを行った場合の予期せぬ動作など、UIに関する問題の特定に役立ちます。
エラー処理:
モンキーテストは、エラー処理に関連する問題を発見するのにも有効です。ランダムな動作をさせることで、予期せぬ入力やイベントに対してソフトウェアがどのように反応するかを明らかにし、エラーの処理方法やユーザーへの表示方法における問題を明らかにすることができます。
互換性テスト:
モンキーテストは、ソフトウェアを異なるデバイス、ブラウザ、またはオペレーティングシステムで使用する際に発生する問題を特定するのに役立ちます。ランダムテストでは、特定のプラットフォームや構成でのみ発生する可能性がある問題を明らかにすることができます。
エッジケース:
モンキーテストは、エッジケース(通常のテストケースではカバーできないような異常な状況や予期せぬ状況)を特定するのに有効です。ランダムに動作させることで、設計・開発段階では考慮されなかったシナリオを発見することができます。
まとめ
本記事の内容をまとめると、モンキーテストとは、ソフトウェアテストの一種であり、テスターが事前に計画を立てたり、テストケースを作成せずに、ランダムにシステムをテストする方法です。モンキーという名前の由来は、サルのようにアドリブで操作することからきています。モンキーテストは、システムへの知識がない人物であればあるほど、通常のテスト方法では発見できないようなエラーやバグを発見することができます。読者のみなさんも是非、試してみてください。
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