Nginxとは

【入門】人気WebサーバのNginxとは|メリットやデメリット、活用事例

W3TechsのWorld Wide Web Technology Surveysによると、2023年2月時点のWebサーバシェアNo.1は、「Nginx」であり、「Apache」、「Cloudflare Server」、「LiteSpeed」と続きます。国内においては、「Nginx」のシェアが52%以上と圧倒的なシェアを誇っています。本記事では、世界で人気No.1のWebサーバである「Nginx」の概要や利用する利点・課題、3つの活用事例をご紹介します。

目次

Nginxとは

まず始めに、Nginxの概要を確認しましょう。

 

Nginxとは、「高い処理性能を特徴に持つ、無料かつオープンソースのWebサーバソフトウェア」のことです。Nginxは通常 “エンジンエックス” と読み、世界中で4億を超えるサイトが、何らかの形でNginxを使用しているとのデータもあり、紛れもなく人気のあるWebサーバと言えます。

 

また、W3TechsのWorld Wide Web Technology Surveysによると、2023年2月時点でNginxはWebサーバソフトウェア(世界)の中で34.1%と最も高いシェアを占めており、最も人気のあるWebサーバであることがわかります。2位、3位、4位は「Apache(32.9%)」、「Cloudflare Server(20.1%)」、「LiteSpeed(11.6%)」と続きます。

 

さらに驚くことに、国内においては、「Nginx」のシェアが52%以上と圧倒的なシェアを誇っています。

Webサーバとは

「そもそもWebサーバって何?」という初心者の方向けにWebサーバの概要を簡単にご説明します。

 

普段私たちがWebブラウザ(Google ChromeやSafariなど)で検索し、閲覧しているWebサイトには、Webサーバが重要な役割を担っています。私たちがWebブラウザ上で検索をしてから実際に私たちのデバイスにWebサイトが表示されるまでのプロセスは次の通りです。

(ここでは、“Google Chrome” というWebブラウザを使用して「バナナ」について検索したと仮定します。 )

 

①Webブラウザの検索バーに「バナナとは?」と入力し、Enterキーを押す

②検索結果一覧が表示されたため、任意のWebサイトをクリックする

③Google Chromeから「Nginx」にWebサイト(ファイル)を送信するようにリクエストをする

④Webサーバはそのリクエストを解析し、Webサイト(ファイル)をWebブラウザに送信する

⑤ユーザーの画面(Webブラウザ)にWebサイトが表示される

 

①②⑤は、比較的読者のみなさんに馴染みのあるプロセスなのではないでしょうか。実は、ページをクリックしてからWebサイトが表示されるまでの数秒の間に、WebブラウザとWebサーバの間で上記のようなやりとりがされていたのです。

 

つまり、Webサーバとは、Webブラウザの要求に応じてWebコンテンツを提供するコンピューターということがわかります。

Nginxのメリット・デメリット

Nginxの概要とWebサーバについて理解したところで、WebサーバとしてNginxを使用する利点や課題についてご紹介します。

Nginxのメリット

Nginxを使用するメリットを2番目に人気のあるWebサーバであるApacheと比較しながらご紹介します。具体的には、以下の通りです。

大量かつ高速に処理を実行することができる

これは、Nginxの最大のメリットといえます。それは、HTMLファイルや画像ファイルなどの静的コンテンツにおいて高い処理速度と大量の同時接続に対応できる点です。Apacheと比較した際の処理速度は、Nginxの方が1.5倍速く、同時接続の処理においては、Nginxの方が10〜100倍多く処理できると言われています。

ユーザーの利便性を向上させる機能が備わっている

リバースプロキシ(外部のインターネットから特定のサーバへの要求が必ず通るように設置されたプロキシサーバ)やロードバランサ(負荷分散装置)の機能などがある。

メモリ消費量を抑えることができる

Apacheがマルチスレッドを利用しているのに対して、Nginxはシングルスレッドを利用しているため、同時接続数が多くなってもメモリの消費量が変わらず、その結果としてメモリ消費量を抑えることができます。

Nginxのデメリット

次に、Nginxを使用するデメリットをご紹介します。

動的コンテンツの処理が得意ではない

Nginxは、HTMLファイルや画像ファイルなどの比較的軽い静的コンテンツの高速処理に向いていますが、動画やアプリケーションの実行など、CPUを多く必要とする処理には向いていません。その理由は、Nginxがメモリの消費量を抑えるように設計されており、CPUを大量に使うような処理はあまり想定されていないからです。そのため、動的コンテンツをたくさん扱いたい場合は、CPU処理に強みがあるApacheをおすすめします。

拡張機能が比較的少ない

Nginxは、オープンソースのWebサーバですが、拡張機能が十分に備わっているとは言えず、機能を拡張したい場合は自分で行わなければならないため、専門知識とスキルが要求されます。そのため、初心者にはハードルが高いかもしれません。

初心者向けのドキュメントが少ない

この点は、初めてNginxに触れる方にとって最初の障壁となるかもしれません。

Nginxは、Apacheより歴史が10年ほど浅いため、どうしてもApacheと比べると日本語によって記述された初心者向けのドキュメントが少ないです。そのため、機能を拡張したい場合などにおいても、Apacheの方が実装方法に関する情報がWeb上で手に入りやすく、機能追加がしやすいです。

メリット・デメリットのまとめ

以上のことから、大量な静的コンテンツや同時接続の処理は「Nginx」、少量だけど重たい動画などの処理には「Apache」など、目的に応じて使い分けることができることがわかります。また、相互運用することで、メリットを共有し、デメリットを克服することも可能です。

3つの導入事例

最後に、Nginxの公式サイトに掲載されている活用事例の中から3つご紹介します。

MaxMilhas

MaxMilhas社は格安航空券を販売するオンラインマーケットプレイスを展開しているブラジルの企業です。読者のみなさんの中には、格安チケットを購入しようとしたらサーバーがダウンしてしまったという経験があるという方もいるのではないでしょうか。実際に、航空券を取り扱うサイトには毎日多くのユーザーが訪れます。特に、ブラックフライデーなどのイベント時には、数百人以上のユーザーがアクセスするため、Webサイトには、より高い処理能力およびセキュリティが求められます。そこで同社は、Nginx Plusを導入し、ロードバランサ、トラフィックコントローラ、キャッシュなどの機能を使用することで、トランザクションの高速処理とWebアプリのパフォーマンスの向上を実現しました。これにより、アクセスが集中した場合でも、Webサイトの応答時間を短縮することに成功し、顧客満足度の向上へとつながりました。

snowflake

snowflake社は、1000社以上のグローバルクライアントに向けてエンタープライズデータウェアハウスを提供している米国企業です。具体的には、同社のクラウドサービスを利用することで、企業は自社の全てのデータにアクセス、分析、有効活用することが可能になります。このサービスにおいて、データの整合性、セキュリティ、転送の信頼性が非常に重要になってきます。

同社は、安価かつシンプルで、ロードバランサなどを含む多くの機能を提供しているNginx Plusをインフラ全体に導入することで、システムの効率性をさらに向上させることに成功しました。

Adobe

Adobe社は世界最大規模のクリエイティブソフトウェアプロバイダーです。画像編集・作成・加工ソフトである「Photoshop」やあらゆる映像コンテンツが制作できるソフトである「Premiere Pro」などの同社のサービスを利用したことがある方も多いのではないでしょうか。

同社は、社内外の1万人以上の開発者によるリクエストを安定して高速で処理できるソリューションを求めていました。そこで、同社はNGINX APIゲートウェイに移行することで、高いコスト効率、レイテンシーのない環境を実現し、2基のCPUで1日当たり数百万件、年間数十億件のリクエストが処理できるようになりました。

まとめ

本記事では、世界および国内において最も人気のあるWebサーバ「Nginx」の概要や使用するメリット・デメリット、3つの導入事例についてご紹介しました。「Nginx」の魅力について少しでも理解していただけましたら幸いです。「Nginx」の使い方に関しましては、公式サイトより簡単に入手およびインストールすることができます。しかし、効果的に運用・管理の手間を考えると、ある程度の知識とスキルを兼ね備えたエンジニアを社内に用意しなければなりません。

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