ソフトウェアテストとは

ソフトウェアテストとは?バグの防止、開発コストの削減、パフォーマンスの向上と徹底する手法

目次

はじめに

ソフトウェアテストとは、実際のソフトウェア製品が、期待される要件を満たしているかどうかを判断し、バグがないことを確認する方法です。ソフトウェアやシステムの構成要素を人手またはツールで自動的にテストします。

ソフトウェアやシステムは、1つのエラーが発生すると、エンドユーザーに多大な迷惑をかけ、なかには修正に莫大な費用がかかる場合もあります。

テストは非常に重要で、多くの小さな作業の積み重ねで構成されます。

この記事では、ソフトウェアテストとは何か、なぜテストが重要なのか、製品の品質を確保するために必要なテストの種類は何かについて説明します。

ソフトウェアテストとは

IBM社の定義によれば、ソフトウェアテストとは、ソフトウェア製品やアプリケーションが本来の機能を果たしているかどうかを評価・検証するプロセスです。

利点としては、バグの防止、開発コストの削減、パフォーマンスの向上などが挙げられます。詳しくは「ソフトウェアテストのメリット」でご紹介します。

テストの目的は、ソフトウェアの性能を向上させることです。テストが正常に行われれば、ソフトウェアからすべてのエラーを取り除くことができます。

ソフトウェアテストの歴史

ソフトウェアテストは、第二次世界大戦後に始まったソフトウェアの開発とともに登場しました。

コンピュータ科学者のトム・キルバーンは、1948年6月21日にイギリスのマンチェスター大学で最初のソフトウェアを作成したといわれています。当時はデバッグが主なテスト方法であり、その後20年間はその状態が続きました。

1980年代になると、開発チームはソフトウェアのバグを切り分けて修正するだけでなく、実際の環境でアプリケーションをテスティングすることに目を向けるようになりました。

品質管理は、ソフトウェアの開発工程全体を対象とし、テストケースの計画、設計、作成、実行のプロセスや、既存のテストケースやテスト環境のサポートに影響を与えるもので、1990年代にテストから発展しました。

ソフトウェアテストの目的

ソフトウェアテストには、調達基準の検証とリスク管理という2つの主な目的があります。

テストは何よりもまず、約束されたものが提供されたかどうかを確認します。つまり、製品が調達仕様書に記載された機能、性能、設計、および実装の仕様を満たしているかどうかを確認するのです。

第二に、テストは、お客様と、システムのベンダー・開発者・インテグレーターの両方のリスク管理に関わるものです。テストは、作業がいつ終了したかを判断するために使用され、契約の終了、ベンダーへの支払い、お客様によるシステムの保証・保守フェーズへの移行が可能になります。

なぜソフトウェアテストが必要なのか?

ソフトウェアにエラーがあると、金銭的・人的な損失を引き起こす可能性があり、歴史的にも多くの事例があります。

・日産自動車株式会社は、エアバッグの感知器にソフトウェア上の問題があるとして、約100万台の車両をリコールしました。このソフトウェアの問題により、2件の事故が報告されています。

・スターバックスは、POSシステムのソフトウェアの不具合により、アメリカとカナダの約60%の店舗を閉鎖せざるを得ませんでした。決済処理ができなかったため、同店では一時的にコーヒーを無料で提供して対応しました。

・1999年4月、12億ドルを投じた軍事衛星の打ち上げがソフトウェアのバグにより失敗し、史上最も高額な事故となりました。

・1996年5月、ソフトウェアのエラーにより、米国の大手銀行の顧客823人の銀行口座に9億2000万ドルが入金されました。

テストにはコストがかかりますが、しっかりとしたテスト手法とQA(品質管理)プロセスを導入することで、企業は開発やサポートにかかる年間数百万ドルのコストを削減することができます。

早期のソフトウェアテストによって、製品が一般に公開される前に欠陥を発見できます。開発チームがテスト担当者からフィードバックを受けるのが早ければ早いほど、アーキテクチャ上の欠陥、設計上の判断ミス、無効または不正な機能、セキュリティ上の脆弱性、スケーラビリティなどの問題に対処することができます。

ソフトウェアテストのメリット

ソフトウェアテストを行うことで、主に次の6つのメリットが得られます。

コスト削減

ソフトウェアテストには、多くの利点がありますが、企業がソフトウェアテストを実施する最も重要な理由の1つは、プロジェクトの費用対効果です。

開発の初期段階でバグが発見されれば、修復にかかるコストも少なくて済みます。

また、欠陥のあるソフトウェアは、コストがかかるだけでなく、ユーザーや顧客を失う結果にもなります。時間とお金を節約するために、ソフトウェア開発プロセス全体でQA(品質管理)テストを行いましょう。

セキュリティの向上

ユーザーの個人情報が窃取され、サイバー攻撃者の利益のために利用される事例が多数、報告されています。

顧客は、しっかりと検証された製品を求めており、ソフトウェアテストによって、ユーザーは脆弱性のない完成品を手に入れることができます。

テストを実施すれば、信頼できる製品をユーザーに届け、ユーザーの個人情報を守ることができます。

品質の向上

製品は何らかのかたちでユーザーの役に立つものでなければなりません。これは、約束された価値を提供するという要件です。

製品は、ユーザーが快適に使用できるように総合的な性能を発揮する必要があります。

また、デバイスの互換性を確認することも必須です。

ユーザー体験の向上

さまざまなアプリケーションを使用する中で、いくつものマイナスな経験をして、アプリケーションを削除したことはありませんか?

プロダクトオーナーの最大の目標は、最高レベルの顧客満足を提供することです。

テストの重要性は、優れたユーザー体験を提供するためです。

ソフトウェアテストを行うことで、エンドユーザーやクライアントからの信頼を得るなど、長期的な利益を得られます。

開発支援につながる

テストを行うことで、さまざまなシナリオやエラーを発見することができ、将来のエラー予測や防止に役に立ちます。

テストは、必ずしも開発段階が終わってから始める必要はありません。

開発者はできるだけ早く修正しなければなりません。テスト担当者は開発チームと協力すべきであり、それが開発プロセスのスピードアップにつながります。

損失の防止

企業向けソフトウェアの場合、そのリスクは格段に上がります。

システムの停止、データの消失、コミュニケーションの途絶などは、すべて企業向けソフトウェアのバグによって引き起こされます。

企業全体でソフトウェアを使用する場合や、機密データを管理する場合には、そのソフトウェアが安全であることを確認する必要があります。

ソフトウェアテストの3つのアプローチ

ソフトウェアテストのアプローチには、3つのタイプがあります。

ホワイトボックステスト(White Box Testing)

ホワイトボックステストは、アプリケーションの内部コード構造に基づいて行われます。

このテストでは、システムの内部的な視点とプログラミングのスキルを用いてテストケースを作成し、ユニットごとに行われることが多いです。

ブラックボックステスト(Black Box Testing)

ブラックボックステストは、ソフトウェアテストの一種で、テスト担当者が内部のコード構造を検査することなく、テスト対象のソフトウェアの機能を評価するものです。

グレイボックステスト(Gray Box Testing)

グレイボックステストは、ホワイトボックスとブラックボックスを混合したものです。このテストでは、テスト担当者が設計書にアクセスする必要があります。これにより、より良いテストケースを作成することができます。

ソフトウェアテストの種類

テストの種類は非常に多くありますが、以下でご紹介するものが頻繁に使用されます。

ユニットテスト

ソフトウェアの各ユニットがあるべき姿で動作することを検証します。アプリケーションを構成するテスト可能な最小単位をユニットとよびます。

機能テスト

ビジネスプロセスに沿って、機能要件に基づく機能性をテストします。

ブラックボックス環境での機能テストが一般的です。

統合テスト

ソフトウェアの構築と設計に焦点を当てたものです。

統合されたユニットがエラーなく動作しているかどうかを確認します。

受入テスト

受入テストは、システムがビジネス要件を満たしているかどうかを判断するために行われる正式なテストです。

このテストでは、プログラムが完全に稼働していることを確認し、ユーザーの行動を模倣することに集中します。

パフォーマンステスト

パフォーマンステストは、大きなストレスがかかったときにシステムがどのように動作するかを調べるテストです。

これは非機能テストであり、プラットフォームの信頼性、安定性、可用性を判断するためにさまざまなかたちで実施されます。

回帰テスト

新機能が壊れていないか、機能が低下していないかを検証することです。

総合的な回帰テストを行う時間がない場合は、サニティテスト(サニティチェック、健全性テスト)を行って、メニューや機能、指示などを表面的に検証します。

※サニティテスト…計算結果が正しいかどうかを評価するテスト。

負荷テスト

システムがそのパラメータを超えて負荷を受けたとき、どのようにして、いつ故障するかを確認するためにこのテストを行います。

これは、大人数でストレージの容量を超えたとき、複雑なデータベースのクエリがあるとき、システムに継続的な入力があるとき、データベースに大きな負荷がかかっているときなどに行われます。

有用性テスト

このテストでは、お客様がシステムやWebアプリケーションを使ってどれだけうまくタスクを完了できるかを検証します。

スモークテスト

スモークテストは、アプリケーションの基本動作を確認するためのシンプルなテストです。

短時間で実施できるように設計されており、システムの重要な機能が正しく動作しているという安心感を与えることを目的とします。

ソフトウェアテストの5つのベストプラクティス

IBM社によると、ソフトウェア開発におけるテストには5つのベストプラクティスがあります。

継続的なテスト

各機能が利用可能になると、プロジェクトチームはそれをテストします。この形態のテストは、開発プロセスと一体型のテスト自動化で行われます。

これにより、開発の早い段階で現実的なテスト環境でソフトウェアを評価でき、より良い設計とリスクの低減を実現します。

※テスト自動化…テスト支援ツールなどを活用してソフトウェアテストを自動化すること。

構成管理(コンフィグレーションマネジメント)

開発企業は、テスト要素を一元的に管理し、テストすべきソフトウェア開発を追跡します。コード、要件、設計文書、モデル、テストスクリプト、テスト結果などの要素は、開発チームが利用できるようになっています。

開発チームが最小限の管理作業でコンプライアンス基準を満たすことができるよう、優れたシステムにはユーザー認証と監査証跡が備わっています。

バグトラッキング

テストチームも開発チームも、品質を測定して向上させるために、障害を追跡する必要があります。

自動化されたシステムを使えば、不具合を追跡し、その範囲と影響を評価し、関連する問題を特定できます。

報告

テストチームメンバーは、レポートやアナリティクスを使って、現状、目標、テスト結果を交換することができます。

高度なツールは、プロジェクトを評価するメトリクスをダッシュボードに組み込み、その結果を表示します。チームは、プロジェクト全体の健全性を容易に評価し、テスト、開発、およびそのほかのプロジェクト部分の関連性を追跡できます。

まとめ:テストのコスト節減・リソース調達なら、オフショア開発がおすすめ!

このようにソフトウェア開発における「テスト」は、非常に重要なプロセスです。開発工程同様、多くのリソースとコストを必要とすることがあります。

しかしながら、昨今の日本市場では、エンジニアならびにテスターを安定かつ競争力のある価格で確保することは難しくなってきています。

そのような状況にある企業には、ベトナムオフショア開発がオススメです。ベトナムオフショア開発なら、高いスキルをもったエンジニアを、日本の単価と比較して、25%~50%を抑えることができます。

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