状態遷移図とは?作成するメリットや書き方を紹介!

状態遷移図とは、ソフトウェアのある状態がどのように遷移するかを視覚的に図として表したものです。状態遷移図をソフトウェアの設計時に作成することで、システムの全体像を一目で確認することができ、開発者やテスターによるテストの抜け漏れを防ぐことにつながります。

 

本記事では、状態遷移図とはどのようなものであり、作成することにどのようなメリットがあり、具体的にどのように作成するのかについてわかりやすく解説します。

目次

状態遷移図とは

まず初めに、状態遷移図とは何か、その定義について説明します。

 

状態遷移図とは、ソフトウェアテストにおいて、システムの状態とそれらの状態間の遷移を視覚的に表現した図のことです。ステートマシン図とも呼ばれており、英語では、「State Transition Diagram」と言います。

 

通常、状態遷移図は、システムが取りうる「状態名」(例:ログイン、ログアウト)を表す四角と、「遷移」を表現する矢印、そしてその矢印のそばにどのような動作を行うのかを示した「イベント(アクション)」(例:ログインボタンを押す)の3つが描かれます。

状態遷移図を作成するメリット

次に、状態遷移図を作成することのメリットをご紹介します。

 

状態遷移図を作成することで、ソフトウェアのシステム全体を一目で理解することができます。これにより、開発者やテスターはシステムの挙動を把握しやすくなり、効率的なテストケースの作成が可能になります。

 

また、状態遷移図を作成することは、将来の開発や保守においても役立ちます。例えば、不具合が発生した際に、その原因を特定することが容易になります。意図しない状態遷移や不正な状態遷移を見つけることで、システムの品質向上に寄与します。

状態遷移図と状態遷移表の関係性

次に、状態遷移図とよく似た言葉である「状態遷移表」との関係性をご紹介します。

 

状態遷移表と状態遷移図は、どちらもソフトウェアテストにおいてシステムの状態と状態間の遷移を表現するために使用されますが、その表現方法が異なります。

 

状態遷移表は、表形式でシステムの状態と遷移を示すものです。表の行には状態が、列にはイベントやアクションが記載されており、各セルにはそのイベントやアクションに対応する次の状態が記載されます。状態遷移表は、すべての状態と遷移を網羅的に表示することができますが、大規模なシステムでは表が複雑になりがちというデメリットがあります。

 

一方、状態遷移図は、図形式でシステムの状態と遷移を表現するものです。状態は円や四角形で表現され、状態間の遷移は矢印で示されます。上述した通り、矢印のすぐそばにはイベントやアクションがラベルとして記載されます。状態遷移図は、システムの状態と遷移を視覚的に理解しやすくすることができますが、複雑なシステムでは図が大きくなりすぎることが考えられます。

 

状態遷移表と状態遷移図の関係性は、どちらもシステムの状態遷移を表現する目的で使用されるものであり、互いに相補的な役割を果たしています。状態遷移表は網羅性が高く、状態遷移図は視覚的にわかりやすいため、システムの規模や目的に応じてどちらかまたは双方を選択すると良いでしょう。

状態遷移図の書き方

状態遷移図は以下の手順に従って作成することができます。

状態の特定

まず、システムが取りうるすべての状態を特定します。状態は、システムが存在できる異なる形態や状況を表します。例えば、オンラインショッピングシステムの場合、状態は「ログイン」「ログアウト」「カートに追加」「購入完了」などが考えられます。

イベント/アクションの特定

次に、状態間の遷移を引き起こすイベントやアクションを特定します。これらは、ユーザーやシステムが実行する操作や行動です。例えば、「ログインボタンを押す」「商品をカートに追加する」などが挙げられます。

状態を図に描画

状態遷移図の基本要素として、状態を四角形で表現し、それぞれの状態に名前を付けて図に描画します。

遷移の追加

イベント/アクションに基づいて、状態間の遷移を矢印で表現します。矢印の始点は現在の状態、終点は遷移後の状態を示します。矢印にはイベント/アクションをラベルとして記載します。例えば、以下のような図を描くことができます。

初期状態と終了状態を表記

状態遷移図には、システムの初期状態(スタート状態)と終了状態(エンド状態)を明示的に示すことが望ましいです。初期状態は、通常、状態の外側からの矢印で示され、終了状態は二重円や特別な記号で表されることがあります。

図の整理と確認

状態遷移図を整理し、状態と遷移が適切に表現されていることを確認します。必要に応じて、状態や遷移を追加・削除・修正し、図の見やすさや理解しやすさを向上させます。

状態遷移図を書く際の注意点

状態遷移図を作成する際には、システムの状態遷移を適切に表現することが重要です。状態遷移図を作成する際には、以下の点に注意してください。

網羅性を確保

システムの状態遷移図がすべての重要な状態と遷移をカバーしていることを確認しましょう。過去のバグや問題を参考に、特に注意が必要な状態や遷移を漏れなく含めることが望ましいです。

シンプルさを保つ

状態遷移図が複雑になりすぎると、理解やメンテナンスが難しくなります。図がシンプルでわかりやすくなるように、不要な状態や遷移を削除し、似たような状態や遷移をまとめることを検討しましょう。

ドキュメントとの整合性

状態遷移図がシステムの仕様や要件と一致していることを確認しましょう。また、状態遷移図が他の設計文書やテストケースと整合性があることも重要です。

レビューとフィードバック

状態遷移図を作成したら、関係者(開発者、テスター、プロジェクトマネージャーなど)と共有し、フィードバックを受け取りましょう。他者の意見を取り入れることで、図の正確性やわかりやすさが向上します。

 

これらの手順と注意点を考慮して、状態遷移図を作成することで、システムの状態と遷移を効果的に表現し、開発者やテスターにとって理解しやすい形で提供することができます。

まとめ

ここまで読んでくださった読者のみなさんは、システム開発における状態遷移図の重要性や書き方について理解していただけたのではないでしょうか。ソフトウェアの構造が複雑になればなるほど、状態名や遷移も多くなります。ただし、抜け漏れをなくすためには、状態遷移図を作成する必要があるため、慎重に複数人で確認しながら作成するようにしましょう。


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