今さら聞けないVPNサーバーの基本|自宅で構築する方法も紹介
コロナ禍により、多くの企業でリモートワークの導入が進みました。本記事を読んでいる読者の中にも、在宅で働いているという方も少なからずいるのではないでしょうか。しかし、自宅やカフェなどのオフィス以外で作業をする際、自身のPCを何かしらのインターネットに接続することで作業をしているのではないでしょうか。そこで、気になるのがそのインターネットの安全性です。Free Wi-Fiなどは、セキュリティなどの観点からそのまま接続することは推奨できません。会社の機密情報や顧客のデータが漏洩したら、信用問題に発展しかねないからです。
本記事では、安全にインターネットを利用できるようにするVPNサーバーについてご紹介します。VPNサーバーとは何で、どのように構築するのか、また、無料VPNサービスと有料VPNサービスの違いなどについて詳しく解説していきます。
目次
1.VPNサーバーとは
まず初めに、VPNサーバーの定義について説明します。
まず、VPNとは、Virtual Private Network(仮想プライベートネットワーク)の略であり、インターネットを利用して安全に通信するための技術のことです。
次に、VPNサーバーは、VPN接続を提供するサーバーのことであり、インターネット上の複数の場所を安全につなぎ合わせ、通信を暗号化することができます。
例えば、自宅やオフィスからVPNサーバーに接続することで、インターネットを経由して別の場所にある別のコンピューターにアクセスすることができます。このとき、VPNサーバーは、ユーザーがVPN接続をするための認証や、データの暗号化・転送を行います。
また、VPNサーバーを利用することで、インターネット上でデータを覗かれるのを防ぐことができます。VPNサーバーを介してインターネットにアクセスすることで、自分のIPアドレスを隠すことができ、プライバシーやセキュリティを保護することができるためです。
リモートワークが浸透しつつある今日において、安全にインターネットに接続するためにVPNサーバーの構築は必須であると言えます。
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2.VPNサーバーを構築するメリット
ここでは、VPNサーバーを利用することのメリットについて詳しく説明します。VPNサービスを利用する主なメリットは以下の通りです。
プライバシー保護
VPNサービスを利用することで、インターネット接続時にデータが暗号化されるため、ユーザーのプライバシーや個人情報が保護されます。また、ISP(インターネットサービスプロバイダー)や第三者によるオンラインアクティビティの監視を回避することができます。
セキュリティ強化
VPNサービスを利用することで、パブリックWi-Fiなどの公共のネットワークを利用している場合でも、データの盗難やハッキングから保護されます。また、VPN接続により、マルウェアやスパイウェアからも保護されるため、自宅やカフェなどのオフィス以外の環境においても安全にインターネットに接続することができます。
地理的制限の回避
VPNサービスを利用することで、地域制限や検閲などのインターネットにおける制限を回避することができます。海外のサーバーに接続することで、国内で利用できないサービスやコンテンツにアクセスできるようになります。
匿名性の確保
VPNサービスを利用することで、ユーザーのIPアドレスが隠されるため、匿名性を確保することができます。また、VPNサービスを利用することで、オンラインでのトラッキングや広告ターゲティングから逃れることができます。
ファイル共有の安全性向上
VPNサービスを利用することで、リモートアクセスによるファイル共有が安全に行えるようになります。特に、機密性の高い企業内でのファイル共有にはVPNサービスが必須です。
総合的に見ると、VPNサービスを利用することで、ユーザーのオンラインセキュリティとプライバシーが保護され、地理的制限や検閲などの問題を回避することができます。VPNサービスは、ビジネスや個人の両方で利用されることが多く、オンライン活動を安全に行うための必須のツールと言えます。
3.自宅でVPNサーバーを構築する方法
自宅でVPNサーバーを構築する方法にはいくつかの方法がありますが、一般的な方法を3つご紹介します。
ハードウェアVPNルーターを購入して構築する方法
まず、1つ目の方法はハードウェアVPNルーターを購入して構築する方法です。具体的な手順は以下の通りです。
ハードウェアVPNルーターを購入する
ハードウェアVPNルーターには、様々な種類があります。自宅や小規模なオフィスで使用する場合は、簡易的なルーターでも十分ですが、大規模なオフィスや企業で使用する場合は、高性能なルーターを選ぶ必要があります。
ルーターをインターネット回線に接続する
ルーターをインターネット回線に接続します。接続方法は、各ルーターの説明書に従って行います。
ルーターにVPNサーバーを設定する
VPNサーバーの設定方法は、説明書に従い、ルーターの設定画面からVPNサーバーを有効化し、VPN接続に必要な設定(IPアドレス、暗号化方式、認証方式など)を行います。
VPNクライアントを設定する
VPN接続を行うためには、クライアント側にも設定が必要です。クライアントには、パソコンやスマートフォンなどがあります。VPNクライアントの設定方法は、使用するクライアントソフトウェアによって異なりますが、一般的には、IPアドレス、暗号化方式、認証方式などを設定します。
VPN接続を行う
VPNクライアントを起動し、VPN接続を行います。接続方法は、使用するクライアントソフトウェアによって異なりますが、一般的には、VPNサーバーのIPアドレスと認証情報を入力することで接続できます。
以上が、ハードウェアVPNルーターを購入してVPNサーバーを構築する手順です。ただし、設定方法によっては、セキュリティなど、専門的な知識が必要な場合もありますので、自分たちで設定するのが困難である場合は、IT専門家にお願いするようにしましょう。
ソフトウェアVPNサーバーを構築する方法
次にソフトウェアVPNサーバーを構築する方法をご紹介します。VPNサーバーを設定する方法は、使用するソフトウェアや機器によって異なりますが、一般的な手順を以下に示します。
VPNサーバーソフトウェアを選択する
まず、VPNサーバーソフトウェアを選択します。代表的なソフトウェアには、OpenVPN、SoftEther VPN、WireGuardなどがあります。選択するソフトウェアによって手順が異なるため、注意が必要です。
サーバーをセットアップする
選択したVPNサーバーソフトウェアに従って、サーバーをセットアップします。一般的には、インストールファイルをダウンロードして、指示に従ってインストールすることでセットアップが完了します。
証明書を作成する
VPNサーバーとクライアント間でデータを暗号化するために、証明書を作成する必要があります。証明書は、オープンSSLなどのツールを使用して作成することができます。
ユーザーアカウントを作成する
VPNサーバーに接続するためには、ユーザーアカウントを作成する必要があります。アカウントを作成する際には、アカウント名とパスワードを設定します。
クライアントを設定する
VPNサーバーに接続するためには、クライアント側も設定する必要があります。クライアントは、Windows、Mac、Linuxなどのオペレーティングシステムに標準で搭載されている場合もありますが、必要に応じて別途インストールすることもできます。
VPNサーバーに接続する
VPNサーバーとクライアントの設定が完了したら、クライアントからVPNサーバーに接続します。接続方法は、使用するVPNサーバーソフトウェアによって異なりますが、一般的にはクライアントにVPNサーバーのIPアドレスやドメイン名、アカウント名、パスワードを設定することで接続することができます。
以上が、VPNサーバーの設定手順の一般的な流れです。ただし、使用するソフトウェアや環境によって手順が異なるため、専門家のアドバイスや公式ドキュメントを参照することをお勧めします。
VPNクラウドサービスを利用する方法
最後に、VPNクラウドサービスを利用する方法をご紹介します。
VPNクラウドサービスとは、インターネット上で仮想プライベートネットワーク(VPN)を提供するクラウドベースのサービスのことです。
VPNクラウドサービスを利用することで、オフィスやリモートワーク環境など、インターネットに接続された複数の場所間での安全でプライベートな通信が可能になります。また、VPNは、オンラインセキュリティとプライバシーを強化するためにも使用されます。
一般的に、VPNクラウドサービスは、インストールが簡単で、柔軟でスケーラブルなプランを提供しています。多くのサービスでは、月額または年間のサブスクリプション料金があります。一部のサービスでは、無料のトライアル期間を提供しています。
代表的なVPNクラウドサービスには、NordVPN、ExpressVPN、CyberGhost VPN、Private Internet Accessなどがあります。それぞれのサービスには、独自の機能やプランがありますので、利用目的に合わせて比較検討することをお勧めします。
3つの方法の中で、一番手軽な方法はVPNクラウドサービスを利用することですが、セキュリティ面やプライバシー面で自宅にVPNサーバーを構築する方法が望ましい場合があります。最終的には、自社に合った方法を選び、構築するようにしましょう。
4.無料VPNサービスと有料VPNサービスの違いとは?
ここでは、無料のVPNサービスと有料のVPNサービスの違いについて4つの観点から比較します。
セキュリティ性
有料のVPNサービスは、高度なセキュリティ技術を採用しており、データ保護、暗号化、VPN接続の安定性、マルウェア保護などの機能を提供しているものが多いです。一方で、無料のVPNサービスはセキュリティ性が低く、プライバシーの漏洩や個人情報の流出などのリスクが高くなる可能性があります。
通信速度
一般的に、有料のVPNサービスの通信速度は比較的速いです。一方で、無料のVPNサービスは、多くの場合、有料VPNサービスほど速くありません。さらに、無料のVPNサービスには帯域制限やデータ転送量の制限がある場合もあります。
サーバー数と設置場所
有料のVPNサービスは、多数のサーバーを世界中に展開しており、ユーザーはさまざまな国や地域のサーバーに接続することができます。一方で、無料のVPNサービスは、限られた数のサーバーしか提供しておらず、サーバーの場所も限られている場合があります。
カスタマーサポート
有料のVPNサービスは、専門的なカスタマーサポートを提供している場合が多く、問題が発生した場合には、迅速に対処することができます。一方で、無料のVPNサービスには、カスタマーサポートが提供されていない場合があります。
総合的に見ると、有料のVPNサービスは、高度なセキュリティ技術、高速な通信速度、多数のサーバー、手厚いカスタマーサポートなどを提供していると言えます。一方で、無料のVPNサービスは、セキュリティにおける懸念や速度が遅い場合があり、データの制限やカスタマーサポートが不足している場合があります。安全かつ高速なVPN接続を求める場合には、有料のVPNサービスを選ぶことをお勧めします。
5.VPNサービスを選ぶ際の注意点
最後に、VPNサービスを選ぶ際の注意点やポイントについて簡単にご紹介します。
ログの取り扱い
VPNサービスの運営者がログを取っていないか、あるいは取っている場合はどのように保管・取り扱っているかを確認することが重要です。VPNサービスはプライバシーを守るために利用されますが、VPNサービスの運営者がログを取っている場合、その情報が政府や法執行機関に提供される可能性があります。
セキュリティ機能
VPNサービスのセキュリティに関しては、VPN接続時に使用されるプロトコル、暗号化の種類、サーバーのセキュリティ対策などを確認することが重要です。強力な暗号化を使用しているか、DNSリーク対策があるか、二段階認証を利用できるか、自動切断機能があるか、などを確認するようにしましょう。
通信速度
VPNサービスの通信速度は、インターネット接続の速度を低下させる可能性があります。特に、P2Pファイル共有やストリーミングなどの高速接続を必要とする場合は、速度の向上が必要です。
サーバーの配置
VPNサービスのサーバーの配置も重要なポイントです。特定の国や地域にアクセスする必要がある場合は、その国や地域にサーバーがあるかどうかを確認する必要があります。例えば、ChatGPTを用いて、米国のデータだけをベースにして情報を収集したい場合、利用するVPNサービスが米国にサーバーを持っていなければなりません。
料金
VPNサービスの料金も重要なポイントです。無料のVPNサービスもありますが、上述した通り、セキュリティや速度などに問題があることがあります。有料のVPNサービスでも、値段によって提供される機能やサーバーの数が異なります。必要な機能や使用目的に合わせて、価格と機能のバランスを考慮して選ぶことが大切です。
これらのポイントを比較し、自社に合ったVPNサービスを選ぶことが重要です。
まとめ
本記事では、自宅やカフェなどのオフィス以外の場所でインターネットに安全にアクセスするためのVPNサーバーについて詳しく解説しました。また、ハードウェアVPNルーター、ソフトウェアVPNサーバー、VPNクラウドサービスの3つのVPNサーバー構築方法についてご紹介しました。さらに、強固なセキュリティやアクセスできる国と地域の多さ、通信速度などや手厚いカスタマーサポートなどの観点から無料ではなく、有料のVPNサービスをおすすめしました。最後には、VPNサービスを選ぶ際の注意点についても記載しました。本記事を通して、VPNに関する基本について理解していただけたのではないでしょうか。
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