AIエージェント時代のレガシー刷新: 勝つチームに求められる知識・スキルとは?
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前回は、AIエージェントがレガシーシステム刷新で課題を自動解析し、コード生成まで行うことで、迅速かつ正確な解決を実現することをご紹介しました。
しかし、AIの力を最大限に引き出し、確実に成果を上げるには、単なるツールの活用だけでは不十分です。AIエージェントの知識・スキルとシステム開発の経験を持つエンジニアチームの存在が不可欠です。
これらのスキルを備えたチームであれば、テストやバグ修正にかかる時間を削減でき、手作業による運用工数も50〜70%削減できます。その結果、リリースサイクルは従
来の5〜10倍に短縮可能です。
本記事では、レガシー刷新でコスト構造を根本から改善し、AI導入のROIを最大化するために必要な4つの専門スキルを具体的に解説します。
1. AIを最大限活用したレガシー刷新で、人間は何をすべきか?
レガシーシステム刷新は膨大な人月と時間を要し、多くの企業に大きな負担をもたらしていました。
AIエージェントはコード解析や新コード生成の自動化を通じて、工数削減や品質向上、さらにブラックボックス化したシステムの可視化まで実現します。
しかし、その成果の品質を担保し、AIの行動を評価・指示するためには、人間の高度な専門性が不可欠です。
· 意図の検証:非公式仕様や例外的業務慣習が正しく反映されているか確認
· 戦略的指示:移行優先モジュールや最終アーキテクチャを事業戦略に沿って決定
· ガバナンス遵守:金融規制やセキュリティ、法的要件を満たしているか保証
2. AIを活用したモダナイゼーション成功に不可欠な4つの専門スキル
レガシー刷新プロジェクトで成果を出すために、開発チームが備えるべき中核的な専門スキルを解説します。
2.1. レガシー・ドメイン知識とアーキテクチャスキル
モダナイゼーションの第一歩はAIによるソースコード解析です。COBOLなど旧言語でも現状把握は大幅に短縮できますが、解析結果を現場の業務慣習や例外要件に沿って最終確認し、価値ある移行戦略にするのは人間の役割です。 この重要なプロセスで求められる能力は以下の2点です。
· 旧言語の読解力: COBOL、PL/Iなど古い言語のコードを読解し、背後にあるビジネスロジックを正確に把握する能力。
· エンタープライズアーキテクチャの理解: 機能・データフロー・外部依存関係を俯瞰し、AIに正確なモダナイゼーション目標を指示できる力。
実際に、CMC Japanが支援した日本の大手運送企業のモダナイゼーションプロジェクトでは、この“AI × ヒューマン・インテリジェンス”の融合が大きな成果を生み出しました。COBOL資産をクラウドネイティブ環境へ移行する中で弊社のエンジニアは旧言語の読解力とアーキテクチャ設計スキルを駆使し、AI解析結果を迅速に補正。複雑な業務ロジックを損なうことなく、最適なクラウド構成を再設計しました。その結果、プロジェクト工期を短縮できました。
2.2. AI・データエンジニアリングスキル:生成と検証を司る「チームの頭脳」
ソースコード解析後、AIはモダン言語へのコード生成と自動テストを行い開発速度を向上させま
すが、品質・セキュリティ・戦略適合性を最終保証するのは人間の役割です。
この重要なプロセスで求められる能力は以下の3点です。
· AI・ML開発経験: Python、TensorFlow、PyTorchなどを用いたAI/ML開発の専門知識。
· LLM/AIエージェント開発経験: LangChain、RAG(Retrieval-Augmented Generation)、Prompt Engineeringを活用したAIエージェントの設計・開発。
· データ基盤・ETLスキル: 大規模データの収集・加工・統合(ETL)パイプライン構築経験。
CMCは、レガシーシステムに関する深い知識とAI/LLMエージェントに関する専門スキルを持つエンジニアチームを提供します。この組み合わせにより、AIは中核業務ロジックに完全に適合したモダンコードを生成可能となります。結果として、テスト工数を削減し、リリース後のバグ修正コストを節約しながら、安全かつ高品質にモダナイゼーションを加速させます。
2.3. セキュアDevOps・クラウド運用スキル
AIが生成した新規システムを、本番環境に安全かつ自動的にデプロイし、継続的に運用する能力です。セキュリティとガバナンスの知識もこの運用フェーズに統合されます。
この重要なプロセスで求められる能力は以下の3点です。
· コンテナ技術とクラウド運用: Docker / Kubernetes を用いた開発・運用、AWS / GCP / Azure での安定的なモデル・サービス運用経験。
· CI/CD環境での自動化スキル: テスト、ビルド、デプロイのプロセス全体を自動化するスキル。
· セキュリティ・ガバナンス知識: AIが安全なコードを生成するためのセキュリティポリシー設計と、個人情報保護の知識・コンプライアンス実装経験。 さらにCMCでは、チーム全員が遵守すべき厳格な情報セキュリティルールを整備しています。無関係なメンバーが他部署の作業エリアに立ち入れないよう管理し、外部に送信するファイルには必ずパスワードを設定。また、これらの規則は定期的なトレーニングを通じて全員に徹底されています。このように、高度な技術力と厳格なセキュリティ・ガバナンスを組み合わせることで、AI生成コードの安全な本番稼働と継続的な運用が可能となっています。
2.4. 戦略的コミュニケーションスキル:日本市場特有の成功要因
CMC Japanは、日本企業に最高のサービスを提供するために、全員の技術力だけでなく、同じくらい重要なコミュニケーション力の強化にも注力しています。 その一環として、毎月定期的にワークショップやトレーニングを開催し、経験豊富なメンバーから日本のお客様との効果的なコミュニケーション方法や文化理解のコツを学ぶ機会を、営業チームと開発チーム全体に提供しています。
これにより、言語や文化の壁を越え、よりスムーズかつ信頼性の高いプロジェクト遂行が可能になります。 日本企業の文化や業務に潜む「暗黙知」や「阿吽の呼吸」を正確に理解するには、単なる日本語の会話力だけでなく、お客様の立場や考え方を理解するマインドセットが不可欠です。 特にオフショアチームを活用する際には、現場担当者との正確な確認・折衝を通じて、円滑なチーム連携と成果の最大化を実現する能力が求められます。
まとめ
モダナイゼーションの成否は、AIエージェントの導入以上に、それを使いこなす「人間の専門性」で決まります。勝利チームに必須なのは、旧コードのロジック解析、移行データ品質の担保、セキュアDevOps迅速かつ安全な本稼働、戦略的コミュニケー
ション日本の「暗黙知」理解という4つのコアスキルです。
しかし、これら全てを持つ専門チームを自社で育成・維持するには、高額なコスト、長期的な時間、そして人材リスクが伴います。
CMC Japanは、この課題に対し、コストを最適化し、深い日本語対応力と安定した育成ノウハウを持つODCチームを即座にご提供。
お客様のノウハウを確実に継承し、事業変革を加速させる「ともに解決するパートナー」として、全面的なサポートをお約束します。