[2024年版」エンジニア 不足は深刻?原因から徹底対策まで具体的に解説する
IT業界では、技術が進化する一方で、エンジニア不足が問題になっています。今回の記事には、エンジニア不足の現状とIT人材不足が抱える今後の課題について、原因から徹底対策まで解説します。
目次
日本におけるエンジニア不足の現状
エンジニア不足というのは嘘ではなく、紛れもない事実です。
経済産業省が2019年3月に発表した報告書「IT人材の需給に関する調査」を参照すると、IT人材の需要と供給にギャップがあり、IT需要構造の変化によりIT人材が不足していること が明らかになっています。
2018年のIT人材不足数は22万人でした。しかし、翌年には26万人、さらに2020年には30万人と増加を続けています。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA) の「DX白書2023」によると、日本では、「やや不足している」は2021年度調査の55.0%から2022年度調査は34.4%と減少している 一方、「大幅に不足している」は2021年度調査30.5%から2022年度調査は51.7%になり明確な不足を回答 する企業が半数にまで増加しています。
今後も続く?
出所:2015 年は総務省「平成 27 年国勢調査」によるもの、 2016 年以降は試算結果をもとにみずほ情報総研作成
上図には、 IT 需要の伸びが「低位」・「中位」・「高位」、生産性上昇率が「0.7%」の 場合の IT 人材需給の試算結果を示しました。
2030年までに16万人から79万人が不足すると予測しています。予測数にはかなりのばらつきがあるが、これはIT需要の拡大や生産性向上率によって発生するITエンジニア不足数の増減を推計しているためです。
IT人材の不足は年々増加の一途をたどることが予想されるが、今後のIT需要と生産性向上のバランスによって不足の程度は変化します。
同じ調査により、仮に、生産性上昇率を2.4%まで引き上げることができ、IT需要が1%程度の低水準にとどまった場合、2030年頃には人材不足が解消されるだけでなく、7. 2万人の余剰が発生することが予測されます。
しかし、他のパターンでは今後人材不足の解消は期待できません。実際、生産性が0.7%上昇し、IT需要が3~9%増加するというバランスが大きく崩れた場合、78. 7万人が不足するリスクがあります。一方、生産性が年率3.54%向上すれば、需給バランスが取れる可能性があると試算されています。
以上のデータから、生産性の伸び率が上昇し、IT需要が低水準で推移しない限り、IT人材不足は深刻化すると言えます。
エンジニア不足の原因
技術の進化のスピードが速い
技術の進化のスピードがエンジニア不足を引き起こしています。テクノロジーの進歩により、新しい技術やプログラミング言語が短期間で登場しています。これに対応するためには、エンジニアは常に最新の知識とスキルを学び続ける必要があります。しかし、多くの企業は新たな技術を採用する際にエンジニアが足りないために導入が遅れることがあります。
エンジニアの教育体制の問題
教育の仕組みが追いつかず、学校や大学でのカリキュラムが現実の需要に合わないことがあります。特に最新のテクノロジーに関する教育が不足しており、求人に対して適切な人材を育成することができないのです。また、高度な技術を身につけるには専門の教育機関や講座が必要ですが、それらへのアクセスが制限されている場合もあります。
需要と供給の差異
エンジニアの需要と供給のバランスの問題が挙げられます。現在はデジタル化が進んでおり、あらゆる産業でエンジニアが必要とされます。しかし、エンジニアを育成しようとする企業や団体と、エンジニアを求める企業との間で需要と供給の乖離が生じています。その結果、エンジニアは高いスキルを持っていながらも適切な職場が見つからず、企業はニーズに合ったエンジニアを採用できないという状況に陥っています。
エンジニアの労働環境や待遇が改善必要
エンジニアは労働が非常にハードであり、常に最新のテクノロジーに追従しなければならないため、多くのストレスを抱えています。また、エンジニアの給与水準も業界によって大きく異なるため、モチベーションの低下や転職率の増加に繋がっています。
エンジニア不足を解消するためには、まず教育の改革が必要です。最新の技術やプログラミング言語に関する教育を充実させることに加えて、学校や大学と企業の協力体制を構築し、実践的なスキルを身につけられるような教育環境を整えることが重要です。
エンジニア 不足を解消する為に、どのような対策を講じるべきか?
IT人材の生産性向上
- スキルアップ
テクノロジーは常に変化しており、特に変化の激しいIT業界では、現在使用している言語やツールが、1年後にはより効率的な代替品になっている可能性もあります。限られた時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮するためには、常に知識やスキルをアップデートし、使いこなすことが重要です。そのためには、資格取得も含めて常に学び続け、スキルアップに努める必要があります。
- 希少資源を見える化する
仕事における希少資源とは、時間とお金である。エンジニアは、まず自分の仕事を見直し、タスク管理や時間の使い方を見直し、何がボトルネックになっているのかを分析し、見える化してみます。
また、タスクの進捗状況から自分の弱点を客観的に把握することができるため、スキルアップのためにどこに力を入れるべきかも見えてきます。
IT人材の供給力強化
IT人材の供給力を強化する一つの方法は、新卒者の供給力強化です。
近年、IT人材の新卒者数は増加傾向にあり、これを維持・増加させることも一つの戦略です。少子化で新卒総数が減少していること、IT関連の高度な教育を行う学部・研究科の定員には限界があることを考えると、IT系新卒者の増加傾向を維持・拡大する必要があります。
- IT教育を強化
これは容易なことではないが、学生時代にITスキルを向上させる教育機会を増やすことで、ITプロフェッショナルとして活躍する新卒者の割合を増やすことは可能です。ただし、こうした取り組みにおいても、IT需要の構造変化を考慮し、将来のIT需要に対応したスキルや能力を目標とする教育を優先することが重要です。
新卒者がIT人材として明確に活躍しなくても、ITの素養や基礎能力を持った人材が様々な業界で活躍することは、業界全体の生産性向上やイノベーションの促進に貢献することが期待されます。
- 子供達もプログラミングを学ぶ
小中学校でのプログラミング教育の実践、高校での情報教育の強化により、中長期的にはITスキルを持つ若者の増加が期待されます。
文部科学省の「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について」によると、小学校におけるプログラミング教育が目指すのは、前述のように、子供たちが、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験しながら、身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気付くこと、各教科等で育まれる思考力を基盤としながら基礎的な「プログラミング的思考」を身に付けること、コンピュータの働きを自分の生活に生かそうとする態度を身に付けることです。
中学校や高等学校の段階では、簡単なプログラムの作成や、コンピュータの働きの科学的な理解などを目指し、技術・家庭科や情報科において構造化された内容を体系的に学んでいくことが必要となります。一方で、小学校におけるプログラミング教育が目指す、身近な生活の中での気付きを促したり、各教科等で身に付いた思考力を「プログラミング的思考」につなげたり、コンピュータの働きが身近な様々な場面で役立っていることを実感しながら自分の生活に生かそうとしたりするためには、学級担任制のメリットを生かしながら、教育課程全体を見渡した中で、プログラミング教育を行う単元を各学校が適切に位置付け、実施していくことが効果的であると考えられます。
こうしたプログラミング教育を受けた若者が新卒として活躍して、プログラミング教育を受けた人が多いことから、IT人材の質的向上が期待できるでしょう。
IT 人材の離職の低減化
IT人材の減少を抑制する観点から、IT人材の離職率を低下させる必要があります。
2023年1月に株式会社リクルートが発表した「2022年 10-12月期 転職時の賃金変動状況」によると、 IT系エンジニア職において「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は39.7%となり、過去最高を更新しました。IT業界の転職市場は引き続き活発で、エンジニア不足が顕著になっています。
新たな人材の採用を促進し、現在のIT人材の定着を図るためには、より良い処遇を見直すことも重要です。
IT人材の処遇を改善することで、働きがいや働きやすさの向上、求職者の増加、離職防止などが期待できます。また、ワークバランスを保った職場環境を整備することで、多様な人材を採用しやすくなる。
IT人材の活躍の場を増やすためには、一つの企業で長く働くだけでなく、IT人材が個々のスキルや能力を活かし、成長機会を獲得する機会を増やすことが必要です。その結果、流動性が高まれば、IT人材を獲得するための企業間の健全な競争環境の構築が促進され、IT人材の処遇や労働環境の改善にも寄与すると考えられます。
外国人IT人材の採用
社内の採用だけに頼るのではなく、アウトソーシングや人材派遣など、外部の開発会社、特に海外の開発会社を活用するのも一つの手です。採用や育成には時間とコストがかかり、必要なリソースが間に合わないリスクもあります。そのような場合は、アウトソーシングを検討するのもよいでしょう。
外国人IT人材を採用する際に、日本の労働環境や文化について理解を深めるためのサポートが必要です。CMC Japanは、ベトナム第二位のICTグループ「CMC Corporation」の日本法人です。30年にわたりCMCグループが培ってきた技術力やノウハウをもって、お客様のプロジェクト・開発体制をサポートします。ITサービスに関する無料相談はこちら!
まとめ
人材需給の状況は、日本企業がIT活用を進め、デジタルトランスフォーメーションを実現し、さらなる発展を遂げるための青写真とも言えます。将来のIT人材を育成する取り組みは、日本の産業や企業が将来の競争力を獲得するために極めて重要な取り組みです。今回の記事が、こうした取り組みを加速・強化する一助となることを強く期待したいです。
CMC Japanでは、常に進化し続けるこの産業で企業が競争力を維持するために、幅広いITサービスとソリューションを提供しています。当社の専門家は、各クライアントの独自のニーズに応えるために最高品質のサービスを提供することに専念しています。お気軽にお問い合わせください。