「アフターコロナ」のテクノロジートレンドを考察!
新型コロナウイルスパンデミックは世界経済に多大な影響を与えました。金融危機だけでなく、多くの企業は生産・運営方法の変化に迫られています。
新たな発展の視点、新たなトレンド、新たな経済ルールの出現により、経済や社会は「ニューノーマル」への対応が必要であり、そんな状況下でますます注目を浴びるのが先端技術の活用です。
これらの技術は、新型コロナウイルスを超えて長期的な影響を及ぼす可能性があり、また、企業にブレークスルーのための無数の機会をもたらします。
中国のIT市場における新型コロナウイルスの影響に関する調査において、「IDC」は今後可能性のある新たな機会について、以下のように指摘しています。
- デジタルプラットフォームとビッグデータは、政府の業務のインテリジェンス化と近代化を促進。
- 都市クラスターの分散化+中心市街地における新たなスマートシティの可能性。
- ヘルスケアシステムのデジタルトランスフォーメーションの加速に関連したオンラインヘルスケアサービスの発展。
- 加速する非接触型ビジネスとサービスの台頭に関連したオンライン授業と教育、リモートオフィスとオンライン活動、5G産業への応用、無人商取引とサービス、生鮮食品の電子商取引の機会。
- 加速する「チャイナプラスワン」のグローバルサプライチェーン戦略に関連したサプライチェーンマネジメント、製造、サービスロボットの発展。
ここでは、上記であげたアフターコロナで進化していく業界と、そこで活用される先端技術について考察します。
目次
オンラインショッピングとロボット配送
2002年後半にSARSが発生したことで、中国では企業間および企業から消費者へのオンライン・マーケットプレイス・プラットフォームが驚異的な成長を遂げました。
同様に、新型コロナウイルスは、オンラインショッピングを「必要なもの」から「必要不可欠なもの」へと世界中で変貌させました。北京のいくつかの飲食店では、オンライン注文と配送を通じたハッピーアワーを提供し続けています。
オンラインショッピングは、堅牢な物流システムによってサポートされる必要があります。対面配送はウイルスに強いわけではありません。アメリカや中国の多くの宅配会社やレストランは、人からの受け取りや手渡しではなく、指定された場所で商品の受け取りを行う非接触型の宅配サービスを開始しています。中国の電子商取引大手もロボット配送の開発を進めています。しかし、ロボット配送サービスが普及する前に、配送業者は配送された商品の衛生状態を守るための明確な手順を確立する必要があります。
デジタル&非接触型の決済方法
現金がウイルスを運ぶ可能性があるため、中国、米国、韓国の中央銀行は、流通する前に紙幣を清潔にするための様々な対策を実施しています。現在、新型コロナウイルスの蔓延を避けるためには、カードや電子財布の形での非接触型デジタル決済が推奨されています。デジタル決済を利用することで、人々はオンラインで商品やサービスの購入や支払い、さらには公共料金の支払いを行うことができるようになり、景気刺激策の資金をより早く受け取ることができるようになります。
しかし、世界銀行によると、17億人以上の銀行口座を持たない人々がおり、デジタル決済に簡単にアクセスできない可能性があります。デジタル決済が利用できるかどうかは、インターネットの利用可能性やデバイス、現金をデジタル化するためのネットワークにも依存しています。
リモートワーク&通信教育
多くの企業が従業員に在宅勤務を求めています。リモートワークは、VPN(仮想プライベートネットワーク)、VoIP(ボイスオーバーインターネットプロトコル)、仮想会議、クラウド技術、ワークコラボレーションツール、さらには自宅のプライバシーを守るために、バーチャル背景を可能にする顔認証技術などの技術が適用されています。リモートワークは、ウイルスの蔓延を防ぐだけでなく、通勤時間の短縮や柔軟性の向上にもつながります。
4月中旬から、191カ国が学校や大学の閉鎖を実施し、15億7000万人の学生に影響が出ました。多くの教育機関は、検疫措置によって教育が中断されないように、オンラインでのコース提供を開始しました。リモート学習に関わる技術は、リモートワークと似ており、VR、拡張現実、3Dプリント、人工知能対応のロボット教師なども含まれています。
テレヘルス(遠隔医療)
「テレヘルス」は、本質的なプライマリケアを提供しながら新型コロナウイルスの感染拡大を抑止する効果的な方法となり得ます。ウェアラブルな個人用のIoTデバイスは、バイタルサインを追跡することができ、チャットボットは、患者が特定した症状に基づいて初期診断を行うことができます。
しかし、医療費が高い国では、テレヘルスが保険でカバーされるかどうかが重要になります。また、テレヘルスにおいては、操作するための一定レベルの技術リテラシーと、良好なインターネット接続が必要です。また、医療サービスは最も規制の厳しいビジネスの一つであるため、医師は通常、同じ管轄区域に住む患者にしか医療ケアを提供できません。規制が書かれた当時は、テレヘルスが利用可能な世界を想定していなかったかもしれません。
サプライチェーン 4.0
ロボティックス&ドローン
新型コロナウイルスによって、私たちは、いかに互いに依存し、世界規模で協働しているのかを痛感しました。特に小売、食品、製造業、物流などの労働集約型ビジネスは、大きな打撃を受けました。
一方、新型コロナウイルスは、ロボットの応用とロボット工学の研究をロールアウトするための強力な後押しにもなりました。
最近では、ロボットが地域の消毒や、検疫中の人に食べ物を届けるために使用されたり、ドローンが犬の散歩をしたり、荷物を配送をしています。
5G&ICT
前述のテクノロジートレンドはすべて、安定した高速かつ手頃な価格のインターネットに依存しています。5Gは遠隔監視や医療相談においてその重要性を示していますが、ヨーロッパではこの技術が最も必要とされる時期に5Gのロールアウトが遅れています。5Gの採用は、互換性のある機器のコストとデータプランのコストを上昇させることになります。5Gネットワークが世界的に拡大する中で、インターネットへの包括的なアクセスを確保するために、これらの問題に対処することは、今後も課題となります。
ITビジネスにとって、パンデミックの課題は、ブレークスルーを実現するための多くの「機会」をもたらしました。デロイトのレポートによると、ITサービス業界で変化するトレンドには次のようなものがあります:
- クラウド基盤サービスの需要が増加し、特化型ソフトウェアへの支出の可能性につながる。また、通信教育や仕事のトレンドが急増し、通信機器や通信サービスのニーズにつながると予測。
- ほとんどの企業では、リモートワークの維持管理に強いITチームを持っておらず、ネットワークセキュリティや機器調達などの問題でITサービスプロバイダの助けが必要。
- 高速かつ自動でデータにアクセスしたいというニーズは、ネットワーク回線機器の需要の増加につながる。そのため、5Gネットワークはこれまで以上に優先されることになる。
ベトナムでは、他の多くのビジネスと比較して、IT企業は現在の複雑な状況に適応し、柔軟に対応していると考えられています。TopDev社の調査によると、60%以上のIT企業が雇用管理ソリューションやテクノロジーを中心とした人材に「迅速に適応」しているという。従業員の解雇を選択したのはわずか7%で、5%の企業が倒産。これは、ベトナムのソフトウェアサービスプロバイダーのビジネス活動が安定したレベルを維持していることを示しています。
その上、中国から工場を移転する動きが、ますます顕在化しており、パンデミック対策を効果的に行えるベトナムが外国人投資家のターゲットになっています。最新の更新情報によると、多くの米大企業が中国に代わる進出先として選ぶのは、ベトナムとインドネシアの2カ国。具体的には、中国でのアップルの生産チェーンが麻痺していることで、生産が一刻も早く国外に移動するペースが強まっているといいます。iPhoneの組み立てを専門とする「 Pegatron (ペガトロン)」は、インドネシアに工場を投資しており、2021年初頭に完成する予定。また、AirPodsヘッドセットの組み立てを専門とする「Inventec(インベステック)」もベトナムに工場を建設する準備を進めています。これに先立ち、「Foxconn(フォックスコン)」は速やかにベトナムとインドに工場を投資していました。
まとめ
新型コロナウイルスが仮に過ぎ去ったとしても、その影響は残るでしょう。したがって、経済と生産の回復には長い時間がかかることが予測されています。速やかに突破のチャンスを掴み、アフターコロナの時代に的確なポジショニングを取ることで、IT企業は危機を乗り越えることができるのではないでしょうか。
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