ARとは?AR 開発のユースケース、おすすめの言語、ツール
ポケモンを捕まえたり、Snapchatフィルターを顔に適用したり、IKEAの家具が家の中でどのように見えるかを確認したりすることに、ARが役に立ちます。AR技術導入の気運が高まっています。しかし、ARとは何でしょう?AR開発を始めるにはどうすればよいでしょうか?この記事がARの完全ガイドです。
1.拡張現実(Augmented Reality - AR)とは
拡張現実(AR)は、人間の現実認識を強化する画像、音声やテキストなどのデジタル情報を重ね合わせて、現実環境を拡張する技術です。ARは仮想現実 (Virtual Reality – VR)と異なります。VRヘッドセットを装着することで、水中や宇宙などの新しい現実に「入る」ことができます。
ARとVR・MR・XR の違い
- 拡張現実 (AR)は、デジタル要素を現実世界に追加します。ポケモンGO現象をまだ覚えていますか? プレイヤーは物理的に移動して架空生物を集めることができます。
- VRゴーグルを使用すると、ユーザーが仮想現実(VR)という新しい環境に移動します。 その意図は、現実世界を遮断し、ユーザーが新しいデジタル世界に没頭しているように感じさせることです。
- ARとVRの両方の要素を含む複合現実 (Mixed Reality – MR)では、物理的なアイテムと仮想的なアイテムを重ねて相互作用させることができます。
- これら3つの用語は、包括的な用語である「Extended Reality – XR」に分類されます。
2.ARの活用事例とユースケース
2.1.ECにおける AR 開発
IKEA、AmazonやSephoraは、ARモバイルまたはウェアラブルグラスインターフェースを通してECショッピング体験を提供する大手小売企業の例です。これらのブランドのアプリケーションは、顧客がリアルタイムで購入決定を下すのに役に立ちます。
例えば、IKEAのARモバイルアプリは、リビングルームの写真を撮り、スペースを測定し、適切な家具を推奨します。
Sephoraのバーチャルメイクアップ試着をご覧ください。アプリのユーザーは、実際の製品を購入する前に、多彩な色の口紅をバーチャルで試すことができます。完璧なメイクアップを実現しようとするのはもう面倒ではありません。
2.2.インストアショッピングエクスペリエンスにおけるAR開発
ECの他に、ARは実店舗でも使用されています。
ARグラスは、位置情報を提供し、データを収集し、リモートオーディオ・ビデオ通話をサポートします。インストアショッパーはARグラスをかけて店内に足を踏み入れると、商品を見るだけで商品情報を知ることができます。そのグラスを使うと、顧客は製品のレビューや説明を読んだり、好みに基づいて製品をフィルタリングしたりすることもできます。
顧客はショッピングアプリの音声コントロール機能を使用して、タスクを実行できます。例えば、探している商品の価格を声に出すと、ARグラスのAIアシスタントがその価格帯の商品を視野に表示します。
2.3.ゲーム業界におけるAR開発
AR技術の最も明白な用途の1つはゲームです。仮想世界と現実世界を融合させ、ゲーマーを完全に没頭させます。この技術は、スマートフォンの外にエンターテイメントをもたらすことで、通常のゲームでの没入感を強化します。
ポケモンGOは最も画期的なARゲームの1つです。プレイヤーは、スマートフォンのカメラやGPSなどを使用して、位置情報ベースのAR体験を実現し、現実環境でプレイできます。このゲームでは、プレイヤーは現実世界の様々な場所に隠れているポケモンを集めることで、ポケモンマスターになることができます。他のARゲームの成功例はジュラシック・ワールド・ライブ、ウォーキング・デッドやハリー ポッターなどです。
3.AR開発を始めるために知っておくべきこと
3.1.4種類のARアプリ
ARアプリの開発は、アプリケーションで追求するビジネス目標に応じて、様々な形をとります。ARソリューションの主な4種類を見てみましょう。
- マーカー型AR (Marker-based AR): このARアプリケーションは画像マーカーまたは画像認識に基づいています。アプリケーションが認識できる画像・オブジェクトを検出すると、デジタルデータをマーカーに重ねます。このようなソリューションでは、QRコードなどの非3Dオブジェクトまたは 3Dオブジェクトをマーカーとして使用できます。
- ロケーションベース型AR(Location-based AR): ロケーションベース型ARは、「マーカーレスAR」とも呼ばれ、最も広く使用されている拡張現実の実装です。このARタイプは、マーカーを使用する代わりに、GPS、コンパス、アクセラレータやその他の位置検出器を使用して、現在の位置に基づいてARオブジェクトを作成します。ポケモンGOはロケーションベース型ARの代表的な例です。
- プロジェクションAR(Projection AR):このタイプのアプリケーションはビジュアルオドメトリに基づいています。複雑なアルゴリズムを使用したり、多数のセンサーからデータを収集したりすることで、オブジェクトの正確な位置を特定し、それぞれのアクションを実行します。プロジェクションARは、内蔵カメラから隠しオブジェクトを表示できるため、駐車システムで使用できます。エンジニアや建築家はプロジェクションARを利用して、建造物を配置する環境をよりよく研究できます。
- スーパーインポーズ型AR (Superimposition-based AR): スーパーインポーズ型ARは医療やヘルスケアで使用されます。現実の画像は処理され、認識され、ARオブジェクトにオーバーレイされます。
3.2.AR開発に最適なツール
どのような技術が使えるかを知らずにARアプリを作ることは不可能です。
AR開発SDKは、開発者が他の企業が作成したコンポーネントを開発することなく、より迅速にARアプリを開発者が作成できるように設計されたツールです。ビジネス目標に沿った最適なSDKを選択するには、次の要素を考慮する必要があります。
- ARのネイティブサポート
- 目指している運用管理プラットフォーム
- プログラミング言語
- 公式SDKサポート
- ライセンスと収益化
SDKに関するこのような詳細を知っていれば、多額の費用を支払う必要がなく、ARアプリの開発プロセスを妨げない最適なソリューションを選択できます。
VUFORIA
Vuforiaは、企業が顧客に臨場感があふれる体験を提供する、最も有名なAR開発SDKの1つです。 Unityを介したアクセシビリティAPIのおかげで、Vuforiaを使用してiOS及びAndroid用のネイティブアプリを開発できます。また、ARアプリ用の豊富な機能セットを備えた完全なSDKと見なされます。
- 対象の画像、英語のテキストや3Dオブジェクトのリアルタイムの識別と追跡
- 3Dモデルなどの仮想オブジェクトを実環境に配置する
- 多目的 3D設定
- エリアターゲットジェネレーターを使用したVuforia Engine Area Target
- スキャンされたモデルターゲット
- 高度なモデルターゲット ・ 複数のモデルの検出
- アプリを一時停止しても作業を継続
- シミュレーションモード
- Vuforia エンジン トラッキング スケール
WIKITUDE
WikitudeはモバイルアプリやARプロトタイプの作成に使用されます。新しいWikitude SDKにより、開発者は位置情報、画像追跡や物体認識などの機能を実装できます。 それらの機能のいくつかは次のとおりです。
- 3D認識と追跡
- 画像認識と追跡
- クラウド型認識
- ロケーション型AR
- ビデオオーバーレイ
- スマートグラスの統合
- 外部プラグインとの統合
KUDAN
Kudanはもう1つのAR開発SDKです。主な機能は次のとおりです。
- マーカーの有無にかかわらず、位置情報を追跡する要件を提供
- 2D及び3D 画像認識
- Visual SLAM
- 白色光源を検出するセンサーであるFusion Sensor
- 柔軟な統合
- ユニバーサル設定
- Unity SDK
EASYAR
このSDKは様々なタイプの AR 開発のための多数の機能を提供します。
- SLAMのサポート
- 3Dトラッキング
- 画面収録
- クラウド型認識
- 無制限の認識クエリ
APPLE ARKIT
iOS開発者がAR機能を追加できるようにすることを目的としたAppleによるiOS AR開発SDKです。このツールはいくつかの便利な機能を提供します。
- デバイスのモーショントラッキング
- カメラシーンキャプチャ
- 高度なシーン処理
- 視覚慣性オドメトリー
- 平面検出 (床やテーブルなど)
- 照明の見積もり
- Unity及びUnreal エンジンのサポート
GOOGLE ARCORE
Google ARCoreは、スマートフォンやタブレット向けのアプリを作成するための有名なAR開発SDKです。驚くべきことに、同社のARアプリはAndroidデバイスとiOSデバイスの両方でサポートされているため、クロスプラットフォームのARアプリを開発できます。ARCoreは位置追跡と物体認識の2つの要素に基づいています。その優れた機能のいくつかは次のとおりです。
- リアルタイム照度評価
- 仮想オブジェクトの正確な配置
- 現実的なオブジェクトを作成するための簡単なトラッキング
- 垂直面、水平面と傾斜面のサイジング・配置
- 携帯電話の位置に応じた動きの追跡
以下の表はAR開発に使用できる最も人気があり有望なAR SDKをまとめたものです。
Vuforia | Wikitude | EasyAR | Kudan | Apple ARKit | Google ARcore | |
プラットフォーム | Android, iOS, UWP | Android, iOS | Android, iOS, UWP, macOS | Android, iOS, UWP | iOS | Android, iOS |
ライセンス | 無料、商用 | 商用 | 無料、商用 | 無料、商用 | 無料 | 無料 |
2D認識 | + | + | + | + | + | + |
3D認識 | + | + | – | + | + | + |
スマートグラスのサポート | + | + | – | – | + | + |
Unityサポート | + | + | + | + | + | + |
位置情報 | + | + | – | – | + | + |
SLAM | – | + | + | + | + | + |
クラウド型認識 | + | + | + | – | + | + |
SDKに加えて、iOSまたはAndroidアプリ開発のための標準技術も使用する必要があります。これを以下の表に示します。
Android | iOS | |
AR開発言語 | Kotlin, Java | Swift, Objective-C |
SDK | Android SDK | iOS SDK |
ツールキット | Android Studio | Apple Xcode |
結論
CMC Japan は、この記事がAR開発への関心を高めるのに役立つことを願っています。最も成功している企業は創造性やイノベーションから成長するものです。AR技術が提供する無限の可能性に心を開いてください。