優れたソフトウェア開発チームを作るには?アプローチ・体制・役割について解説!
目次
はじめに
多くのインターネット企業がソフトウェア開発チームの構造として「Spotifyモデル」に従ってソフトウェア開発チームを組織するのを目にしてきました。
しかし、調査の結果、このモデルには欠点があることが明らかになっています。
失敗しないモデルというのは存在しないのです。そのため、ソフトウェア開発チームをどのように組織化するか悩む企業も多いでしょう。
この記事では、アジャイル開発において最も一般的なソフトウェア開発チームの構成と、効果的な組織を作るための最善のテクニックについて説明します。
開発チームづくりの3つのアプローチ方法
まずは基本的なことから始めましょう。アジャイル開発チームを組織するには、3つの一般的な方法があります。
ジェネラリスト体制
幅広い才能と専門性を持つ個人で構成されるチーム体制です。
ジェネラリストは、特定の機能またはプロジェクト全体を最初から最後まで開発することを任務とします。
このチーム構成は、大多数のアウトソーシング企業で採用されています。
スペシャリスト体制
スペシャリスト体制は、高度に専門化された才能を持ち、特定の仕事と責任に対応することに慣れたスペシャリストで構成されています。
すべてのチームメンバーは、ある分野の専門家であり、その分野のタスクを割り当てられながら、より広いプロジェクトに貢献します。
ソフトウェア開発チームの大半が採用している構成です。
ハイブリッド体制
ハイブリッド体制とは、ジェネラリスト体制とスペシャリスト体制の構造を融合させたものです。
全体像に焦点を当てる一方で、必要に応じて細部にまでこだわります。ハイブリッド構造は、両方のモデルの最良の特徴を兼ね備えているのです。
ソフトウェア開発チームにおける主な役割
次に、ソフトウェア開発チームには、どんなIT人材が必要なのかを解説します。
ここでは特に、オフショア開発チームを想定してご紹介します。
ビジネスアナリスト
ビジネスアナリストは、ソフトウェアエンジニアが作業を開始する前の早い段階からプロセスに参加します。彼らは、ソフトウェアプロジェクトを必要とする顧客であるクライアントとのコミュニケーションを確立し、関係を発展させる役割を担っています。
この役職は、クライアントのニーズと、その目標を達成するため、ソフトウェア開発チームの能力とのギャップを埋めるために非常に重要です。ビジネスアナリストは、両者と協力しながらニーズや仕様を収集します。
ビジネスアナリストは、エンジニアから営業担当まで、すべてのチームメンバーと協力し、顧客のあらゆるビジネス目標の達成を支援します。また、市場調査を行い、製品のターゲット層を絞り込み、ニッチな市場を構築していきます。
プロダクトオーナー(PO)
プロダクトオーナー(PO)は、ビジネスアナリストと密接に協力しながら、プロダクト全体に責任を持ちます。プロダクトオーナーは、ソフトウェア開発者やほかの利害関係者に望ましい結果を説明し、チームの重要な役割を担います。プロジェクトの重要性と、それがビジネスの全体像の中でどのように位置づけられるかを十分に認識しています。
ビジネスアナリストが顧客と話すのに対して、POは上層部や製品開発の責任者など、本質的なステークホルダーすべてと協働します。また、ビジネスアナリストがより広い範囲をカバーするのに対し、POは一つのプロジェクトに集中することも大きな違いです。
POは、「協力」が基本であるアジャイル開発で運営されるチームにおいて、重要な役割を担っています。
プロジェクトマネージャー(PM)
プロジェクトマネージャー(PM)は、プロジェクトに関わるすべての要素を整理し、最初から最後までのプロセス全体を効果的に管理し、関係者全員が軌道に乗るようにします。予算管理、スケジュール管理、リスク管理、成果物の管理・収集など、その仕事は多岐に渡ります。
PMは、ほかのメンバーと同様、クライアントのニーズと仕様を満たすことが主な目的です。優れたコミュニケーション能力と組織力が不可欠な仕事です。
UXデザイナー・UIデザイナー
想像力が発揮される仕事です。UX(ユーザー体験)デザイナーは、エンドユーザーにとって魅力的な体験を創造するのが仕事です。美的感覚、音声、ナビゲーションフロー、アニメーションなど、ユーザビリティやパフォーマンスの要素も含まれます。
UXデザインは、ユーザーインターフェース(UI)デザインと間違われることがあります。これは、この2つの概念が重なり合っているためです。本当は、UIデザインはUXデザイン全体の構成要素ですが、その逆で、UXデザインはUIの範疇に入らないのです。
大きな違いは、UIはデジタル製品とインターフェイスそのものにしか関係しないことです。さらに、UXはユーザー体験のあらゆる部分を含みますが、UIは製品の外観、ユーザーと製品間のインタラクション、美的感覚デザインの機能のみに焦点を当てます。
小規模なプロジェクトでは、この2つの職務を1つのポジションにまとめる可能性があります。しかし、両職種が同じチーム内で分担して仕事をすることもあります。
ソフトウェア開発者
ソフトウェア開発者の主な仕事は、製品を作ることは間違いありません。しかし、その役割と責任はもう少し複雑です。
たとえば、フロントエンドの開発者は、製品のクライアントとユーザー画面にある要素に焦点を当てます。彼らは、製品の使い勝手はもちろん、自分の置かれた立場でデザインの微妙なニュアンスまで意識しなければなりません。
一方、バックエンドエンジニアは、製品の核となるデータレイヤー、つまり、お客様からは見えない、対話できないが製品自体の礎となるプログラムの構成要素を担当します。
フルスタック開発者は、製品の数多くの分野を担当し、プログラムのフロントエンドとバックエンドのどちらかに特化するわけではありません。これらは、大まかな開発職のほんの一部に過ぎません。その他、モバイル、Web、ブロックチェーン、AI開発など、特定の分野に特化したものもあります。
QAエンジニア
QA(品質保証)エンジニア、アナリスト、テスターといった品質保証の専門家は、製品の品質を確かなものにするために活躍しています。
不具合を発見し、開発チームに解決を依頼することだけが仕事ではありませんが、それも大きな役割です。製品の性能、機能、使い勝手、耐荷重など、さまざまな要素を手動と自動の両方の方法と技術で評価します。
これは、ソフトウェア開発工程の中で決して見落としてはならない重要なステップです。それは、市場での製品の成功または失敗の違いを左右するかもしれません。QAエンジニアは、ユーザーよりも先に問題に気づくべき存在です。
個々のソフトウェア開発チームには付加的な機能があるかもしれませんが、多くの場合、強力で高品質なソフトウェアを生み出すための基盤となるものです。製品開発を外部のチームに委託する場合、あるいは社内でチームを結成する場合、重要なタスクをしっかりと把握するようにしましょう。
効果的なソフトウェア開発チームを構築するための5つのベストプラクティス
効果的なソフトウェア開発チームは、生産性が高く、効率的で、価値ある製品を時間通りに提供することができます。この効率性を備えたチームを作るためのベストプラクティスをご紹介しましょう。
プロジェクトに適したチーム編成を選択する
「開発チームづくりの3つのアプローチ方法」で、開発チームの構造には、ジェネラリスト、スペシャリスト、ハイブリッドチームの3種類があることを説明しました。これらのチームは、あるプロジェクトでは機能し、ほかのプロジェクトでは機能不全に陥ることがあります。
プロジェクトの遅延や機能不全を避けるために、業務や連携に最適なチーム体制を選択しましょう。
大きなチームを小さなチームに分割する
小規模なソフトウェア開発チームは、大規模なチームよりも管理しやすいです。
これは、貢献と努力の管理が容易なためです。そこで、専門性に基づいて4~8人のチームを提案します。
大規模なプロジェクトの場合は、チームをサブチームに分け、それぞれにチームリーダーを配置するのが良いでしょう。
権限の強化
チームがプロジェクトに対して権限を持てるようにします。
いくつかの研究によると、チームに権限を与えると、間接的に各メンバーのIQが向上することがわかっています。
逆に、チームを管理してしまうと、チームの創造性を奪うことになる恐れがあります。
メンバーに権限を与えることで、彼らはより効率的になり、創意工夫をするようになるのです。
アジャイルチームをエンパワーメントする方法
エンパワーメントとは、チームメンバーの一人ひとりが本来、持っている力を発揮することで、自発的に意思決定して行動できるようにすることです。
チームをエンパワーメントするためには、次のような方法があります。
チームを教育する
まずは、アジャイルのマインドセットを押し付けるのではなく、チームが引っ張るように導くべきです。チームに命令書を押し付けるのとは対照的に、これは賛同を生み出します。アジャイルモデルとチームのエンパワーメントの概念について、ビジネス関係者を教育しましょう。
英雄崇拝を取り上げる
英雄崇拝とは、英雄の優れた行動などを賛美することです。
チームメンバーの行動などに対して英雄崇拝を行うことで、チームの目標が強化され、全員がより良い成果を上げ、知性を向上させることができます。
チームに責任を持たせる
チームメンバーに権限を与えたら、その見返りとして、チームメンバーに説明責任を求めましょう。自分の責任とそれをどのように果たすかを共有できるプラットフォームやツールを提供するのです。
チームのバランスを保つ
チームメンバー全員の明確な役割と責任を定義します。
役割分担を明確にし、必要な場合は変更しましょう。
このほか、イテレーションは、チームの計画化やレビューと組み合わせて使用することや、チームオーナーが単に口で言うだけでなく、実証することなどが大切です。
まとめ
ソフトウェア、アプリケーション開発は、コンセプトがあるだけでは十分ではありません。
プロジェクトを簡単かつ効果的に実施するためには、適切なチームメンバーを採用する必要があります。
ソフトウェア開発を行う際は、こちらで紹介したような方法や知識を活用して、効果的な組織を作りましょう。
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