ビッグデータ

ビッグデータとは|定義やメリット、活用事例を解説

インターネットが普及した現代では、企業はあらゆるデバイス(PC、モバイル、タブレット等)やWebサイト、アプリケーションからデータを収集することが可能になりました。しかし、収集した膨大なデータからどのデータを抽出し、自社の事業に反映させるかによりそのデータの価値は大きく変わります。自社に必要なデータを上手く抽出し、活用できた企業は持続的に成長を続けられますが、そうでない企業は、残念ながらこの情報社会を生き抜くのは難しくなっていくかもしれません。

そこで、企業が収集したデータをビジネスに有効活用し、持続的に成長できるようビッグデータの概要、問題点、活用するメリット、活用事例をご紹介します。

目次

ビッグデータとは

まず初めに、ビッグデータの定義を確認します。

ビッグデータの定義

ビッグデータという言葉を明確に定義するのは難しいですが、本記事では、「あらゆるデバイス、サイト、メディアから収集される自社にまつわるデータ群」と定義します。例えば、Webサイトにおけるユーザーの閲覧履歴や購買履歴、SNS上の投稿、社内で作成された文書データ、CRMシステムなどで管理している顧客データなどが挙げられます。

ビッグデータにおける「5つのV」

文章あビッグデータの特徴は、「5つのV」で表されることが多いです。具体的には、【Volume:量】、【Variety:多様性】、【Velocity:速度】、【Veracity:正確性】、【Value:価値】の5つです。

ビッグデータの問題点

次に、ビッグデータに関する問題点を見ていきましょう。

①データの質にばらつきがある
当然のことではありますが、さまざまな機器やWebサイト、アプリケーションから収集したビッグデータの全てが自社にとって有効なデータであるとは限りません。それぞれのデータの品質や信頼性にばらつき(不完全であったり、重複していたり)があることを理解したうえで、自社のビジネスに活用できそうな信頼性や質の高いデータを抽出する必要があります。

②プライバシーに関わるデータが含まれる
企業によって収集されたビッグデータの中には、ユーザーの氏名や住所、性別などプライバシーに関わるデータが含まれており、それらを慎重に扱わなければなりません。万が一、個人情報や企業秘密が流出した時には、ユーザーやクライアントに多大なる損害を与え、企業の信用問題にも発展しかねません。

③データの管理・維持費用
収集したビッグデータは、必要な時にすぐに抽出できるような状態にしておく必要があります。そのためには、膨大なデータを保存・管理できるシステムの構築・運用・維持・修理・調整をする必要があり、それには多くの費用が発生することを覚悟しておかなければなりません。

ビッグデータを活用するメリット

以下に企業がビッグデータを活用するメリットをご紹介します。

新たなビジネスの創出

収集したビッグデータから、市場の動向やユーザーのニーズを分析し、把握することで新たなビジネスチャンスのヒントが得られる場合があります。また、ビッグデータと社内リソース、AI(人工知能)や5G、クラウド、IoTと掛け合わせた新サービスを開発することで新たな顧客体験の提供につなげられます。新たな価値の創出は長期的に企業に利益をもたらす可能性を秘めています。

既存サービスの改善

ビッグデータを解析することで、競合他社の動向やユーザーのニーズの変化、既存サービスにおける改善点などを明確に把握することができます。ユーザーのニーズを考慮し、競合他社と差別化を図ることで既存サービスを改善することは、顧客満足度を向上させるだけでなく、企業の競争力を維持することにもつながります。

効果的なマーケティング

多くの企業は、消費者に自社商品やサービスを認知してもらい、利用してもらうためにマーケティングにコストをかけています。マーケティング施策が効果的でないことがわかった時点で方向転換もしくは中止をしなければならず、その判断は早ければ早いほどマーケティングコストの削減につながります。

そのため、ビッグデータを解析することで、リアルタイムのユーザー・市場の動向を把握し、それらを即座にマーケティング施策に反映することができれば、マーケティング活動における費用対効果の最大化につながります。

ビッグデータ活用事例

最後にビッグデータを上手く活用し、急成長しているサービスやビジネスを3つご紹介します。

TikTok(SNS×ビッグデータ×AI)

最初に、ビッグデータとAIを掛け合わせることで、世界中のユーザーを獲得し続けている、中国Bytedance社がリリースした「TikTok」についてご紹介します。TikTokの最も優れている点は、ユーザーの趣味趣向、興味、関心に合わせて動画を次々とおすすめする「レコメンド機能」にあります。このレコメンド機能は精度が非常に高く、ユーザーは検索機能を使うことなく、スクロールするだけでストレスなく短尺動画を楽しむことができます。

この優れたレコメンド機能の裏にあるアルゴリズムは、過去の膨大なユーザー情報(ビッグデータ)を機械学習させることで実現されました。TikTokがリリースされた後に、Instagramにリールが追加されたり、YouTube内にYouTube Shortsが追加されたりしましたが、SNSにおけるTikTokの可処分時間のシェア拡大は止まらず、そのAIによるレコメンド機能の精度の高さがうかがえます。

Upstart(金融×ビッグデータ×AI

次にご紹介するのは、アメリカの金融業界においてビッグデータとAIを活用し、革新的なサービスを提供しているUpstart Holdings社です。Upstart Holdingsは銀行パートナー向けにAIを活用した個人の信用査定サービスを提供している企業です。この信用査定サービスの優れている点は、融資に関するビッグデータを学習したAIにより、30年ほど前に開発された信用評価スコアである「FICOスコア」よりも正確に個人の信用・リスクを評価できる点です。具体的には、FICOスコアが主に5つの要素から個人の信用を評価するのに対し、Upstart Holdings社のサービスでは、1600以上の要素から評価されます。

正確に信用を算定できるということは、今まで返済能力があるのに融資が受けられなかった人々への融資が可能になるということです。これは、銀行の金利収入を増加させただけでなく、多くの人々が融資により新たなことに挑戦したり、自宅や車を購入したりする機会を提供したと言えます。

Opendoor Technologies(不動産×ビッグデータ×AI)

最後にご紹介するのは、アメリカの不動産業界においてビッグデータとAIを活用した革新的な不動産取引プラットフォームを提供しているOpen technologies社です。同社の特徴は、家を売却したい人から買い取り、家を購入したい人に売却する「iBuyer」にあります。通常であれば、人々はなるべく高く売りたいと考えるかもしれませんが、中には、少し安くてもいいから今すぐに現金が必要だと考えている人もいます。

Opendoorはこのような状況で役立ちます。売主は、同社のプラットフォーム上で物件情報を入力するだけで、即座にAIが過去の膨大な物件の取引データや物件周辺の相場データを元に査定を開始し、数日以内に売却価格を提示してくれるのです。通常、相場よりもやや安い値段が提示されますが、物件をすぐにでも現金化したい売主にとっては、金額よりスピードが重要であるため、多少妥協する人も少なくありません。

まとめ

本記事では、ビッグデータの概要、問題点、活用するメリット、解析プロセス、活用事例について紹介しました。最後の活用事例では、3つの分野(SNS、金融、不動産)においてビッグデータとAI(人工知能)を有効活用している事例を紹介しました。このように、これからはビッグデータをAI(人工知能)やIoTと掛け合わせることで、膨大なデータの中から自社に必要なものを抽出し、ビジネスに迅速に反映させていく必要があると考えられます。

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