【超入門】モダナイゼーションをわかりやすく解説!その意味やマイグレーションとの違い、メリット
モダナイゼーション(modernization)とは、長期間にわたり使われ続けてきたレガシーシステム(古くなったハードウェアやソフトウェア)を最新のシステムに刷新・更新することです。古いシステムを使い続けることは、高い運用コスト、脆弱なセキュリティ、使い勝手が悪いなど、企業にとってさまざまな不利益をもたらすことから、近年モダナイゼーションが注目されるようになりました。
本記事では、モダナイゼーションとは何か、マイグレーションとの違い、旧システムを使用し続けることのデメリット、モダナイゼーションを進める際の注意点についてわかりやすく解説していきます。
目次
1.モダナイゼーションとは
まず初めに、モダナイゼーションの概要についてわかりやすく解説します。
システムのモダナイゼーション(modernization)とは、古くなったハードウェアやソフトウェアシステムを刷新・更新し、変化するビジネス環境に適応させるプロセスのことを指します。
modernizationという英単語自体には、「現代化」や「近代化」といった意味が含まれます。
また、システムのモダナイゼーションには、クラウドコンピューティングの採用も含まれます。クラウドコンピューティングにより、従来のオンプレミスのソリューションに比べ、よりスケーラブルで信頼性が高く、コスト効率が良くなります。これにより、開発者はより迅速かつ効率的にアプリケーションを構築・展開することができ、物理的なインフラストラクチャーの必要性が低減されます。
さらに、システムのモダナイゼーションには、ソフトウェアセキュリティの向上も期待できます。サイバー脅威が進化し、より高度化していく中で、暗号化、アクセス制御、脆弱性評価などの対策を実施することで、システムやデータを不正アクセスやサイバー攻撃から保護することができます。
これらの理由から、レガシーシステムのモダナイゼーションが多くの企業から注目されるようになりました。
レガシーシステムとは
レガシーシステムとは、長期間にわたって使われてきた旧式のコンピューターシステムやソフトウェアのことを指します。
レガシーシステムには、現在ではあまり一般的に使われていないプログラミング言語やデータベースシステムが使用されていたり、長年にわたって変更や修正が行われたことによりドキュメント化が不十分であったり、ハードウェアが老朽化しているなどの特徴があります。
このような特徴により、保守やアップデートに問題やコストが生じやすく、またセキュリティ面の懸念や拡張性の制限などの課題があります。よって、レガシーシステムは、新しいビジネス要件に対応することが困難になることがあります。
代表的なレガシーシステムとしては、以下のようなものがあります。
COBOL(Common Business Oriented Language):1960年代に開発されたプログラミング言語で、金融機関や保険会社などの業務システムで広く使用されています。
AS/400:1980年代にIBMが開発した中小企業向けのコンピューターシステムで、現在でも多くの企業で使用されています。
MS-DOS:1980年代にマイクロソフトが開発したオペレーティングシステムで、現在ではほとんど使われていません。
Lotus Notes:1990年代にロータスが開発したグループウェアで、現在では多くの企業が代替システムに移行しています。
以上のことから、多くの企業がレガシーシステムのモダナイゼーションを進めていると言われています。しかし、レガシーシステムは企業にとって重要な業務処理やデータの保有源泉となっていることが多いため、モダナイゼーションを行う際には、慎重な計画と実施が必要とされます。
2.モダナイゼーションの重要性
以下に、モダナイゼーションの重要性をいくつか挙げます。
競争力の強化
現代のビジネス環境は、急速に変化しています。国内だけでなくグローバルな競合他社がより新しい技術やプロセスを採用することで、市場競争力が強化されることがあります。そのため、モダナイゼーションによって最新の技術やプロセスを採用し、競争力を維持・強化していかなければなりません。
ビジネスプロセスの改善
既存のシステムやプロセスは、時間とともに古くなっていきます。モダナイゼーションによって、ビジネスプロセスを改善し、より効率的で生産的な環境を実現することができます。
セキュリティの強化
現行のシステムは、新しい脅威に対して十分なセキュリティを提供できていないことがあります。モダナイゼーションによって、より安全でセキュリティの高いシステムを実現し、データやユーザーのプライバシーを保護することができます。
顧客満足度の向上
モダナイゼーションによって、ユーザー体験を改善することができます。例えば、新しい機能やユーザーインターフェースを追加することで、顧客満足度を向上させることができます。
メンテナンスコストの削減
既存のシステムやプロセスは、メンテナンスコストが高いことがあります。モダナイゼーションによって、メンテナンスコストを削減し、より費用対効果の高いシステムを実現することができます。
3.モダナイゼーションとマイグレーションの違いとは
ここでは、モダナイゼーションに似た単語である「マイグレーション」の定義やモダナイゼーションとの違いについて簡単に説明します。
モダナイゼーションとマイグレーションは、両方ともシステムの変更やアップグレードを意味する用語ですが、少し異なる意味を持ちます。
モダナイゼーションは、既存のシステムを更新して、最新の技術やプラクティスに適応させるプロセスです。つまり、既存のシステムを改善することで、そのシステムをより効率的で柔軟性があるものにすることを目的としています。モダナイゼーションの例としては、レガシーシステムからクラウドベースのシステムへの移行などが挙げられます。
一方、マイグレーションは、既存のシステムから新しいシステムへの移行プロセスです。これは、必ずしもレガシーシステムを移行することだけを指しているわけではありません。新しいシステムに必要な機能や構成が現行のシステムに含まれていない場合などに、今のシステムから新しいシステムに移行するというイメージです。
マイグレーションの例としては、古いバージョンのデータベースから新しいバージョンに移行すること、または旧式のオペレーティングシステムから新しいオペレーティングシステムに移行することが挙げられます。
つまり、モダナイゼーションは古くなったシステムを改善することを目的としており、マイグレーションは、古くなったまたは現在のシステムを新しいシステムに置き換えることを目的としている点に違いがあると言えます。
4.モダナイゼーションを進める際の注意点
システムをモダナイゼーションする際には、以下のような注意点があります。
目的を明確にする
システムをモダナイゼーションする理由や目的を明確にすることが重要です。例えば、システムのセキュリティを強化するため、システムの信頼性を向上するため、ユーザーの利便性を向上するためなど、目的に応じて必要な改善点を特定し、それに基づいてモダナイゼーションのアプローチを決定することが必要です。ここで重要なのは、現行のシステムを実際に使用しているユーザーの声を取り入れ、「変えられる部分」「変えられない部分(または変えない)」「変えなければならない部分」に分けることです。
リスク評価を行う
システムのモダナイゼーションは、システム全体に影響を及ぼす可能性があるため、リスク評価を行うことが重要です。既存のシステムに依存する他のシステムやプロセスにどのような影響があるか、また、モダナイゼーションに必要なリソースやコストがどの程度かかるかなど、リスクを評価して、対策を講じることが必要です。
適切な技術を選択する
モダナイゼーションに使用する技術を選択する際には、現在のニーズに合わせて最適な技術を選択することが必要です。例えば、クラウド技術やAI技術を活用することで、システムの柔軟性やスケーラビリティを向上させることができます。
テストを重視する
システムのモダナイゼーションは、既存のシステムの変更やアップデートであるため、テストを十分に実施することが必要です。テストを通じて、システムの問題や不具合を特定し、早期に修正することができます。
コミュニケーションを確保する
システムのモダナイゼーションには、多数の関係者が関与するため、コミュニケーションを確保することが必要です。プロジェクトの進捗状況や課題について、関係者と適宜情報を共有し、意見交換を行う場を設けましょう。
まとめ
レガシーシステムを最新のシステムに刷新することは、非常に長い道のりであり、短期的に見ればコストがかかるのは否定できません。しかし、中長期の目線で見たときに、モダナイゼーションは企業にさまざまなメリットをもたらします。例えば、生産性が向上すれば、同じまたは、これまでよりも少ないリソースでより多くの利益を企業にもたらします。また、セキュリティも向上することで、不正アクセスやサイバー攻撃による機密情報や顧客情報の流出を防ぐことができます。さらに、新しいテクノロジーを導入することで、自社の競争力を高めることにもつながります。
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