ネイティブアプリとは？ウェブアプリ、ハイブリッドアプリとの違いを解説
1. ネイティブアプリとは？
ネイティブアプリ開発とは、iOSやAndroidなどの特定のプラットフォーム向けに設計された専用のモバイルアプリケーションを開発することです。
ネイティブアプリケーションは、オペレーティングシステム専用に開発されるため、ハイブリッドアプリケーションよりもユーザーエンゲージメントが高くなります。また、ネイティブアプリケーションは、多くのプラットフォームに対応しなければならないWebベースのアプリケーションよりも、動作や見た目が優れていることが多いです。さらに、ネイティブアプリケーションは、モバイルブラウザのインターフェースだけでは利用できないセンサーやカメラなどのデバイスの機能やハードウェアにアクセスすることができます。
ウェブサイトやウェブアプリケーションとは異なり、ネイティブアプリケーションはブラウザ上で実行されません。Apple社のApp StoreやGoogle Playなど、プラットフォーム固有のアプリストアからダウンロードする必要があります。各プログラムは、インストール後にデバイスの画面上でそのアイコンをタップすることでアクセスすることができます。
ネイティブアプリの作成は、モバイルウェブサイトと比較すると高度です。ブラウザの互換性や動作に注意する必要はなく、モバイルOSのネイティブ機能を利用し、よりリッチなユーザー体験を作成し、アプリの機能を実装することができます。
2. ネイティブアプリの利点と欠点
2.1. ネイティブアプリの利点
Webアプリよりもネイティブアプリが選ばれることが多いですが、開発コストが高く、継続的なメンテナンスが必要です。企業は、ネイティブアプリケーションの開発の利点と欠点を慎重に検討し、予算を投じる価値があるかどうかを判断する必要があります。
- スピード
ネイティブアプリは、プラットフォームに対してネイティブであるため、より速く動作します。多くの要素があらかじめロードされています。ユーザーデータは、アプリケーション全体ではなく、ウェブから取得されます。また、デバイスの内蔵機能と連動するため、高速に動作します。
- オフラインにおける作業能力
ネイティブアプリは、インターネットに接続されていない場所においても機能します。そのため、飛行機、地下、トンネル、地下鉄など、オフライン環境においてもネイティブアプリを使用することができます。
- 見慣れた外観と感触の提供
ネイティブアプリケーションは、現在使用している端末にインストールされている他のアプリと似ているため、ユーザーは今までと同じ要領で感覚的にそのアプリの使い方を把握することができます。
- アスペクト比の維持
アスペクト比とは、異なる画面の幅と高さの比率のことです。画質を決定する上で重要な要素です。
デバイスのサイズや形状が変更されると、数多くのアプリが崩壊し、不適切に動作するようになります。ネイティブアプリは、アプリの向き、サイズ、解像度をより自由にコントロールすることができます。
ネイティブアプリを開発する場合、開発者はレイアウト機能を利用し、画面サイズをあらかじめ設定することで、自動でデバイスに合ったアスペクト比でネイティブアプリを表示することが可能になります。
AndroidはConstraint Layout、iOSはAuto Layoutという機能を提供しており、それぞれのデバイスにおいてアスペクト比を維持することをサポートしています。
2.2. ネイティブアプリの欠点
- ダウンロード時間
ネイティブアプリは、ユーザーがアプリストア（Apple App StoreまたはGoogle Play）からダウンロードして初めて使用することができるようになります。
多くの人は、アプリをダウンロードするためにアプリストアに行き、検索し、利用規約に同意し、インストールするというステップを好みません。アプリは、アプリファネルの各ステージで20%のユーザーを失う可能性があります。App Storeのページビュー、インストール、アプリの起動、サインアップ、コンテンツの作成、投稿または友人への送信などです。
- 柔軟性の欠如
開発者は、ネイティブアプリの開発におけるプラットフォームの選択肢がほとんどありません。
開発者は一度に1つのプラットフォーム向けにしかコーディングすることができず、iOSとAndroid用に別々のコードを記述する必要があります。
このことから、ネイティブアプリのアプリ開発者を募集するほとんどの場合において、Android 用とiOS用の2つのチームを採用する必要があります。
- 高い開発コスト
ネイティブアプリの開発は非常に難易度が高いため、コーディングできる開発者は希少です。
そのため、ネイティブアプリの開発には多くの人員が必要となり、開発期間とコストを増大させます。
さらに、プラットフォームごとに異なるコードが必要とされるため、ネイティブアプリの構築には、より多くの時間と費用がかかります。
また、開発のみならず、ネイティブアプリの維持費も非常に高くなります。アプリのメンテナンスにかかる費用は、アプリ開発費の15〜20％程度です。例えば、300万円のネイティブアプリの場合においては、60万円のメンテナンス費用が発生します。
ネイティブアプリの開発費が高ければ高いほど、それに乗じて維持費も高くなります。
- 長期にわたる開発期間
iOSとAndroidなど、それぞれのプラットフォームで別々のコードが必要となるため、単純計算でもでも2倍の時間を要します
一般的に、品質が担保されたネイティブアプリを作るには、およそ18週間かかります。その期間は、プロジェクトの複雑さによって増減します。
- 継続的なメンテナンス・アップデートの必要性
ユーザーに長期にわたってアプリを利用してもらうためには継続的なメンテナンスおよびアップデートが必要になります。ネイティブアプリでバグが修正されたり、新しいアップデートがリリースされたりする場合、開発者はまずアプリストアに変更内容を提出し、ユーザーがアプリケーションを新しいバージョンにアップデートしてくれることを待ちます。
しかし、ユーザーがアップデートに気付かなく、または十分なストレージ容量がないなどの理由でアプリをアップデートしなかった場合、そのユーザーはそのアプリを使用しなくなるかもしれません。この点は、開発者が最も懸念しているネイティブアプリにおける欠点といえるかもしれません。
3. ネイティブアプリとWebアプリ、ハイブリッドアプリの比較
3.1. Webアプリ
Webアプリとは、デスクトップコンピューター、モバイルデバイス、タブレットのブラウザでアクセスできる、レスポンシブなWebサイトのことです。Webアプリは、あらゆるデバイスで見栄えが良く、あらゆるオペレーティングシステムにおいて動作するように作られています。その結果、Webアプリはより費用対効果の高い選択肢であり、構築も短時間で行うことができます。。モバイルフレンドリーなコンテンツを幅広いユーザーに提供することが目的である場合に最適な選択肢となるでしょう。
Webアプリの長所
- メンテナンスが容易：Webアプリは標準的なWebサイト開発のコーディングを使用するため、通常のWebサイトと同じように迅速に構築および更新することができます。
- 市場投入までの期間が短い：Webアプリケーションは、より速く構築することができます。また、アプリストアやマーケットプレイスにおける承認が不要であるため、市場へ早くリリースすることができます。
- アクセシビリティ：Webアプリケーションはブラウザからアクセスできるため、OSに関係なく、あらゆるデバイスで使用することができます。
- トラフィック：ウェブアプリは、Googleなどの検索エンジンからトラフィックを得られるだけでなく、ウェブサイトの訪問者がダウンロードなどをすることなく、モバイル端末でウェブアプリにアクセスすることが可能です。
Webアプリの短所
- インターネット接続が必要：WiFiなどのインターネットに接続できない場所においては、Webアプリにアクセスできません。
- 不安定：Webブラウザの違いや変更により、Webアプリの動作に問題が生じることがあります。このような場合、定期的なアップデートが必要なため、メンテナンスの予算が高くなります。
- デバイスの機能へのアクセス制限：Webアプリケーションは、モバイルデバイスのネイティブ機能にアクセスできないという制限があります。
- アプリストアやマーケットプレイスにアクセスできない：ユーザーはアプリストアやマーケットプレイスでアプリを検索することに慣れており、ウェブアプリはそこに掲載されていないため、アプリを簡単に見つけることができない可能性があります。
3.2. ハイブリッドアプリ
ハイブリッドアプリとは、ラッパーアプリとも呼ばれ、一般的にWebアプリとネイティブアプリの開発を組み合わせたものです。HTML、CSS、javascript、またはGoogleのFlutter（Dartを使用）のような最新のプログラミング言語を使用しますが、ネイティブにコーディングされた「ラッパー」により、アプリストアからインストールすることができます。これは、AndroidやiPhoneを含むすべてのプラットフォームにおいて動作する単一のアプリを形成しています。
まとめ
本記事を通して、ハイブリッドアプリ、ネイティブアプリ、Webアプリについて、それぞれの違いを含め、基本的な情報を掴んでいただけましたでしょうか。予算が潤沢にある企業にとっては、高いパフォーマンスと一貫したユーザーエクスペリエンスが期待できるネイティブアプリはベストな選択と言えます。予算が少ないスタートアップ企業や中小企業にとっては、Webアプリケーションの方が費用対効果の高い選択肢となるかもしれません。また、アプリストアにおけるメリットを享受したいが、iOSとAndroid用に2つのアプリを開発するのは大変だという企業においては、ハイブリッドアプリがおすすめです。どの選択肢を選ぶ場合においても、最高のユーザー体験を提供することが求められており、そうでなければ、アプリ開発に費やした時間とコストがすべて無駄になってしまいます。Webアプリ、ハイブリッドアプリ、またはネイティブアプリの開発を検討している場合、CMC Japanをパートナーとして選択してみてはいかがでしょうか。アプリ開発経験のある開発チームやチームエクステンションを採用することができます。2200人以上の認定エンジニアをもって、お客様のプロジェクトをお手伝いさせていただきます。お気軽にお問い合わせください。
