「PoC(概念実証)」とは?その必要性や実施手順
目次
新しいアイデアやコンセプトを思い付いた時、それらは本当に自分たちが期待している成果や効果を生み出してくれるのか、実現可能であるのかを検証する必要があります。このことを「PoC(概念実証)」と呼び、プロジェクトを意味あるものにするために重要なステップです。
本記事では、PoC(概念実証)の概要や必要性、具体的な手順、活用シーンなどについて詳しく解説します。
PoC(概念実証)とは?
システムやアプリケーションの開発には、多額なコストがかかるため、いきなりアイデアを思い付いた次の日から開発が始まるということはありません。投資したコストがしっかりと回収できるのかを確認する必要があるからです。
「PoC(Proof of Concept|概念実証)」とは、新しいアイデアやコンセプトが実際に実現可能であるのか、それらによって効果が見込めるのかを検証することを指します。
PoCによって、期待していた成果や効果が得られると判断した場合に、プロジェクトを本格的に進めていくのが一般的な流れとなります。
PoC(概念実証)では、イメージしている製品やサービスがどのように機能するのか、実現できるのか、そもそも必要なのか、誰がターゲットなのかなどを検証します。そこで、一般的には、製品やサービスの簡易的な試作品を作成することで、その実現可能性を判断します。
なぜPoC(概念実証)が必要なのか?
PoC(概念実証)を実施する目的は大きく3つあります。
開発リスクの低減
PoC(概念実証)を実施する主なメリットの一つは、開発リスクの低減です。これは、PoCが新しいアイデア、製品、サービス、または技術の可行性を早期に評価するための手段だからです。
PoCでは、ある考えが現実的に実装可能であるか、またそれが目標とする性能を達成できるかどうかを検証します。この早期の検証により、問題が見つかった場合にはその段階で修正や改善を行うことが可能となります。これにより、完全な製品開発が始まる前に問題を特定し、それらを修正することで、開発コストの増大や期間の遅延、そして最終的には製品の失敗というリスクを大幅に低減することができます。
無駄なコストを削減できる
PoC(概念実証)は新しいアイデアや技術の機能性や有用性を初期段階で検証することを目的としています。これにより、初期のフェーズで技術やアイデアの可行性を確認することで、全体のプロジェクトに対する無駄な支出を削減することが可能となります。
特に、PoCは大規模な投資を必要とする製品やサービスの開発前に、その有効性をテストするための手段となります。PoCの段階で概念が機能しないことや、市場に適合しないことが明らかになれば、その時点で開発を中止することが可能です。これにより、開発プロジェクト全体の失敗によって発生する可能性のある大量の資源の浪費を防ぐことができます。また、PoCを通じて得られたフィードバックは、製品開発の方向性を適切に調整し、より効率的な経済的支出を実現するのに役立ちます。
周囲の協力が得られる
PoC(概念実証)を実施することで、概念が具体化し、関係者やステークホルダーがそのアイデア、製品、サービス、または技術の意義と可能性をより良く理解することが可能になります。
PoCは新しいアイデアや技術を具体的に示すプロセスであり、その実装の可能性や利点を実証します。これにより、ステークホルダーは提案されたコンセプトの実用性や実現可能性を直接確認することができます。これは、理論的な説明だけでは理解が難しい抽象的なアイデアや複雑な技術に対する理解を助けることができます。
さらに、PoCの結果はプレゼンテーションやデモンストレーションに使用することができ、投資家、顧客、経営陣などからの支持や承認を得るための有力な根拠となります。その結果、プロジェクトの資金調達、承認、そして推進が容易になる可能性があります。
どのような場合にPoC(概念実証)を使用するのか?
PoC(概念実証)は、ブルーオーシャン戦略に取り組んでいる場合、つまり、市場に類似製品がなく、尊敬すべきライバルもいない場合に有効な手段です。
多くの起業家の失敗要因として、自分が想像した商品が技術的に不可能だったことが挙げられます。それを避けるためにできることは、ソフトウェア開発のプロセスをPoC(概念実証)から始めることです。
一方、確立されたビジネスアイデアを次の段階に進めることが当たり前のIT分野では少ないです。しかし、競合他社を凌駕するためには、優れた新機能が必要です。そのためには、データに基づいたインサイトを得るPoC(概念実証)が必要です。
PoC(概念実証)の実行手順
PoC(概念実証)の具体的な実施手順は以下のようになります。
1.目標の設定
PoCの最初のステップは、その目標を設定することです。これは新しい製品、サービス、ビジネスモデル、または技術が持つべき特性や機能を特定し、それを達成するための具体的なステップを定義することを含みます。PoC自体が目的となっているケースもありがちのため、PoCの成功の定義も明確にすることが重要です。
2.計画の策定
次に、PoCの実施計画を作成します。これは、必要なリソース、期間、責任者を特定し、リスク評価を行い、プロジェクトの範囲を定義するプロセスを含みます。この段階では、潜在的な問題や障害に対する解決策も計画に含めるべきです。
3.実施とモニタリング
計画が完成したら、PoCの実施を開始します。この段階では、定められた目標に向けて活動を進めるとともに、その進行状況を継続的にモニタリングし、必要に応じて調整します。
実際の検証段階では以下の要素に注意を払うことが重要です。
リソースの管理: タスクに必要な人材や技術的リソース、時間、資金等が適切に配分されていることを確認してください。リソースが不足していたり無駄になっている場合、PoCの成功が困難になる可能性があります。
データの整合性: 検証の過程で収集または生成されるデータは正確であり、一貫性があることが重要です。不正確なまたは不一致のデータは結果の信頼性を損ない、誤った結論を導く可能性があります。
進行状況のモニタリング: PoCの進行状況を定期的にチェックし、必要な場合は調整を行います。また、検証の進行状況をドキュメント化し、チーム全体で共有することが重要です。
問題解決の柔軟性: 予想外の問題や挑戦が発生した場合、素早く適応し問題解決を行う能力が求められます。また、学んだ教訓をドキュメンテーションに反映し、それを次のステップに活かすことも重要です。
4.結果の分析と評価
PoCが終了したら、その結果を評価します。これには、目標が達成されたかどうかの判断、成功や失敗の原因の分析、そしてその結果を元にした今後のアクションプランの策定が含まれます。結果の分析と評価は、PoCの成功を定義し、その結果を全体のプロジェクトにどのように適用するかを理解するための重要なステップです。
まとめ
PoC(概念実証)は、あるアイデアが実用的であり、ターゲット市場にとって魅力的であるかどうか、また企業にとって実現可能であるかどうかを判断するためのものです。
プロジェクトチームは、PoC(概念実証)を利用して、提案された製品の予想される成分や機能性を調査することができます。企業はこれらの事実をもとに、新しく作られたソリューションが広く受け入れられるための準備ができているかどうかを評価し、コンセプトを承認し、その実行に投資するかどうかを決定することができます。
PoC(概念実証)は万能のソリューションではありませんが、PoC(概念実証)をいつ、どのように実行するかを知っていれば、予測可能な失敗からビジネスベンチャーを守ることができます。
PoCをオフショア開発で行うことのメリット
上記で紹介したPoC(概念実証)を実施していくためには、プロダクトのアイデアや要件はもちろんのこと、開発エンジニアやある程度の予算が必要となります。
実現性が不確かな状況である程度のボリュームの予算をかけることに不安を感じる企業も少なくないでしょう。そういった場合に、低コストで柔軟なエンジニアリソースを確保できるオフショア開発が活用されることがあります。
当社でも多くのPoC(概念実証)関連のプロジェクトを対応しました。多くの事例で日本国内で発注したときよりも20~50%のコストを抑えたまま、PoC(概念実証)を実施した実績があります。
オフショア開発について、よくご存知ない方は下記の「【お役立ち資料】ベトナムオフショア開発入門書」をぜひ参考にしてみてください。
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