医療の現場課題をテクノロジーで解決する:TelemedicineからIoTまで
前回の記事では、日本の医療機関が直面する構造的な課題と、医療DX推進の背景を整理しました。
本稿では、実装フェーズに焦点を当て、テクノロジーがどのように現場課題の解決に貢献しているかを、CMC Japanの4つのヘルスケアDXソリューションを通して紹介します。
目次
遠隔医療とHISの連携
遠隔診療と情報連携がもたらす新しい医療体験
コロナ禍を契機に、遠隔診療やオンライン面談、在宅ケアの仕組みは急速に普及しました。
首都圏や大阪圏の医療機関を中心に、地域のクリニック・介護施設・薬局を結ぶ情報連携プラットフォームの導入が進んでいます。
これにより、患者が自宅にいながら診察・処方・服薬指導までを一連のプロセスで受けられる環境が整いつつあります。
また、遠隔モニタリング機能を備えたTelemedicineプラットフォームでは、血圧・心拍・血糖値などの生体データをリアルタイムで共有し、医師が必要に応じて治療方針を即時判断することも可能になりました。
こうした仕組みは、特に慢性疾患患者や高齢者の継続的なケアにおいて高い効果を発揮しています。
CMC Japanにおける取り組み:現場の声から設計する安全な遠隔医療基盤
こうした医療現場の変化に対応するためには、テクノロジー導入と同時に、医療従事者・患者・システムが自然につながる設計が欠かせません。
CMC Japanでは、医療機関と協働しながら、遠隔診療と院内システムを統合的に支える仕組みづくりに取り組んでいます。
主な取り組みは次のとおりです:
- 統合アーキテクチャ設計
電子カルテ(EMR)、検査情報、予約システム、在宅ケアアプリなどを連携させ、患者データを一元的に管理。
- セキュリティ・コンプライアンス対応
厚生労働省の「医療情報システム安全管理ガイドライン」に準拠し、通信暗号化・アクセス制御・多要素認証などを標準化。
- スケーラブルな拡張性
オンプレミス・クラウド・ハイブリッド構成に柔軟対応し、医療機関の規模やニーズに応じて段階的に拡張可能。
- 患者体験の最適化
診療予約、オンライン問診、検査結果閲覧、服薬記録をアプリとHISで連携し、医療従事者の業務負担を軽減しながらシームレスなケア体験を実現。
電子カルテのモダナイゼーション
分断された医療情報をつなぐ、次世代電子カルテへの進化
日本の医療機関では、電子カルテ(EMR)の導入率は約9割に達していますが、
依然として「システム間の非互換性」や「データ共有の制限」が大きな課題となっています。
多くの病院では、検査・画像・会計などが別々のシステムで管理されており、
患者情報を横断的に活用できない状況が続いています。
近年は、こうした分断を解消するために、FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)などの国際標準規格を採用した
次世代電子カルテへの移行が進みつつあります。
首都圏や関西圏の一部の医療機関では、クラウド型EMRやAPI連携を活用し、
紹介先病院や地域クリニックとの情報共有をスムーズに行う事例も増えています。
また、クラウド環境を利用することで、災害時のデータ保全や遠隔地からのアクセスを可能にし、
医療の継続性とセキュリティを両立させる動きも広がっています。
一方で、既存システムからの移行コストや人材リソースの確保など、実装面での課題も少なくありません。
CMC Japanにおける取り組み:安全・効率・連携を実現するEMRソリューション
こうした医療現場の課題に対応するため、
CMC Japanでは、医療機関の業務フローに合わせた電子カルテの最適化とモダナイゼーションを支援しています。
主な取り組みは次のとおりです:
- FHIR準拠のデータ設計
異なるベンダーシステム間でもデータ交換が可能な構造を採用し、検査・画像・投薬情報の統合を実現。
- クラウド移行とセキュリティ強化
クラウド環境での運用を前提に、通信暗号化・アクセス制御・バックアップ冗長化を標準化。
災害時でもデータの安全性と可用性を確保。
- 運用負荷の軽減とユーザビリティ向上
医師や看護師の作業導線を考慮したUI/UX設計により、入力時間の短縮とデータ参照の効率化を支援。
- 段階的なモダナイゼーション支援
既存システムの刷新だけでなく、API連携や部分移行を含む柔軟な導入モデルを提供。
患者管理システムの高度化
患者中心の医療を支えるデータ活用とマネジメントの進化
医療DXのもう一つの柱が、患者管理(Patient Management)の高度化です。
近年、患者一人ひとりの健康状態や治療経過を長期的に追跡し、継続的にケアする“Patient-Centered Care”の重要性が高まっています。
特に慢性疾患や在宅療養患者においては、外来・入院・リハビリ・在宅を横断した情報共有が求められます。
しかし、多くの医療機関では依然として、診療部門ごとにシステムが分断され、
「どの患者が、どの段階で、どの治療を受けているか」を一目で把握するのが難しい状況です。
そのため、首都圏を中心にいくつかの病院では、患者管理システム(PMS)を中核とした医療情報統合を進めています。
これにより、患者データを中心に診療・検査・処方・フォローアップをつなぐ“循環型データ運用”が実現し、
業務効率の向上と医療の質の安定化が図られています。
さらに、AIを用いたデータ分析によって、再入院リスクの予測や投薬アドヒアランス(服薬遵守率)の把握など、
予防的なケアへの応用も広がりつつあります。
CMC Japanにおける取り組み:データ統合と可視化による患者管理の高度化
こうした医療現場の変化に対応し、CMC Japanでは、医療機関の業務特性に合わせた患者管理システムの設計・開発を支援しています。
主な取り組みは次のとおりです:
- 統合データプラットフォーム構築
EMR・検査・画像・リハビリ・在宅ケアデータを統合管理し、患者の全体像を把握できる環境を整備。
- AI分析によるリスク検知とアラート機能
再入院や症状悪化の兆候をAIが検出し、医療従事者にリアルタイムで通知。
予防的介入を可能にし、医療資源の最適配分に寄与。
- ダッシュボードと業務可視化
医師・看護師・管理部門が同じ画面で情報を共有できるダッシュボードを開発。
診療プロセスの可視化により、チーム医療を支援。
- 患者とのコミュニケーション強化
予約・問診・フォローアップをモバイルアプリと連携し、患者の自己管理を促進。
在宅療養者との双方向コミュニケーションを実現。
医療IoTの活用
IoTとデータ連携が支える、より安全で効率的な医療へ
近年、医療の現場ではIoTデバイスやウェアラブル端末の活用が広がっています。
心拍・血圧・血糖値・体温などの生体データをリアルタイムで取得し、医療従事者が遠隔で患者の状態を把握できる環境が整いつつあります。
特に在宅療養や慢性疾患のモニタリングでは、こうしたIoTによる常時データ収集と早期介入が重要な役割を果たしています。
また、首都圏や関西圏の一部の病院では、IoTセンサーやリモート測定機器を用いて
医療機器の稼働状況を監視したり、設備保守のタイミングを予測する「予知保全」の仕組みも導入されています。
これにより、機器トラブルの防止や、医療安全性の向上にもつながっています。
しかし、現場での導入においては「機器ごとのデータ形式の違い」や「通信セキュリティ」、「データの保管・分析基盤」など、
多くの技術的課題が残されています。
CMC Japanにおける取り組み:IoT・AI・クラウドを統合した医療データ基盤の構築
こうした課題に対応し、CMC Japanでは、医療機関と協働してIoTデバイス連携・データ分析・システム統合を一体で支援しています。
主な取り組みは次のとおりです:
- IoTデバイス連携プラットフォーム
心電・血圧・血糖などの測定データを標準化し、HIS・EMRと安全に連携。
多様なメーカー機器に対応できる柔軟なデータゲートウェイを構築。
- AI分析による予測・診断支援
蓄積データをAIで解析し、異常値の検知やリスク傾向を可視化。
医療従事者の判断を支援し、早期対応を可能にする。
- クラウドベースのデータ統合基盤
IoT・アプリ・診療データを統合するクラウド環境を構築し、
セキュリティと拡張性を両立させたインフラを提供。
- リアルタイム可視化とダッシュボード
収集データをグラフやアラートとして表示し、管理者や医師が一目で状況を把握。
現場の意思決定スピードを向上。
まとめ
医療現場には、日々の業務改善から中長期のデータ活用まで、さまざまなDXの課題が存在します。
その解決に向けて重要なのは、“現場を理解し、共に考えるテクノロジーパートナー”の存在です。
CMC Japanは、医療システムやデータ基盤など技術面から課題を整理・可視化し、
貴院・貴社のDXを現実的かつ持続的に前進させるための最適なアプローチを共に設計していきます。
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