先端技術のAI開発の際に注意すべき点とは?
AI(Artificial Intelligence/人工知能)は、個人とビジネスの両レベルで多くの側面に影響を及ぼし、AI技術の需要が高まるにつれ、AIは急速に、そして劇的に変貌を遂げています。
企業などの組織は、AIによってより良い判断を下すことができ、戦略的な意思決定のスピードと精度を高め、基本的なビジネスプロセスを改善できます。
今回は、AIとは何か、AIソフトウェアを構築する際に注意すべきことは何かについて解説します。
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目次
なぜAIが重要なのか?
IBMによれば、AIとは、最も基本的なかたちでコンピュータサイエンスと大規模なデータセットを組み合わせて問題を解決する分野です。
AIが重要視されるのは、企業がこれまで得られなかった業務に関する知見を得られる可能性があることと、状況によってはAIが人間よりも優れた業務を遂行できる可能性があるためです。
特に、膨大な量の法的書類を評価し、重要な項目が正しく記入されているかどうかを確認するような、細部にこだわった繰り返しの作業では、AIシステムは一般的に素早く、最小限のエラーで作業を達成します。
これにより、効率化が進み、一部の大企業には全く新しいビジネスの選択肢を提供することができるようになりました。
AIの種類
AIは、次の4つのタイプに分類されます。
反応的な機械(Reactive Machines)
このタイプのAIシステムは、メモリを持たず、1つの仕事のためだけに使われます。最も基本的なAIの原理によって導かれ、その名が示すように、周囲の世界を知覚し反応することだけが可能です。
また、記憶を持たないため、リアルタイムの意思決定の指針として過去の経験に頼ることができません。
メモリ容量制限(Limited memory)
このタイプAIシステムは、記憶を持っているため、過去の経験を元に、より良い判断ができます。情報を収集し、将来の選択肢を評価する際、過去のデータや予測を保存し、本質的に過去から将来起こり得る示唆を得ます。
このタイプのAIは、上の「反応的な機械」よりも複雑で、より多くの可能性を秘めています。
知性の理論(Theory of mind)
AIは、社会的知性を備えているため、感情を認識できるようになるということです。
これは、AIが人間や動物、ほかの機械の気持ちを理解し、自己反省や判断に基づき、その知識を利用して意思決定ができるようになることを意味します。
自己認識(Self-awareness)
AIが自己認識するための究極のステージは、AIに「知性の理論」を構築することであり、それはいつの日か実現されるでしょう。
このタイプのAIは、人間レベルの意識を持ち、世界における自分の存在だけでなく、他者の存在や感情の状態も認識することができます。他人が自分に何を言うかだけでなく、どのように言うかによって、他人が何を要求しているかを推し量ることができるようになるのです。
注目されるAIの技術動向
AIに関わる技術や分野は数多くあり、それぞれに数学的・工学的な研究の枝があります。
顔認証
写真や映像に写っている顔を認識し、解析し、認証する技術である「顔認証ソフトウェア」は、これまでで最も効果的な監視技術の一つです。顔認証は、携帯電話のロック解除や画像の分類に利用されることが多いですが、企業や政府がどのように利用するかによって、人々の生活にかなり大きな影響を与えることになります。身体計測※で顔や表情に関連する生体情報を取得し、本人確認や認証に利用します。
たとえば、CMCの顔認識ソリューションのCIVAMS(シーバムス)は、老人ホームで、入退室管理、スマートな追跡、高齢者の危険な状況をタイムリーに検出するために使用されています。老人ホームに出入りする人の身元を把握し、迷子の高齢者やタイムキーパーのスタッフを確認するのに役立ちます。自然光や遮るもののない条件下で99.2%の精度、マスクをした顔で98.95%の精度、さまざまな角度から、また直接見なくても顔認識できることなど、優れた利点を持っています。
CIVAMSについてもっと知りたい方は、こちらのリンク「CIVAMS.Face – 顔認証ソリューション」をご覧ください。
顔認証システムとは、人の顔を使って個人を確認する生体認証技術です。「顔認証」は検知した顔をデータベースと照合し、本人であるかどうかを特定・認証する技術です。主に銀行や企業におけるセキュリティ分野で応用が広がっています。
音声認識
自然言語処理(NLP)を用いて人間の音声を文字にする機能で、自動音声認識(ASR)、コンピュータ音声認識、Speech-to-Textともよばれます。
人間の言葉を書き起こし、使用可能な形式に変換することは、今日では一般的なことであり、その数は急速に増加しています。多くのモバイル機器に音声認識機能が搭載されており、音声検索やテキスト入力の利便性を高めています。
自然言語処理(NLP)
音声認識が音声からテキストへの変換に特化しているのに対し、自然言語処理(NLP)は言語学とより密接な関係にあり、ユーザーが指示、質問、発言(文字または音声)を発するときに何を意味し、何を期待しているかを理解することを目的としています。
また、気分を分析することで、主観的なパターンも探ります。
一言で言えば、人間と機械のコミュニケーション(主に音声と文字)を補助する分野です。
ビッグデータ
ビッグデータとは、膨大な量のデータのことであると定義することができます。
ビッグデータは技術そのものではありませんが、ビジネスインテリジェンスや特定の機械学習アルゴリズムの使用において、大量のデータ(理想的には整理されている)を利用できることは、目標を達成するために非常に重要です。
文字認識
画像中の文字を認識・識別することが主な目的であるため、文字認識は視覚認識のサブセットといえるかもしれません。
この種の作業には、一般的にOCR(光学式文字認識)ソフトウェアが使用されます。
機械学習プラットフォーム
機械学習は、AIの一分野であり、コンピュータサイエンスの下位分野です。その目的は、コンピュータが学習し、より賢くなるための革新的な方法を作り出すことです。
機械学習プラットフォームは、アルゴリズム、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)、開発、トレーニングツール、膨大なデータ、アプリケーションのおかげで、ますます人気が高まっています。
この技術は、分類や予測に頻繁に使用されています。
ロボティクス
ロボティクス(RPAなどのメカニカルロボットやソフトウェアロボット)は、幅広いデバイスを包含しています。AIは、どんなに単純なものであっても、判断能力などの知能の証拠を示すシステムまたはロボットと定義することができます。
仮想アシスタント
仮想アシスタントとは、人間とのコミュニケーションを効率的に行うことができるコンピュータプログラムのことです。
AIは現在、仮想アシスタントによるカスタマーサポートや、スマートホームの管理者として採用されており、インドの教育プラットフォームEdurekaが発表した「Top 15 Hot Artificial Intelligence Technologies(流行りのAI技術トップ15)」によると、Apple、Google、Amazon、IBM、Microsoftなどが仮想アシスタントを提供しています。
サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティとは、データやシステム基盤に対する攻撃や脅威を検知・防御・軽減することを目的としたコンピュータの防御機構です。
一連の入力を処理できるニューラルネットワークや機械学習技術を使って学習技術を作り、疑わしいユーザーの行動を発見し、サイバー脅威を検出することができます。
AIに最適化されたハードウェア
中央演算処理装置だけでなく、ビジュアルの向上やアップグレードにより、特にAI向けの作業を行うためのデバイスが構築・採用されています。
良い例として、AIに最適化されたシリコンチップは、あらゆるモバイル機器に搭載することです。その結果、企業や組織は、次世代のアプリの開発を加速させるために、AIに資金を注ぎ込んでいるのです。
AI開発工程の注意点
AI開発を行う際は、以下の点に注意する必要があります。
戦略を持つ
一歩踏み込んで戦略を考えるべきです。ほとんどの企業は、その背景を理解していないために失敗しています。
AI開発を始める前に、正しい戦略を立て、それがビジネス戦略とリンクしていることを確認してください。今後半年から2年間の目標に対して、AIはどのような役割を果たすでしょうか。まず適切な人材とスキルを集める方法を理解し、次に正しい働き方や運用モデル、テクノロジーやデータに注目し、最後にこのテーマに関するその他のすべての側面を理解する必要があります。
マイルストーンによる管理
どのような仕事においても、明確な目標を持つことは必要不可欠です。自分自身や会社、あるいはAIソフトウェアについて、本当に達成可能な目標を設定できなければ、プロジェクトはリスキーなものになります。
これを回避するためには、マイルストーンを設定する必要があります。このマイルストーンは、目標を達成するための基礎となるものです。現実的で時間を意識したものでなければなりません。どのようなAI開発に取り組む場合でも、常に道筋をたどることを念頭に置いてください。
データへの投資
AIには良いデータが必要です。AI関連の活動を、AIプロジェクトの成功に必要な他のすべての活動と一緒に位置づけることが重要です。これには、データの収集、変換、クレンジング、標準化に時間とリソースを割り当てるとともに、AIを活用したビジネス成果を実現するために必要なデータ要件に関する期待値を管理する必要があります。
ステークホルダーを巻き込む
AIは、さまざまなビジネスプロセスやデータポイントを改善することができます。しかし、どのようなプロセスでも、改善するためには明確な道筋と計画が必要であり、それはステークホルダーとの対話から始まります。
専門チームを使うべき大きなユースケースと、他のチームがプラットフォームを使って取り組める小さいながらも重要なユースケースを決めるには、現在のコンテキストでAIを使える主なプロセスは何かについて合意させ、それを評価・定量化し、努力とかかる時間の見積もりと組み合わせる必要があります。
徹底的なテスト
企業は、単一のユースケースに過度に集中することがありますが、これは必ずしもAI導入の最適なアプローチではありません。むしろ、徹底にテストすることが最良の手法です。AIでは「わからない」ことばかりでしょうが、やっていくうちにわかってくるものです。
AIのユースケースは重要ではないかもしれませんが、重要なのはそれが成功することであり、そのためには常にテストし、適応していかなければなりません。結局のところ、AIでは、完璧であることよりも、常に探求し、何かを成し遂げることが重要なのです。
AI開発にかかる費用
AIソフトウェアの利用にかかる費用は、無料で作ることができるツールから、数億円までと幅があります。
AIソフトウェアには、第三者のソリューションから、社内またはフリーランスのデータサイエンティストのチームによって構築されたカスタムプラットフォームまで、さまざまなかたちがあります。費用相場は約40万円から100万円程度ですが、場合によっては、無償で対応可能な場合もありますので、自社の課題を元に開発会社に相談してみましょう。
一方、カスタムAIソリューションには、100万円から数億円以上の費用がかかります。この費用には、開発と実装の両方が含まれます。
コンサルティングのような継続的なAIサービスは一般的に安価で、コンサルタントの時間給に基づき、40万円から80万円程度かかります。モックアップ開発は200万円からです。
AI開発の場合、エンジニアの人数に応じて月額60万円から250万円前後の費用が発生します。
構築済みのチャットボットなど、サードパーティのAIソフトウェアを採用する場合、年間最大400万円の支払いが見込まれます。
AIの開発コストに影響を与える要素
AIの開発コストに影響を与える要素は、「プロジェクト期間」「複雑さ」「機能」「データ」「パフォーマンス」の5つです。
プロジェクト期間
AIのコストは、AIプロジェクトの期間にも影響されます。
たとえば、AI解析システムを3ヵ月ではなく2ヵ月で構築したい場合、より多くの費用がかかることが予想されます。オフショア開発の場合、開発プロバイダーは開発者や工数を増やしてプロジェクトを進める必要があります。自社でプロジェクトを進める場合は、人員を増やす必要があるかもしれません。
多くの場合、より包括的なAIプロジェクトは、より長い時間を要し、その結果、AIへの支出はより大きくなります。
自社に必要なAIソフトのコストを調べながら、時系列で考えてみましょう。
複雑さ
AIのコストについて語るとき、クラウドベースのバックエンド、ETL※/ストリーミングツール、音声アシスタント、クラウドダッシュボードなどの機能を含む適切なAIソフトウェアの開発費用を考慮することが必須です。
効果的なAIシステムの構築は、企業の技術システムの頭脳となり、有用なデータを輩出し、情報に基づいた意思決定を支援するための洞察を引き出すことになるため、非常に重要です。
※ETL…「Extract (抽出)」「Transform (変換)」「Load (書き出し)」の略語で、データベースなどからデータを抽出し、扱いやすいフォーマットへ変換してDWH(データウェアハウス)などに書き出す一連のプロセス。
機能
AIにどれだけのコストがかかるかは、AIソリューションに何を望むかにも影響されます。構築済みのソリューションを選択する場合でも、支払う価格は必要な機能によって左右されます。
たとえば、顧客関係管理(CRM)ソフトウェアと統合できるチャットボットを希望する場合、より高価格のパッケージを選択する必要があるかもしれません。
最高のAIソフトウェアを活用したテーラーメイドのデータ分析ソリューションをお望みなら、AIソフトウェアにもっとお金を払う準備しなければなりません。この場合、AIは投資であることを心に留めておいてください。
信頼性の高い迅速なデータ分析を望むなら、業界で信頼されているAIプラットフォームが必要です。
データ
AI機器の性能は、システムに投入されたデータによって決まります。構造化されたデータも、非構造化されたデータも、どちらも吸収することができます。構造化されたデータは、特にAIアルゴリズムの精度を向上させるのに十分なデータがあれば、作業コストが低くなります。
パフォーマンス
優れた予測には何度もチューニングが必要で、それがAIソリューションの導入コストを押し上げるため、十分なアルゴリズム性能は最も重要なコスト面の1つとなっています。
AIの予測の精度と効率が高ければ高いほど、これらのソリューションの導入コストは高くなります。
まとめ
AIを活用したソリューションの開発は、決して簡単でも安価でもありません。
しかし、コスト削減とビジネス上のメリットは、努力に見合うものです。長い目で見れば、増収と支出削減の両面で、大きな節約になるでしょう。
プロフェッショナルなニーズに応えるため、CMC Japanは日常生活でAI技術を活用しています。データ分析から得られる創造的な洞察や、複雑なビジネス上の問題に対する答えを与えるだけでなく、私たちの日常生活を自動化することで、企業と個人の両方に利益をもたらしています。
CMC Japanについて
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