Delphiとは

Delphiとは?主な特徴や使用される言語について詳しく解説

Delphiは、Windowsアプリケーション開発用に設計され、Pascalプログラミング言語をベースとしたIDE(統合開発環境)です。本記事では、Delphiとはどのような統合開発環境であり、Delphiに用いられるObject Pascalとはどのようなプログラミング言語であるのかについてご紹介します。

目次

1.そもそも統合開発環境(IDE)とは?

Delphiは統合開発環境(IDE)の1つですが、そもそもIDEとは何でしょうか。

IDEとは、Integrated Development Environment(統合開発環境)の略で、プログラム開発に必要な機能を一つのソフトウェアパッケージにまとめた開発環境のことです。

 

一般的に、IDEには次のような機能が含まれます。

コードエディタ

プログラムのソースコードを記述するためのエディタがあります。これには、コードの入力支援、コードのハイライト表示、自動インデント、自動補完機能などが含まれます。

ビルドツール

コードをコンパイルし、実行ファイルやライブラリファイルなどのバイナリファイルを生成するためのビルドツールがあります。

デバッグツール

プログラムのデバッグ(プログラムに存在するバグを特定して修正すること)をサポートするためのツールがあり、ステップ実行、変数の値の確認、スタックトレースの表示、条件付きブレークポイントなどが含まれます。

バージョン管理ツール

これは、プログラムのソースコードのバージョン管理をサポートするためのツールで、変更履歴の記録、ブランチの作成、マージなどの機能があります。

ユニットテストツール

これは、プログラムのユニットテストをサポートするためのツールで、テストコードの自動生成、テストの実行、テスト結果の表示などが可能です。

以上のことからわかるように、IDEは、プログラム開発の生産性を向上させるために開発されたツールであり、プログラマーが手動で行う作業を自動化することによって開発プロセスを効率化します。初心者でも、IDEを使うことでプログラムの開発がスムーズになるため、学習に役立ちます。

2.Delphi(デルファイ)の概要と特徴

統合開発環境(IDE)とは何か理解したところで、次に、Delphiの概要と主な特徴についてご紹介します。

 

Delphiは、Windowsアプリケーション開発用に設計されたIDE(統合開発環境)で、Pascalプログラミング言語をベースとしています。Delphiは、視覚的なコンポーネントと開発ツールの豊富なセットを提供し、開発者がGUIを持つWindowsアプリケーションを多くのコードを書かずに作成できるようにします。

 

Delphiの主要な機能の1つに、RAD(Rapid Application Development)アプローチがあります。これは、開発者がDelphiが提供する視覚的なコンポーネントを使用して、アプリケーションを迅速に作成しプロトタイプを作成できることを意味します。RAD機能により、開発者はアプリケーション開発サイクルおよび開発期間を短縮することができます。

 

また、Delphiはクロスプラットフォーム開発ツールでもあり、macOS、iOS、Androidなど、異なるプラットフォーム向けのアプリケーションを作成するために使用できます。

 

RAD機能に加えて、Delphiには強力なコードエディタが付属しており、シンタックスハイライト、コード補完、リファクタリング、デバッグなどの機能を提供し、開発者が効率的にコードを書き換えることができます。Delphiにはバージョン管理システムとの統合もあり、開発者がコードの変更を管理し、他のチームメンバーと協力することが容易になります。

 

以上の内容をまとめると、DelphiはWindowsアプリケーション開発のための完全な開発ツールセットを提供し、クロスプラットフォーム機能とRADアプローチにより、開発者が開発プロセスを加速することができるIDEです。

Delphi Community Editionとは

Delphi Community Editionとは、フリーランスの開発者やスタートアップ企業、趣味や学習目的で使用する開発者向けのDelphiの無料版のことです。これは、Delphiのフル機能を備えており、Windows、macOS、iOS、Androidなどの複数のプラットフォームでアプリケーションを開発することができます。

 

Delphi Community Editionには、ビジュアル開発環境やVCL、FireMonkeyなどのフレームワーク、デバッグツール、オブジェクトパスカル言語のコンパイラなど、Delphiに必要なすべての機能が含まれています。また、マルチプラットフォームアプリケーションの開発に必要なコンポーネントやAPIも提供されています。

 

ただし、Delphi Community Editionには、商用利用や企業内での使用に制限があるため、使用するには、Embarcaderoの利用規約に同意する必要があります。

3.Delphiに用いられるObject Pascalとは

ここでは、Delphiに用いられるObject Pascalというプログラミング言語について説明します。

 

Object Pascalとは、Delphiで用いられるプログラミング言語であり、オブジェクト指向プログラミングの特徴を持っています。

 

Object Pascalは、Pascalプログラム言語を拡張したものであり、データ型、変数、手続き、関数などの基本要素をサポートしています。また、クラス、オブジェクト、継承、ポリモーフィズム、カプセル化などのオブジェクト指向プログラミングの機能も提供しています。

 

Delphiでは、Visual Component Library(VCL)と呼ばれるUIフレームワークが提供されており、Object Pascalを使用して、Windowsデスクトップアプリケーションを容易に開発することが可能です。VCLには、標準的なWindowsコントロールのセットおよびそれらを簡単にカスタマイズできる機能が含まれています。

 

また、Delphiでは、フレームワークを使用したRAD(Rapid Application Development)が可能であり、グラフィカルなIDEでビジュアルデザインを行い、そのデザインに基づいてObject Pascalのコードを自動生成することができます。これにより、効率的かつ迅速なアプリケーションの開発が可能となります。

 

さらに、Object PascalはDelphiだけでなく、Lazarusなどの他のオープンソースのIDEでも使用されています。DelphiやLazarusで開発されたアプリケーションは、WindowsやLinuxなどの複数のプラットフォームで動作することができます。

 

以上のように、DelphiにおけるObject Pascalは、オブジェクト指向プログラミングの特徴を持った柔軟性の高いプログラミング言語であり、多くの開発者によって広く使用されています。

4.Delphi以外の統合開発環境

ここまでDelphiについて説明してきましたが、最後にそれ以外のIDEについても4つほどご紹介します。

Visual Studio

Visual Studioは、マイクロソフト社が開発したWindowsおよびWebアプリケーションの開発を支援する統合開発環境(IDE)です。主に、C#、VB.NET、C++、JavaScriptなどのプログラミング言語を用いた開発が可能です。

 

Visual Studioの主な特徴としては以下のようなものがあります。

 

・インテリセンス機能

Visual Studioは、コード入力時に自動的に候補を表示してくれる「インテリセンス機能」が備わっています。この機能により、プログラマーはコードの記述を効率的に行うことができます。

 

・デバッグ機能

Visual Studioは、豊富なデバッグ機能を備えています。例えば、ステップ実行、変数の監視、ブレークポイントの設定などです。これらの機能により、プログラムの不具合を特定し修正することが容易になります。

 

・デザインツール

Visual Studioは、WindowsアプリケーションやWebアプリケーションを開発するためのデザインツールを備えています。例えば、WindowsフォームやWebフォームのデザイン画面があり、これらをドラッグ&ドロップで配置することができます。

 

・拡張性

Visual Studioは、豊富なプラグインをサポートしており、プログラマーは必要なツールや機能を簡単に追加することができます。

 

・バージョン管理機能

Visual Studioは、バージョン管理システム(VCS)であるGitやSubversionなどの機能を統合しており、開発者はVisual Studio上でバージョン管理を行うことができます。

 

以上が、Visual Studioの主な特徴です。Visual Studioは、WindowsアプリケーションやWebアプリケーションの開発に最適化されたIDEであり、多くのプログラマーに利用されています。

Xcode

Xcodeは、Appleが開発したmacOSおよびiOSアプリケーションの開発を支援する統合開発環境(IDE)です。主に、Swift、Objective-C、C++などのプログラミング言語を用いた開発が可能です。

 

Xcodeの主な特徴としては以下のようなものがあります。

 

・インターフェースビルダー

Xcodeは、iOSアプリケーションやmacOSアプリケーションを開発するためのインターフェースビルダーを備えています。iOSアプリケーションの場合、ボタンやテキストフィールドなどのUI要素をドラッグ&ドロップで配置することができます。

 

・デバッグ機能

Xcodeは、豊富なデバッグ機能を備えています。ステップ実行、変数の監視、ブレークポイントの設定などが可能です。これらの機能により、プログラムの不具合を容易に特定し修正することが可能です。

 

・シミュレータ

Xcodeは、シミュレータを備えています。これにより、実際にデバイスでアプリケーションを実行することなく、開発中のアプリケーションの動作を確認することができます。

 

・アプリケーション配布

Xcodeは、App Storeや企業内での配布に必要なプロビジョニングプロファイルや証明書を管理する機能を備えています。これにより、開発者は簡単にアプリケーションを配布することができます。

 

・拡張性

Xcodeは、豊富なプラグインをサポートしており、プログラマーは必要なツールや機能を簡単に追加することができます。

 

以上が、Xcodeの主な特徴です。Xcodeは、iOSアプリケーションやmacOSアプリケーションの開発に最適化されたIDEであり、多くのiOS開発者に利用されています。

Unity

引用元:https://unity.com/ja

Unityは、主にゲーム開発に特化した統合開発環境(IDE)です。以下に、Unityの特徴や機能について詳しく説明します。

 

・複数のプラットフォームに対応

Unityは、Windows、Mac、Linuxなどのオペレーティングシステムで動作し、iOS、Android、PlayStation、Xboxなどの多数のプラットフォームに対応しています。これにより、ほぼすべての主要なプラットフォーム向けにゲームを開発することができます。

 

・ノンプログラマーでも使いやすい

Unityは、ノンプログラマーでも使いやすいように設計されています。多数のプリセットやコンポーネントが用意されており、ボタンを押すだけでゲームオブジェクトを追加したり、スクリプトを追加したりすることができます。また、C#などのスクリプト言語を使用して独自の機能を作成することもできます。

 

・3D/2Dの両方に対応

Unityは、3Dゲームの開発に特化していますが、2Dゲームを開発することもできます。2Dの開発には、Sprite Editorといった機能が用意されています。

 

・アセットストアが充実

Unityは、アセットストアと呼ばれるオンラインストアを持っています。このストアには、3Dモデル、テクスチャ、プラグインなど、多数のリソースが販売されており、これらを使うことで開発効率を高めることができます。

 

・リアルタイムプレビューが可能

Unityは、リアルタイムプレビュー機能を備えています。つまり、作成したゲームをプレビューしながら開発を進めることができます。この機能により、ゲームの見た目や動きをすぐに確認することができ、開発効率を大幅に向上させます。

 

・大規模なプロジェクトにも対応

Unityは、大規模なプロジェクトにも対応しています。大量のアセットを扱うことができ、プロジェクトのスケールに応じてカスタマイズすることができます。

 

以上が、Unityの主な特徴や機能です。これらの機能により、ノンプログラマーでもゲーム開発に挑戦することができ、プロの開発者も効率的にゲームを作成することができます。また、Unityは豊富なコミュニティがあり、多数の質問や情報がオンラインで入手可能です。

 

最後に、Unityは無料で利用できますが、一部の機能やサポートには有料のPro版が必要となる場合があります。しかし、無料版でも十分な機能が利用でき、多くのユーザーが無料版でゲームを開発しています。

Eclipse

Eclipseは、Javaを始めとする多くのプログラミング言語に対応した、オープンソースの統合開発環境(IDE)です。主に、Java、C/C++、Python、PHP、JavaScriptなどのプログラミング言語を用いた開発が可能です。

 

Eclipseの主な特徴としては以下のようなものがあります。

 

・プラグインアーキテクチャ

Eclipseは、多くのプラグインをサポートしています。このプラグインアーキテクチャにより、Eclipseの機能を拡張することができます。例えば、C/C++開発用のプラグインやWeb開発用のプラグインがあります。

 

・コード補完

Eclipseは、豊富なコード補完機能を備えています。これにより、プログラマーは効率的にコーディングを行うことができます。

 

・デバッグ機能

Eclipseは、豊富なデバッグ機能を備えています。これによりステップ実行、変数の監視、ブレークポイントの設定などが可能です。これらの機能により、容易にプログラムの不具合を特定し修正することができます。

 

・ユニットテスト

Eclipseは、JUnitなどのユニットテストフレームワークをサポートしています。これにより、プログラマーは効率的にユニットテストを実行することができます。

 

・プロジェクト管理機能

Eclipseは、複数のプロジェクトを管理する機能を備えています。これにより、大規模な開発プロジェクトを効率的に管理することができます。

 

・Gitなどのバージョン管理ツールとの連携

Eclipseは、Gitなどのバージョン管理ツールとの連携をサポートしています。これにより、チームによる共同開発が容易になります。

 

以上が、Eclipseの主な特徴です。Eclipseは、多くのプログラマーに利用されている汎用的なIDEであり、オープンソースであるため、拡張性が高く、カスタマイズが可能です。また、多くのプラグインが利用できるため、プログラミング言語や開発プロジェクトに合わせてカスタマイズすることができます。

まとめ

本記事では、統合開発環境の1つであるDelphiの概要や、使用されているObject Pascalという言語、Delphi以外のIDEについてご紹介しました。Delphiは、Windowsアプリケーション開発用に設計され、Pascalプログラミング言語をベースとしたIDE(統合開発環境)ですが、他にもVisual StudioやXcode、Unity、Eclipseなどの種類があり、プロジェクトに合わせて最適なIDEを選択する必要があります。

 

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