持続可能な開発って何?SDGsとは?
目標から取り組み事例まで解説!
近年、世界中で注目を集めている「持続可能な開発」や「SDGs(持続可能な開発目標)」という言葉を耳にすることが増えてきました。企業や自治体、さらには個人の生活にまで広がるこの取り組みは、今やビジネスの成功においても無視できない要素となっています。しかし、具体的に「持続可能な開発」とは何を意味し、SDGsとはどのような目標なのか、そしてそれらをどのように実現していくのか、詳しく理解している方はまだ少ないかもしれません。
本記事では、「持続可能な開発」とは何か、そしてSDGsの背景や具体的な目標について詳しく解説するとともに、実際の取り組み事例を交えてご紹介します。これを機に、持続可能な未来の実現に向けた第一歩を踏み出してみませんか?
目次
持続可能な開発とは?
持続可能な開発(Sustainable Development)は、現在の世代がそのニーズを満たしつつ、将来の世代が自分たちのニーズを満たす能力を損なわないようにする発展のことを指します。この概念は、経済成長、環境保護、社会的包摂のバランスをとりながら、長期的に持続可能な社会を目指すものです。
持続可能な開発の背景
持続可能な開発の概念は、20世紀後半に環境問題や社会的格差が顕在化したことに起因しています。特に、1987年に国連が発表した「ブルントラント報告書」(Our Common Future)で初めて提唱されました。この報告書では、持続可能な開発が地球の資源を次世代に引き継ぐために必要な基本的な枠組みであると強調されています。
背景には、急速な経済発展による環境破壊や資源の枯渇、または貧困や社会的不平等の問題が深刻化したことがあります。これらの課題に対応するため、国際社会は持続可能な開発目標(SDGs)を策定し、2030年までに達成することを目指しています。
SDGsとは?
SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年9月の国連サミットで全会一致で採択された、2030年までに達成すべき持続可能な開発のための17の目標です。これらの目標は、貧困の撲滅、教育の向上、気候変動への対応など、持続可能な社会を築くために必要な幅広い分野をカバーしています。
目標 1 あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
世界人口の10%にあたる7億人以上が今日でも極度の貧困状態にあり、1 日1 ドル 90 セントという国際貧困ライン未満で家族と暮らしています。経済成長を包摂的なものとし、持続可能な雇用を提供し、平等を促進することが必要です。
目標 2 飢餓をゼロに
現時点で空腹を抱える 8 億 1,500 万人に加え、さらに 2050 年までに増加が見込まれる 20 億人に食料を確 保するためには、グローバルな食料と農業のシステムを根本的に変える必要があります。
目標 3 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
平均寿命を延ばし、母子の死亡と関連づけられている一般的な死因のいくつかを減らすという点では、長足 の進歩が見られています。しかし、2030 年までに生児出生 10 万人当たり 70 人未満という産婦死亡率のタ ーゲットを達成するためには、熟練した分娩医療の改善が必要となります。
目標 4 すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
質の高い教育が欠けている理由には、十分な訓練を受けた教員の不足、校舎の劣悪な状況、農村部の子どもに提供される機会の公平性の問題があります。
目標 5 ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
最近の 10 年間で、 30%減少した女性器切除術(FGM)など、有害な 慣行については前進が見られるものの、このような慣行を全廃させるためには、さらに多くの取り組みが必要 となります。
目標 6 すべての人々に水と衛生へのアクセスを確保する
世界では、今だ数十億人が安全に管理された飲料水と衛生サービスを利用できていません。劣悪な経済情勢やインフラの不備により、数百万人が不適切な給水、衛生施設、衛生状態に関連する病気で命を落としています。衛星的な水の提供はもちろん、衛生的な水を使うことのできる手洗い設備の利用は感染症予防に効果的な行動をとるためにも重要なことです。
目標 7 手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
現時点で、およそ 30 億人がクリーンな調理用燃料を利用できず、危険なレベルの空気汚染にさらされています。クリーン燃料とクリーン技術へのアクセスを拡大するとともに、建物や輸送、産業における再生可能エネルギーの取り組みをさらに強化する必要があります。
目標 8 すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する
持続可能な経済成長を遂げるためには、経済を刺激し、かつ、環境に害を及ぼさない質の高い仕事に人々 が就ける条件を整備することが必要になります。
目標 9 レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る
製造業の 生産で大きな割合を占めるハイテク製品への投資を拡大し、効率を高めるとともに、人々のつながりを増やす 移動・携帯通信サービスに注力する必要があります。
目標 10 国内および国家間の不平等を是正する
不平等を是正するためには、原則的に社会的弱者や疎外された人々のニーズに配慮しつつ、普遍的な政 策を採用すべきです。
目標 11 都市を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする
2030 年までに、都市住民の数は 50 億人 に増えると予測される中で、都市化がもたらす課題に対処するため、効率的な都市計画・管理実践の導入が 重要となっています。
目標 12 持続可能な消費と生産のパターンを確保する
持続可能な消費とライフスタイルについて消費者を 教育すること、基準やラベルを通じて十分な情報を提供すること、持続可能な公的調達に参画することなども 含まれます。
目標 13 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
気候変動は国境に関係のないグローバルな課題です。気候変動は、国際レベルでの調整を要する解決策と、開発途 上国の低炭素経済への移行を支援するための国際協力をともに必要とする問題なのです。
目標 14 海洋と海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
海洋保護区を実効的に管理し、しっかりと資金を供給する必要があるほか、乱獲や海洋汚染、海洋の酸性 化を抑えるための規制の導入も必要となっています。
目標 15 森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
地球の表面積の 30.7%を覆う森林は、食料の安定確保と住処の提供のほか、気候変動との闘いや、生物多 様性と先住民の居住地の保護にも鍵を握る役割を果たします。私たちは森林を保護することにより、天然資 源の管理を強化し、土地生産性を高めることもできます。
目標16 公正、平和かつ包摂的な社会を推進する
個人の権利保護に向けた第一歩なるのは、全世界で 出生届を導入し、各国により独立性の高い人権機関を設けることです。
目標17 持続可能な開発に向けてグローバル・パートナーシップを活性化する
持続可能な開発アジェンダを成功に導くためには、各国政府と民間セクター、市民社会のパートナーシップ が必要です。原則と価値観、共有のビジョン、そして人間と地球を中心に据えた共有の目標に基づく包摂的 なパートナーシップが、グローバル、地域、国内、地方の各レベルで必要とされています。
SDGsの取り組み
日本は政府の施策と企業の取り組みを通じて、SDGsの目標達成に向けた積極的な努力を続けています。政府はこれらの目標を国内政策に組み込み、主要な日本企業は持続可能なビジネスモデルを導入しています。以下に、その具体例を紹介します。
日本政府のSDGsへの取り組み
日本政府は、SDGsの達成に向けて様々な取り組みを進めています。以下はその具体例です。
SDGs実施指針の策定:日本政府は2016年に「SDGs実施指針」を策定し、国内外でのSDGs達成に向けた戦略的な取り組みを明確にしました。この指針には、8つの優先分野が設定されており、貧困の撲滅、気候変動への対応、質の高い教育の提供、ジェンダー平等の推進などが含まれています。
地方創生とSDGsの統合:日本政府は地方創生政策とSDGsの達成を結びつけ、各地域での持続可能な発展を促進しています。例えば、地方自治体が地域の特色を活かした持続可能な開発計画を策定し、地域の課題に取り組むことで、SDGsの達成を目指しています。
国際協力の推進:日本政府は開発途上国への支援を通じて、グローバルなSDGsの達成に貢献しています。特にアジアやアフリカの国々に対して、インフラ整備、教育、保健医療、農業支援などの分野で技術協力や資金援助を行っています。
企業のSDGsへの取り組み
日本企業もSDGsの達成に向けて積極的な取り組みを行っています。以下はその具体例です。
トヨタ自動車株式会社:トヨタは「環境チャレンジ2050」という目標を掲げ、2050年までに全事業活動からのCO2排出をゼロにすることを目指しています。また、水資源の保全、廃棄物の削減、再生可能エネルギーの利用促進など、持続可能な社会の実現に向けた具体的な取り組みを進めています。
味の素株式会社:味の素は、食品を通じて持続可能な社会を実現するために、「食の未来戦略」を展開しています。この戦略では、栄養価の高い製品の開発、食品ロスの削減、持続可能な原材料の調達などに取り組んでいます。また、地域社会との連携を強化し、農業支援や栄養改善プロジェクトを推進しています。
ユニクロ(株式会社ファーストリテイリング):ユニクロは、環境への配慮と社会的責任を重視した事業運営を行っています。具体的には、リサイクル素材の利用拡大や製品ライフサイクル全体における環境負荷の削減、労働環境の改善を目指すサプライチェーンの構築などを進めています。また、店舗でのリサイクル活動や、発展途上国への衣料支援プログラムも展開しています。
これらの取り組みは、日本政府や企業がSDGsの達成に向けた具体的な行動を通じて、持続可能な社会の実現を目指していることを示しています。
SDGsにおける課題と解決策
SDGs達成に向けた課題
SDGsは持続可能な社会の実現を目指す包括的な目標ですが、その達成には多くの課題が存在します。まず、資金不足が大きな障害となっています。特に開発途上国では、SDGs達成に必要な資金が十分に確保されていないため、インフラ整備や教育・医療の向上に困難を伴っています。また、政治的な意志の欠如や、政府や企業の取り組みが十分に進展していないことも問題です。多くの国で政策が実効性を持たず、具体的な行動計画が欠如しているため、SDGsの目標達成が遅れています。
さらに、情報の不透明性や、データの不足も課題です。SDGsの進捗状況を正確に把握し、適切な対策を講じるためには、信頼性の高いデータが必要です。しかし、多くの地域でデータ収集が不十分であり、現状把握が難しい状況にあります。加えて、企業の取り組みが不均衡であることも問題です。SDGsを積極的に推進している企業がある一方で、まだ十分に取り組んでいない企業も多く、全体としての進捗が妨げられています。
課題解決のための取り組みと提案
これらの課題に対処するためには、まず資金調達の強化が必要です。政府、民間企業、国際機関が連携して、SDGs関連プロジェクトへの投資を促進し、特に開発途上国への資金支援を拡大することが求められます。また、政治的リーダーシップの強化も重要です。各国政府は、SDGsを国家戦略の中心に据え、具体的かつ実行可能な政策を策定し、国民や企業に対して明確な目標を示すことが求められます。
情報の不透明性を改善するためには、データの収集と管理体制の強化が不可欠です。政府や企業は、信頼性の高いデータを収集し、それを公開することで、SDGsの進捗状況を透明性を持って監視し、必要な対策を講じることができます。さらに、企業の取り組みを促進するためには、企業の責任と持続可能性への意識を高めることが重要です。企業がSDGsの達成に向けた具体的な目標を設定し、その進捗を公表することで、社会全体の取り組みが加速されるでしょう。
最後に、パートナーシップの強化が不可欠です。政府、企業、市民社会が連携し、SDGs達成に向けた取り組みを協力して進めることで、より効果的な成果が期待できます。このような協力体制を強化することで、SDGsの目標達成に向けた道筋を確立し、持続可能な社会の実現に近づくことができるでしょう。
SDGsを達成するために私たちができること
個人としての行動
SDGsの達成は政府や企業だけの責任ではなく、私たち一人ひとりが日常生活の中でできる小さな行動の積み重ねが、持続可能な未来を築く鍵となります。まず、消費行動の見直しが挙げられます。例えば、食品ロスを減らすために必要な分だけを購入し、食べ残しをしないように心がけることが大切です。また、使い捨てプラスチックの使用を控え、マイバッグやマイボトルを持ち歩くことで、環境への負荷を軽減できます。
さらに、エネルギーの節約も重要です。家庭での電力消費を見直し、無駄な電気を消す、エコな家電製品を選ぶなど、エネルギー効率を高めることで、CO2排出を抑えることができます。また、通勤や外出時には公共交通機関や自転車を利用することで、交通に伴う環境負荷を低減できます。
教育や啓発活動にも積極的に参加しましょう。SDGsについて学び、周囲に広めることは、持続可能な社会の実現に向けた第一歩です。特にSNSや地域の活動を通じて情報を共有し、意識を高めることで、社会全体の動きを加速させることができます。
コミュニティや組織での貢献方法
個人の行動に加えて、コミュニティや組織での取り組みもSDGs達成には不可欠です。地域社会では、持続可能なライフスタイルを推進するための活動を支援することが重要です。例えば、地元の農産物を消費する「地産地消」を促進することで、輸送に伴う環境負荷を減らし、地域経済の活性化にも貢献できます。
また、ゴミの分別やリサイクル活動を強化し、地域全体での環境意識を高めることが求められます。地域のイベントやワークショップを通じて、住民にリサイクルの重要性を伝え、積極的に参加してもらうことが効果的です。
組織としては、企業や学校などで持続可能な運営方針を取り入れることが重要です。例えば、オフィスでのペーパーレス化、エネルギー効率の向上、社員や学生へのSDGs教育の導入などが考えられます。また、企業はサプライチェーン全体での環境負荷を軽減する取り組みを行い、持続可能な製品やサービスの提供を目指すべきです。
さらに、ボランティア活動や地域貢献にも参加しましょう。地域の清掃活動や自然保護活動に参加することで、直接的に環境保護に貢献できるだけでなく、地域の人々との連携を深めることができます。これにより、コミュニティ全体でSDGs達成に向けた強固な基盤を築くことができます。
個人、コミュニティ、そして組織が一体となって行動することで、SDGsの目標達成に向けた大きな力を生み出すことができるでしょう。
まとめ
SDGsへの取り組みは、企業のブランド力向上につながるのは間違いないです。
CMC Japanでは、SDGsへの取り組みでお困りの企業様のノウハウ・テクノロジーの支援も行っています。自社でどうやってテクノロジーを活用してSDGsを達成できるかわからないなどのお悩みも、経験豊富な専門家がお答えします。
ぜひお気軽にご相談ください。