ウォーターフォール開発:概要、メリット・デメリットと進め方
ウォーターフォール開発は、最も伝統的で基本的なソフトウェア開発プロセスモデルの1つです。その名前が示すように、このモデルの下向きのメカニズムは滝が上から下へと流れていくメカニズムに似ています。プロセス全体は一連の段階に分割されており、次の段階に進む前に各フェーズを正常に完了する必要があります。ウォーターフォール開発の概要、メリット・デメリットとその進め方を詳しく見ていきましょう。
1.ウォーターフォール開発とは
ウォーターフォールモデルはタスクを順番に処理していくシーケンシャルモデルの1例です。このモデルでは、ソフトウェア開発プロセスは様々な段階に分割され、各段階には一連のタスクが含まれており、多くの異なる目的を果たします。
ウォーターフォールモデルは、SDLC(Software Development Life Cycle:ソフトウェア開発ライフサイクル)プロセスのパイオニアであり、ソフトウェア業界で広く使用されています。複数の段階に分割されおり、1つの段階の出力が次の段階の入力へとつながります。次の段階に進む前に、各段階を完了する必要があります。つまり、ウォーターフォールモデルには重複がありません。
2.ウォーターフォールモデルの5つの段階
ウォーターフォールモデルには次の5つの段階があります。
- 要件定義
- 設計
- 開発
- テスト
- 運用・保守
通常、ウォーターフォール開発は、アジャイル開発の全く正反対のものと見なされます。この2つのモデルの主な違いは、ウォーターフォールでは、コードを開発する前にすべての要件を文章化する必要があることです。つまり、すべての要件を最初から綿密に定義する必要があります。後で修正するのは非常に困難だからです。
3.1.ウォーターフォールモデルのメリット
3.1.構造が明確である
他のアプローチと比較すると、ウォーターフォールにはより明確で定義された一連の段階があります。各プロジェクトは次のようなステップを進めます。
- 要件定義・文書化
- システム設計
- 開発
- テスト
- リリース・デプロイメント
- 保守
開発チームは次のステップに進むには、直前のステップを完了する必要があるため、そのステップにおける障害はすぐに明らかにされ、対処する必要があります。開発チームはこの特徴により、最終的により完全で洗練されたプロジェクトを手に入れることができます。
明確であることに加えて、ウォーターフォールの進行は直感的です。シックスシグマやスクラム開発とは異なり、ウォーターフォールはプロジェクトマネージャーやスタッフに特別な資格やトレーニングを必要としません。
3.2.早い段階で最終目標を決定する
最初に最終製品、目標、または成果物にコミットすることは、ウォーターフォールモデルを定義する要素の1つであり、開発チームはそのコミットメントから逸脱しないようにする必要があります。目標が明確な小規模なプロジェクトの場合、この段階では、開発チームが最初から全体的な目標を把握し、迷わずプロジェクトを進行することができます。
プロジェクトを個々のスプリントに分割するスクラムとは異なり、ウォーターフォールは常に最終目標に集中します。 開発チームが明確な締め切りのある具体的な目標を持っている場合、ウォーターフォールはその目標に向かってただ作業を進めることができます。
3.2.早い段階で最終目標を決定する
ウォーターフォールは非常に系統的なアプローチであるため、開発に関する情報も各プロセスの間で明確に流れていきます。ソフトウェアプロジェクトの新しいフェーズごとに、新しい従業員グループが必要になります。したがって、プロジェクトのライフサイクル全体を通じて情報を文書化する必要があります。各ステップでプロジェクトを引き継ぐ場合でも、予期しない人事異動が発生する場合でも、ウォーターフォールはアクセス可能な情報を優先して、新しいチームメンバーがすぐに開発に取り掛かれるようになっています。
整理しておいて適切なプロセスに従うことで、ウォーターフォールのこの特徴を最大限に活用することができます。
4.ウォーターフォールモデルのデメリット
ウォーターフォールは今もお高い人気を誇るモデルですが、最近では時代遅れのモデルであると言われることも多くなりました。そのデメリットは、プロジェクトのサイズ、タイプ、および目標に応じて、より明白に定義されます。以下のデメリットを考慮したうえで、ウォーターフォールが開発チームに最適であるのかを評価してみてください。
4.1 変更が困難である
ウォーターフォールモデルは、開発チームが常に前進し続ける一連のステップに従うことに基づいています。そもそも、このモデルは予期しない調整や修正に全く向いていません。開発チームがプロジェクトのほぼ最後までウォーターフォールの手順に従い開発を進めていたとして、プロジェクトの範囲または目標の変更を必要とする予期しない障害に遭遇した場合におけるピボットは非常に困難になります。具体的かつ厳格な仮定の下で、大量の作業をプロジェクトに投入する必要があります。プロジェクトのパラメーターが予期せず変更されると、それまでに行った作業が無駄となり、タイムライン全体が乱れてしまう恐れがあります。
チームのプロジェクトが予測不可能な場合は、時間やエネルギーの無駄を避けるために、開発の要所要所で反省と変更の余地を作ることをご検討ください。
4.2.クライアントやエンドユーザーが関与しない
内部プロセスとして、ウォーターフォールモデルはプロジェクトに関与するエンドユーザーやクライアントにあまり焦点を当てていません。ウォーターフォールの主な目的は社内チームがプロジェクトのフェーズをより効率的に進められるようにすることです。これはソフトウェア業界でうまく機能します。しかし、ソフトウェア以外の業界では、クライアントはプロジェクトに関与し、コメントを追加したり、要件を明確にしたりすることがよくあります。
プロジェクトに最初から明確で不変の目標があり、エンドユーザーまたはクライアントが開発プロセスに関与していない場合は、ウォーターフォールは適切な選択肢です。それ以外の場合は、変更をより適切に予測し、プロジェクトのライフサイクル全体を通じてステークホルダーに情報を提供するアジャイルモデルの方が適しています。ステークホルダーを巻き込むことで、変更要求が遅れることによるプロジェクトの遅延を回避しやすくなります。
4.3.テストは最後に行われる
プロジェクトの後半までテストを残すのはときに危険です。ウォーターフォールは、6つのステップに分けられますが、テストは4つ目のフェーズとなるため、それまでのフェーズでは行われることがありません。ソフトウェア業界以外では、テストフェーズは、新しいWebサイトデザインをクライアントに示したり、コンテンツのA/Bテストを行ったり、プロジェクトの実行可能性に関する経験的データを取得するために様々な手順を実行したりすることを意味します。テストフェーズまでにすでにかなりの時間が経過しているため、大幅な修正は深刻な遅延をもたらす恐れがあります。
アジャイルモデルは、このウォーターフォールの特徴を克服する形で作成されました。ウォーターフォールの批評家は、プロジェクトが完成間近になるまで問題が見過ごされる可能性が高いと考えています。頻繁にテストした方良い思われる場合は、すべての段階でテストを実装し、うまく機能していることを確認するまで先に進まないようにします。または、プロセス全体で反省や修正が可能な別のプロジェクト管理方法を検討する必要があります。
5.ウォーターフォールモデルが適している場合とは?
通常、ウォーターフォールモデルは次の場合に使用されます。
- プロジェクトの要件が安定しており、頻繁に変更されない
- 小規模のアプリを開発する
- 環境が安定している
- 採用されるツールや手法が安定している
- リソースが十分に訓練されていて、利用可能である
まとめ
ウォーターフォールモデルは、ソフトウェア開発に導入された最初のモデルの1つであり、論理的な情報の流れで各ステップを明確に定義するため、今でも人気があります。これにより、開発者は早い段階で要件を把握することができます。しかし、ウォーターフォール開発にはデメリットがないわけではありません。このモデルは、頻繁に要件を変更することができないため、柔軟性が低いです。この欠点により、アジャイル開発モデルなどの代替アプローチ・モデルが作成されました。
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