深層学習フレームワーク

深層学習フレームワークとは|定義とおすすめのフレームワーク7選

1.深層学習フレームワークとは

深層学習プログラムを開発する場合、0からコードを書くというのは骨の折れる作業です。そこで、オープンソースかつ無料の深層学習フレームワークを開発に取り入れることで開発期間を短縮や社内リソースの最適化にもつながり、さまざまなメリットを享受することができます。

ここでは、深層学習フレームワークの定義を確認する前に、まず「深層学習」と「フレームワーク」の2つに分け、それぞれの言葉の概要から確認していきます。

深層学習(ディープラーニング)とは

概要

人間と同じような処理ができるように人間の神経細胞の仕組みを模倣したニューラルネットワークを用いた機械学習の手法の1つです。画像認識や音声認識、翻訳など様々な分野で用いられるようになりました。インターネットが普及し、大量なデータを収集することが可能になり、以前よりもはるかに膨大なデータを学習させることができるようになったことから深層学習の精度は非常に高くなりました。また、定型業務の効率化や人材不足への対応、顧客満足度の向上や新たなサービスの展開という観点からさまざまな企業で導入が検討され、開発が進められています。

フレームワークとは

概要

フレームワークを日本語に直訳すると「枠組み」や「骨子」となります。ITの世界や特にシステム開発におけるフレームワークとは、アプリケーションのベースとして機能するソフトウェアのことを指します。また、フレームワークには、ソフトウェアのみならず汎用的に適用できる設計モデルやよく利用される処理パターンなどを含める場合もあります。

フレームワークを活用するメリット

フレームワークをシステム開発やアプリケーション開発に利用するメリットはいくつもあります。まず、フレームワークを使用することで、コードを0から記述する必要がなくなるため、システム開発を効率よくスムーズに進めることができます。また、記述レベルをそろえることができるため、バグなどを減らすことができます。さらに、オープンソースかつ無料で使用できるフレームワークが多くあるのも大きなメリットです。

以上から、深層学習とは機械学習の手法の1つであり、機械学習フレームワークとは

「機械学習を効率よく進めるための土台となるソフトウェアや汎用的に適用できる設計モデル、よく使われる処理パターン」と言えます。つまり、深層学習フレームワークとは、いくつもある機械学習フレームワークのうちの1つであると言えます。

2.7つの深層学習フレームワーク比較

1.TensorFlow

TensorFlowは今最も注目されている深層学習のフレームワークの1つでさまざまな分野で活用が進んでいます。TensorFlowは、MacOS、Ubuntu/Linux、Windowsなどの環境に対応しています。Python、C言語、C++の3つの言語が使用でき、Githubのレポジトリからインストールすることで利用することができます。このフレームワークを使用することで、画像を認識したり、音声を認識したり、アートを生み出したりすることができます。また、TensorFlowは、モバイル機器向けのコードも公開されており、Android、iOS、Raspberry Pなどにおいても利用されています。

2.PyTorch

PyTorchとは、FacebookのAI研究グループにより開発されたPythonのオープンリソース深層学習ライブラリであり、TensorFlowと同様に広く使われている世界中の企業が注目するフレームワークです。その特徴は、Pythonを使用したことがあるエンジニアにとって直感的に操作できる点です。ディープラーニングでしばしば利用されるPythonの機械学習ライブラリである「Numpy」と非常に似ている点が多いからです。また、Pytorchコミュニティは活発であるため、操作方法や実装方法がわからなかった場合に参照できる情報をすぐに入手し、開発をスムーズに進めることができます。さらに、インストールしなくてもAWS・Google Cloud Platform・Microsoft Azureなどのクラウドで運用できる点も魅力的です。

3.Caffe

Caffeとは、画像認識に特化したフレームワークです。オープンソースのライブラリで、C++で実装されています。プログラミング言語はC++、Python、MATLABなどの言語が使用できます。1つ目の特徴として、GPUに対応していて、高速に動作する点があげられます。後ほど紹介するTheanoの約14倍のスピードで処理できます。他にも、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を利用している点や開発コミュニティが活発である点が特徴としてあげられます。

4.Keras

Kerasとは、専門的なプログラミング知識がない初心者でも、短いコードにより実装できるという特徴を持つ、TensorFlowやTheano上で動くニューラルネットワークライブラリです。このライブラリを利用することで、画像を認識したり、文章を自動で生成したりチャットボットを作ったりすることが可能です。学習をさせるためには、AWSやAzureなどの仮想サーバーやGPUを搭載したPCを準備する必要があります。

5.Theano

Theanoとは、カナダのモントリオール大学が中心となって開発したPythonの数値計算ライブラリです。C++/CUDAにPythonのコードをコンパイルすることで高速に動作させることができます。深層学習の黎明期に誕生し、数式の直感的な記述や便利な自動微分という機能が導入されていた点、最新のモデルの実装方法やサンプルコードがまとめられていた点が高く評価され、重宝されていました。しかし、複雑かつ難易度が高く、GPUが単一のみしか使えない点、実装するモデルの大きさに比例してコンパイル時間も長くなる点がデメリットとしてあげられます。

6.Apache MXNet

Apache MXNet は、オープンソースの深層学習フレームワークであり、Apache Foundationによって作られました。このフレームワークの特徴は、柔軟かつ高速でスケーラブルである点です。AmazonやBaidu、Microsoft、ワシントン大学などによって使用されていますが、MXNetのコミュニティによるサポートが限られているため、上で紹介したTensorFlowやPyrorch、Kerasと比べ、人気が劣ります。しかし、C++やPython、Javascript、Java、Julia、R言語、Perlなどさまざまなプログラミング言語がサポートされているため、自身の得意な言語で開発を進めることが可能です。

7.Deeplearning4j

Deeplearning4jは、深層学習のオープンソースのライブラリであり、Javaによって作られました。深層学習のアルゴリズムを広く網羅しているフレームワークです。Scala、Clojure、KotlinなどのJVM言語と互換性があり、ベースがC、C++、Cudaが実装されているため、高速に動作します。Javaは企業で非常によく活用されている言語であるため、Deeplearning4jを導入することで他のシステムとスムーズに連携することが可能です。

まとめ

本記事では、深層学習フレームワークの定義と7つのフレームワークを紹介しました。今回は7つ紹介しましたが、それら以外にもたくさんの種類が存在します。それぞれのフレームワークには、固有の特徴や機能があって、得意不得意があります。そのため、効率的かつ効果的な開発を進めていくためには、それぞれのプロジェクトに合ったフレームワークを選択する必要があります。現在、深層学習や機械学習の自社への活用を検討していて、もっと詳細を知りたい、実際に開発をしていきたいと考えている企業様は、約30年の開発実績があり、ベトナム第2位のIT企業であるCMC Japanにぜひご相談ください。日本語によるコミュニケーションが可能なスタッフが在中しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

>>  専門家による無料コンサルティングのお申し込み