デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?
はじめに
デジタル・トランスフォーメーション(DX)は、IT業界以外の人にとっても注目のテーマであり、あまりにも多く語られているため、口先だけで行動が伴わないバズワードのようになっています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、進化する市場や顧客の期待に応えるために、デジタル技術を用いて既存の伝統的・非デジタル的なビジネスプロセスやサービスを変革し、ビジネスの管理・運営方法や顧客への価値提供方法を根本的に変えていくプロセスを指す言葉です。
テクノロジーの発展に伴い、ビジネスもその流れに沿ってアップデートする必要があります。
DXとは一体何なのか、どのようなメリットをもたらすのか、そして、もしあなたのビジネスがDXへの対応を拒否した場合、どのようなリスクがあるのか。
この記事では、世界を席巻するこのテクノロジーの嵐を乗り越えるために必要なあらゆることを解説いたします。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?
世界最大手の監査法人でコンサルティングファームのデロイト社によれば、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」とは、デジタルエンタープライズ※化することであり、テクノロジーを活用してビジネスモデルのあらゆる側面(何を提供するか、どのように顧客と対話するか、どのように運営するか)を継続的に進化させる組織になることであるとしています。
※デジタルエンタープライズ…顧客や市場の変化がスピードアップする中で、ビジネス戦略とITシステムを迅速かつ柔軟に対応させていく企業のこと。
基本的に、DXの核心は一見テクノロジーのように見えますが、私たちが本当に解決しなければならないのは、どうすればテクノロジーの力を利用してよりスマートに働き、より良い結果をもたらすことができるかということです。そして、その問いに答えるために、イノベーションへの道が開かれるのです。
それ以上に、企業が定期的に現状を打破し、頻繁に実験を行い、失敗を許容するようになるための企業の考え方(大きくはリーダーの考え方)や文化の変化であり、グロースマーケティング※の基本に似ているといえます。そのためには、常に現状に挑戦し、頻繁に実験を行い、失敗を恐れずに行動することが必要です。つまり、DXとは、この変化し続ける世界への適応なのです。
※グロースマーケティング…企業や事業、商材の継続的な成長のために施策を打っていくマーケティング活動。
DXの目的は、エンドユーザーの体験を向上させることです。エンドユーザーとは、企業がサービスを提供しようとしているお客様や、企業の従業員のことを指します。企業が安定したビジネスを維持するためには、社内外からのサポートが必要です。
DXを始めるには、「なぜ」を定義する必要があります。特定の問題を解決するためにDXを導入するのか、あるいは特定の目標を達成するために導入するのか、従業員に目的をどのように説明するのか。
たとえば、米国最大のパッケージコンクリートメーカー「Quikrete社」のCIOだったJay Ferro氏が提案したDXの理由には、顧客体験の向上、摩擦の低減、生産性の向上、収益性の向上などが含まれます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の種類
マサチューセッツ工科大学がリリースしている「MIT Sloan Management Review」では、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要な3つの分野を挙げています。
カスタマー・エクスペリエンス
お客様への理解を深め、テクノロジーを活用してお客様の成長を促進し、お客様のタッチポイント拡大に努めます。
業務プロセス
デジタル化と自動化を活用して社内プロセスを改善し、スタッフにデジタルツールを提供し、データを収集してパフォーマンスを評価し、より戦略的なビジネス上の意思決定を行います。
ビジネスモデル
物理的な商品にデジタルツールやサービスを追加したり、デジタル製品を発売したり、世界規模のシェアードサービスを提供するためにテクノロジーを採用したりすることで、組織を変化させます。
なぜデジタルトランスフォーメーション(DX)が重要なの?
カスタマーエクスペリエンス(顧客体験/CX)の向上や、ビジネスプロセスの最適化が常に優先されるべきであることは誰もが知っていますが、なぜ、突然デジタルトランスフォーメーション(DX)を誰もが口にするようになったのでしょうか。
競争の激化
その理由の一つは、ビジネスの世界が非常に厳しく、競争が企業に大きなストレスを与えていることです。
競争に勝ち残り、業界での競争力を維持するためには、企業はあらゆる面で可能な限りスピーディに改善する必要があります。進化していなければ、遅れをとってしまいます。
2020年5月に発表されたInternational Data Corporation(IDC)のWorldwide Digital Transformation Spending Guideによると、2020年のDXテクノロジーおよびサービスに対する世界の支出は、10.4%上昇して1.3兆ドルになると予想されています。これに対し、2019年の成長率は17.9%でした。
消費者行動の変化
また、消費者の行動も変化しており、特にオフラインからオンラインへの移行が進んでいることも理由の一つです。サプライチェーンの中断、市場の課題、変化の激しい顧客の期待などに迅速に対応する能力が重要になってきているのです。
新型コロナウイルス
最後に、新型コロナウイルスです。企業にテクノロジーの転換点をもたらし、ビジネスを永遠に変えてしまいました。
大手コンサルティング会社である米マッキンゼー・アンド・カンパニー社の調査によると、彼らの会社では、顧客やサプライチェーンとのやりとりや社内業務のデジタル化が3~4年前よりも加速しているといいます。また、ポートフォリオに占めるデジタル製品やデジタル対応製品の割合はすでに7年も前に加速していました。
機関投資家である米バークシャー・ハサウェイ社の会長兼CEOであるウォーレン・バフェット氏も、DXは今日のビジネスにとって基本的な現実であると述べています。
DXは、もはやすべてのビジネスにとって必要不可欠なものとなっています。
デジタライゼーション(デジタル化)、デジタルトランスフォーメーション(DX)の違い
デジタライゼーション(デジタル化)
CRMで世界最大手の米セールスフォース社によると、デジタライゼーション(デジタル化)とは、アナログからデジタルへの移行のことです。
コンピューターが普及すると、ほとんどの企業が紙媒体への記録をコンピューターのデジタルデータに変換するようになりました。このように、情報をアナログからデジタルに変換することをデジタライゼーション(デジタル化)といいます。
また、ITコンサルティングの英ガートナー社によると、デジタライゼーション(デジタル化)とは、デジタル技術を用いてビジネスモデルを変革し、新たな収益や価値を生み出す機会を提供することであり、デジタルビジネスに移行するプロセスであるといいます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、ユーザーエクスペリエンス(ユーザー体験)の向上を目的として、現在のビジネスプロセスを進化させたり、全く新しいビジネスプロセスを構築したりするための、物事の進め方の変更を指します。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現でどんなメリットがあるか?
デジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されている理由の一つは、ようやく企業が自分の居心地の良い場所から出て、デジタルの世界への船出を決意したことにあります。
世界の多くの企業がDXに成功し、時間と努力に見合った成果を得ているからです。これにより、ほかの企業もこのミッションに取り組むことができます。
カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)の向上
フォーブス誌によると、92%のリーダーが、カスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させるための成熟したDX戦略とプロセスを実施していると報告しています。
デジタルツールでお客様をサポートすればお客様にとって楽ですし、潜在的な顧客に対して、あなたの会社の魅力を高めることができます。
しかし、最も重要なのは、ユーザーとのコミュニケーションを保てることです。デジタルの中心にあるのはCXで、DXの大きな目標は最先端のテクノロジーを活用して消費者体験を向上させることです。
DXを導入することで、正しく測定することができ、消費者のインタラクションやインサイトといった貴重な情報を取り入れることができます。以前は、何がうまくいくか、何がうまくいかないかを予測しなければなりませんでしたが、今はデータを確認して重要な決断を下すことができます。
データに基づくインサイトは、関連性があり、リアルタイムで、超個人的なものであり、的を射ているので、私たちの判断はより正確なものになります。
お客様へのサービスが向上すれば、収益性が上がるのは間違いありません。
これまでに、購入しようとしている製品のターゲット広告が表示されたことはありませんか?これはスパイ行為ではなく、テクノロジーの力を示す一例なのです。
ビジネスプロセスの改善
DXを実現するには、リーダーだけの責任ではなく、全員が一丸となって協力する必要があります。このため、会社の従業員が団結する機会となり、ギャップや分裂をなくすこともできます。すべての部門が連携することで、強力な企業文化が形成され、自信を持って移行を成功させることができます。
テクノロジーの進歩のおかげで、かつては解決できなかった多くの問題が、今では課題ではなくなりました。
たとえば、職場のコミュニケーションソフトウェアは、ファイルの送信や情報の交換を容易にし、新型コロナ禍においもリモートワークを可能にしました。多くのレガシーなプロセスは、今では自動化されたワークフローに取って代わられ、その結果、スピードと敏捷性がもたらされ、すべての従業員の労働時間が最適化され、企業はコストを削減しながらも効率性を維持することができるようになりました。
DXを導入することで、あなたの会社はより良く、よりスマートな職場になり、大切な従業員がより長く働き、より仕事に専念できるようになります。
これにより、採用や教育にかかる労力が大幅に削減され、より良いサービスや製品を生み出すためのリソースを確保することができます。
刻々と変化する経済情勢や予期せぬ世界的な大流行など、外部からの試練に耐えるためには、対応力の強化が不可欠です。適応できることは、紛れもなく競争上、優位です。
DX導入時の課題
基幹システムパッケージで世界的なシェアをもつSAPが最近実施した「デジタル・トランスフォーメーション・エグゼクティブ・スタディ」によると、世界の84%の企業が、今後5年間の自社の生き残りのために、DXが重要または不可欠であると感じています。驚くべきことに、全社的なDXを実現している企業はわずか3%に過ぎないといいます。
DXがもたらす明らかなメリットがあるにも関わらず、多くの企業がデジタルを活用していない、あるいは活用できないのには、いくつかの理由があります。
IT人材の不足
54%の企業が、スキル不足がDXの目標達成を妨げていると回答しています。
求人コンサルティングとITアウトソーシングを手がける英Harvey Nash社と、経営コンサルティングなどを手がける英KPMG社の報告書によると、以下のような専門知識が不足していました。
・サイバーセキュリティ
・テクニカル・アーキテクチャー
・エンタープライズ・アーキテクチャ
・高度なデータアナリティクス
DXにおいてテクノロジーは常に優先されるものですが、現在使用されているテクノロジーは、かつて非常に人気のあったテクノロジーとは、かなり異なっています。テクノロジーに適応するだけでなく、本当に必要なのは、新しくアップデートされたテクノロジーに適応することなのです。
この課題を克服するために、多くの企業は社内のITチームを支援するためにITアウトソーシング・パートナーとの協力を検討しています。
なかでも、オフショア開発は、多様なIT専門知識を持つ無限の人材プールへのアクセスを提供するコスト削減ソリューションであることが知られています。
以下の記事では、CMCジャパンが執筆したすべての情報をご紹介しています。
「DXを実現したいが、どこから手をつけていいかわからない」という方は、お問い合わせフォームからご連絡ください。CMC JapanのITエキスパートが、複雑なDX導入のプロセスをご案内いたします。
レガシーシステム
DXにおいて最大の課題は、現在の時代遅れのレガシーシステムへの対応です。
テクノロジーが古くなり、システムが肥大化して複雑になっています。これらはサイロ構造になっており、企業内のデータへのアクセスが妨げられていることが多いのです。このままでは、企業はデータを活用できず、DXを実現することができません。
メンテナンスコストは急増し、技術的負債も増加し、システムを操作するためのトレーニングを受けた人材が不足しているため、セキュリティリスクも高まります。
DXはすでに多くの予算と準備を必要とする長期的なビジョンであり、新型コロナ禍によって収益に大きな影響を受けている中、レガシーシステムの維持費は多くの企業にとってこのお金にまつわる障害をさらに大きくします。
これらを克服するために、企業は事業展開におけるDXの深遠な基盤となる新しいITシステムを必要としています。これは短期間で実現できるものではなく、デジタル戦略が必要です。2025年には20年以上経過した基幹システムが60%に達するといわれており、またIT人材の不足もあって、多くの企業がDXの実現に向けて支援を求めています。レガシーシステムの解決策の一つとして、クラウドへの移行が挙げられます。
クラウドへの移行については、下記の記事もご覧ください。
2025年の崖問題
2025の崖とは?
日本の経済産業省が2018年9月に発表したDXレポートでは、「2025年の崖」とよばれる日本のDXの期限を示しています。
2025年に想定されるシナリオは、日本企業がDX戦略を実行し、過剰に特殊化した古いシステムに対処し、さらにはシステムの停止を決定し、必要なシステムの改修に注力することです。これがうまくいけば、2030年の日本の実質GDPは130兆円以上に向上すると期待されています。しかし、逆にDXを達成できなければ、日本は2025年以降、年間最大12兆円の経済的損失を被る可能性があります。そう考えると、DXは今や経済全体のミッションといえるでしょう。
2025年の崖の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
競争能力を高めたいなら、技術に投稿すべき
経済産業省とみずほ情報総合株式会社の「我が国におけるIT人材の動向」の報告書の「産業別・企業別の研究開発費の比較(産業別)」レポートによると、フェイスブック、アルファベット、アマゾン等の国際的な競争力を有するGAFA企業は、売上高に占める研究開発費用の割合が10%を超えており、日本の大企業と比べて、研究開発費用の割合が高いといいます(図を参照)。
また、前述のHarvey Nash社とKPMG社のレポートによると、デジタルリーダーの35%は、ビジネス戦略を進めるためにデジタルテクノロジーを利用することに非常に長けている、あるいは極めて長けていると回答しています。
・52%がプロジェクトの開始時にセキュリティを組み込んだ。
・4倍の運用効率を実現。
・3倍の顧客満足度を実現
・3.5倍の収益向上を実現します。
・企業データの管理にAIを利用する確率は7倍。
この数字を見て、あなたは興味を持ちましたか?
2025年の「デジタルクリフ」に向けて、何から準備を始めれば良いのかわからないという方は、こちら資料を参考にしてください。
CMC Japanについて
ベトナム第2位のICT企業である当社、CMCグループは、ベトナム政府主導の新型コロナウイルス対策に準拠し、ハノイおよび、ダナン・ホーチミン市の3拠点で、オフショア開発を継続して提供しています。
中長期的なリソース計画や開発コストの最適化をご検討の企業様は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
当社は日本のお客様に「止まらない、持続可能な開発」をベトナムオフショア開発で支援しています。
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本動画では、日本のIT開発プロジェクトと深く関係がある「オフショア開発」の概要とメリットについて、サクッとで解説しています。
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