Webアプリケーション開発に用いられるDart言語とは?JavaScriptとの違い

Dart言語とは、Google社が開発したWebアプリケーション開発に用いられるオブジェクト指向言語です。また、Dart言語は、Google社が開発するWebフレームワークの一つである、Flutterの主要な言語としても使用されています。

本記事では、Dart言語とはどのような開発言語であり、その特徴やJavaScriptとの違い、メリット・デメリットについて詳しくご紹介します。

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目次

1.Dartとは

まず初めに、Dartが誕生した背景やその概要についてご紹介します。

Dart言語とは、Google社が開発したWebアプリケーション開発に用いられるオブジェクト指向言語です。

以前からGoogle社は、Webアプリケーションの開発において、JavaScriptを主力の言語として使用していましたが、JavaScriptにはスケーラビリティやパフォーマンスなどの制限がありました。

そこで、Google社は、高速かつ高いスケーラビリティを兼ね備えた、Webアプリケーションの開発に適した言語であるDart言語の開発を進めました。Google社は2011年にDart言語を発表し、Dart言語をWebアプリケーション開発への使用を推奨しました。

しかし、当時のWebブラウザーでは、Dart言語を実行することができず、Webアプリケーションの開発には制限がありました。そこで、Google社は、Dartコンパイラの開発に取り掛かりました。Dartコンパイラは、Dart言語のコードをJavaScriptに変換することができるため、WebブラウザーでDart言語を実行することができるようになりました。

現在、Dart言語は、Webアプリケーション開発だけでなく、サーバーサイドやモバイルアプリケーションの開発にも使用されています。特に、Dart言語は、クロスプラットフォームのアプリケーションを開発することができるフレームワークであるFlutterで用いられるため、iOS、Android、Webなどの多様なプラットフォームでアプリケーションを開発するための選択肢として注目されています。

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2.Dart言語の特徴

Dartは、学習が容易で、高速かつ効率的なプログラミング言語です。以下に、Dartの特徴をいくつか紹介します。

強い型付け
Dartは静的型付け言語であり、変数の型がコンパイル時に決定されます。これにより、開発プロセスの早期段階でエラーを検出することができるため、時間を節約し、バグを減らすことにつながります。

非同期プログラミング
Dartは非同期プログラミングを組み込みでサポートしており、複数のタスクを同時処理できるコードを書くことが可能です。これにより、他のコードの実行をブロックせずに処理を進めることができます。

ガベージコレクション
Dartにはガベージコレクタが組み込まれており、使用されていないメモリを自動的に解放することができます。これにより、パフォーマンスを改善し、バグを減らすことにつながります。

クラスとオブジェクト
Dartはオブジェクト指向言語であり、クラスとオブジェクトを使用してコードを組織化し、保守性を高めることができます。

オプショナルな型付け
Dartは強く型付けされた言語ですが、オプショナルな型付けもサポートしています。つまり、開発者が動的型付けを使用するかどうかを選択できるため、柔軟性のあるコードを作成することができると言い換えられます。

ミックスイン
Dartはミックスインをサポートしており、継承を使用せずにクラスに機能を追加することができます。これにより、コードの重複を減らし、コードをよりモジュラーにすることができます。

FuturesおよびStreams
Dartは、非同期プログラミングに使用されるFuturesおよびStreamsの組み込みサポートを提供しています。Futuresは、まだ利用できない値を表すために使用され、Streamsは時間経過で到着する可能性がある値のシーケンスを表します。

ライブラリおよびパッケージ
Dartにはいくつかの組み込みライブラリが提供されており、開発者が独自のライブラリを作成して他の人と共有することができます。Dartはまた、パッケージマネージャーであるPubを提供しており、依存関係の管理やコードの再利用を容易にします。

Web開発
DartはWeb開発にも使用することができます。Dartを使用すると、JavaScriptと比較して高速に実行できるWebアプリケーションを簡単に開発することができます。DartはWebフレームワークのAngularDartを提供しており、GoogleのAdWordsやGoogle ShoppingなどのWebアプリケーションの開発に使用されています。

モバイル開発
DartはGoogleが開発したモバイルアプリ開発フレームワークであるFlutterの開発に使用されています。通常Flutterは、iOS、Android、Web、およびデスクトッププラットフォームの開発に使用されており、美しいUIを迅速かつ簡単に構築できます。Dartは、Flutterのホットリロード機能により、変更を即座に反映することができ、開発者の生産性を向上させることができます。

JITコンパイラおよびAOTコンパイル
Dartは、Just-in-Time(JIT)コンパイラとAhead-of-Time(AOT)コンパイラをサポートしています。JITコンパイラは、開発時にコードをコンパイルし、実行時にコードを実行します。一方、AOTコンパイラは、コードを事前にコンパイルし、バイナリ形式で実行可能ファイルを作成します。AOTコンパイルにより、コードの実行速度が向上し、パフォーマンスが向上します。

以上が、Dartの主な特徴です。Dartは、Google社が開発し、同社が後援するため、将来的にはますます重要な言語になる可能性があると考えられます。

3.FlutterにおけるDart言語とは?

Flutterとは、Googleが開発したモバイルアプリケーション開発フレームワークです。Flutterは、Dart言語を使用して構築されているため、Flutterアプリケーションを開発する場合には、Dart言語によってコードを書く必要があります。

Flutterはクロスプラットフォームアプリケーションの開発を容易にするために設計されたフレームワークであり、Dart言語はその目的に合わせて開発されたと言えます。Flutterには、モバイルアプリケーション開発に必要な機能が多数組み込まれており、ウィジェットやレイアウト、アニメーション、ネットワーク処理、データベース処理などをサポートしています。

FlutterはDart言語を採用していることで、コードの可読性や保守性が向上し、また、Dart言語の機能を活用することで開発効率が高まるというメリットがあります。

さらに、Flutterにはホットリロードという機能があり、コードを修正した場合に即座に変更履歴を確認できるため、開発効率が非常に高くなります。また、Dart言語はJITコンパイルとAOTコンパイルの両方をサポートしており、実行速度が速く、メモリ使用量も少ないため、Flutterアプリケーションのパフォーマンス向上につながると言えます。

また、FlutterにはDart言語のライブラリが多数用意されており、これらを使用することで、アプリケーションの開発効率を向上させることができます。Flutterには、Material DesignやCupertinoのUIデザインに対応したウィジェットが含まれており、これらをDart言語で使用することで、美しいUIを簡単に作成することができます。

Dart言語とFlutterは、両方ともオープンソースのプロジェクトであり、多数のコミュニティメンバーが参加しています。これにより、ユーザーがより良いアプリケーションを開発するためのドキュメント、チュートリアル、サンプルコード、ツールなどが提供されています。

まとめると、FlutterとDart言語の関係性は非常に密接で、Dart言語の特性を活用することでFlutterアプリケーションの開発効率やパフォーマンスを向上させることができると言えます。

4.DartとJavaScript の違い

Dart言語とJavaScriptの違いは多岐にわたりますが、主な違いは以下の通りです。

型付け
Dartは静的型付け言語であり、JavaScriptは動的型付け言語であることが最大の違いです。静的型付けは、変数の型を事前に宣言し、型が一致しない場合はエラーを返します。一方、動的型付けは、変数の型を宣言する必要がなく、実行時に変数の型が決定されます。

パフォーマンス
Dartは、JavaScriptよりも高速に実行されます。Dart言語がJIT(Just-in-Time)コンパイラとAOT(Ahead-of-Time)コンパイラの両方をサポートしており、パフォーマンスが最適化されているからです。一方、JavaScriptは、JITコンパイラによってコンパイルされますが、パフォーマンスはDartに比べて劣ります。

スコープ
Dartは、ブロックスコープを使用します。つまり、変数は宣言されたブロック内でのみ有効であり、外部のブロックからアクセスすることはできません。一方、JavaScriptは、関数スコープを使用します。つまり、変数は宣言された関数内でのみ有効であり、外部の関数からアクセスすることはできません。

クラス
Dartは、クラスベースのオブジェクト指向言語であり、JavaScriptはプロトタイプベースのオブジェクト指向言語であるという違いがあります。DartのクラスはJavaやC++などの伝統的なオブジェクト指向言語に似ていますが、JavaScriptのプロトタイプは、オブジェクトがどのように構成されるかを指定するための構築子として機能します。

ライブラリ
Dartは、いくつかの組み込みライブラリを提供していますが、JavaScriptは組み込みライブラリが少なく、多くの場合はサードパーティのライブラリを使用する必要があります。

非同期処
Dartは、async/await構文を使用して非同期処理を実現することができます。一方、JavaScriptは、コールバックやPromiseなどの非同期処理の手法を使用しています。

コンパイル
上述した通り、DartはJITコンパイラとAOTコンパイラの両方をサポートしています。JITコンパイラは、実行前にコードをコンパイルし、コードを実行する前に変換されたコードをキャッシュします。一方、AOTコンパイラは、事前にコンパイルされたコードを使用してアプリケーションを実行するため、最初の起動が高速になります。一方、JavaScriptは、通常、ブラウザで動作するために、実行前にコードをコンパイルする必要がありません。

5.Dartのユースケース

Dart言語は、Flutterアプリケーション以外にも様々な分野における開発に向いています。以下に、Dart言語が向いている開発の具体的なケースをいくつか紹介します。

Flutterアプリケーションの開発

Flutterは、Google社が開発したクロスプラットフォームのモバイルアプリケーション開発フレームワークであり、Dart言語を使用しています。Flutterは、美しいUIを簡単に構築でき、高速でスムーズなアプリケーションを開発できるため、Dart言語を使用したモバイルアプリケーションの開発に最適です。

Webアプリケーションの開発

Dartは、WebフレームワークのAngularDartやAqueductを使用して、Webアプリケーションを開発することができます。これらのフレームワークは、強力なテンプレートエンジン、コンポーネント指向アーキテクチャ、サーバーサイドレンダリングなどの機能を提供し、高速で安全性の高いWebアプリケーションの開発に向いています。

ゲーム開発

Dartは、ゲームエンジンのFlameを使用して、2Dゲームの開発にも適しています。Flameは、高速で使いやすいAPIを提供し、Dart言語の特性を最大限に生かしたゲームの開発が可能です。

コマンドラインツールの開発

Dartは、コマンドラインツールの開発にも適しています。DartのパッケージマネージャーであるPubは、コマンドラインツールの作成に役立ちます。また、Dartには、標準ライブラリとしてコマンドライン引数の処理やファイル入出力などの機能が備わっているため、簡単にコマンドラインツールを開発することができます。

以上が、Dart言語が向いている開発のいくつかの例です。Dart言語は、クロスプラットフォームの開発に向いているため、複数のプラットフォームでアプリケーションを開発する必要がある場合にも適しています。

6.Dart言語を開発に用いるメリット・デメリット

メリット

Dartには、他のプログラミング言語に比べて次のような利点があります。

高性能
上述したように、Dart言語は、JITコンパイラとAOTコンパイラを使用してコンパイルされるため、高速で効率的なアプリケーションを開発することができます。

クロスプラットフォーム対応
Dart言語は、Flutterフレームワークを使用することで、iOS、Android、Webなど複数のプラットフォーム上で動作するクロスプラットフォームアプリケーションを開発することができます。

静的型付け言語
Dart言語は、静的型付け言語であり、コンパイル時にエラーを検出することができます。これにより、デバッグの効率が向上し、品質の高いコードを開発することができます。

学習が容易
Dart言語は、JavaScriptやJava、C#などの言語と似た文法を持っているため、これらの言語を使用したことがある人にとっては、比較的学習しやすいと感じられるかもしれません。

豊富なパッケージマネージャー
Dart言語には、Pubというパッケージマネージャー(パッケージ管理システム)があり、多数のライブラリやフレームワークが提供されています。これにより、効率的な開発が可能になります。

デメリット

全ての開発言語がメリットとデメリットの両方を持ち合わせているように、Dartにも以下のような欠点があります。

JavaScriptとの競合
Webアプリケーションの開発においては、まだまだJavaScriptが主流であるため、Dart言語を使用する場合には、既存のJavaScriptライブラリやフレームワークとの競合が生じることがあります。

小規模な開発者コミュニティ
Dart言語は、まだ比較的新しい言語であり、開発者コミュニティが小規模であるというデメリットが挙げられます。そのため、開発者が抱える問題に対するサポートが不十分な場合があります。しかし、Dart言語の需要が増加すれば、長期的には大した問題とはならないでしょう。

開発者が比較的少ない
Dart言語は、比較的新しい言語であるため、JavaScriptなどの言語と比べ、扱えるエンジニアがまだ少ないかもしれません。また、開発者が既存の言語に慣れ親しんでいる場合には、Dart言語の学習コストが高くなる可能性があります。

開発環境の整備
Dart言語は、その歴史の浅さから開発環境の整備が不十分な場合があります。開発者が自分の環境に合わせたカスタマイズを行う必要がある場合があるため、手間がかかることがあり、1つのハードルであると言えます。

限定的なフレームワーク
Dart言語を使用する場合には、Flutterフレームワークが主流であるため、他のフレームワークを選択することができません。そのため、プロジェクトに適したフレームワークを選択できない場合があります。

以上が、Dart言語を使用するメリットとデメリットです。これらの点を理解したうえで、プロジェクトの要件や開発環境に応じて、Dartを使用するかどうかを検討する必要があります。

まとめ

Dartは、学習しやすく、高速で、効率的であるように設計された比較的新しいプログラミング言語です。Web開発、モバイルアプリ開発、サーバーサイド開発など、幅広いアプリケーションに使用されています。その強い型付け、非同期プログラミングの組み込みサポート、および汎用性により、開発者にとって人気のある選択肢となっています。さらに、Flutterの主要言語として使用されることで、近年その人気が高まっており、将来性のある言語です。

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