ITシステム保守とは?運用をサポートする不可欠な活動
目次
はじめに
ITシステムは、どの企業にとっても成長のために必要なプラットフォームです。
ITシステムの効果次第では、業務にレバレッジをかけ、企業に競争力を与え、企業を発展することができます。
将来にわたって継続的に価値を提供するためには、どんなシステムもアップグレードやメンテナンスが必要になります。
この記事では、システム保守を成功させるために必要な基本的知識をご紹介いたします。
ITにおけるシステムとは?
システムとは、大まかにいえば、共通の目的を達成するために連携する要素(またはサブシステム)がうまく組織された集合体のことです。
1つのシステムは、複数の小さなシステムやサブシステムで構成されていることが多いです。システムには、方法も種類もさまざまな「入力」が行われ、それが多数のプロセスを経て特定の出力を生み出します。さらに、それらを組み合わせることで、システム全体の目的を達成します。
たとえば、組織をシステムと捉えると、製品、サービス、グループ、個人だけでなく、さまざまな管理・運営業務から構成されています。そのため、システム(組織)の一部分が変化すれば、全体の性質も変化するのです。
ITシステムとは、組織が1つまたは複数の機能目標を達成するために役立つ、コンピューティングまたは通信要素、およびそのほかのリソースの集合体です。データの収集、保存、操作、表示、輸送、または操作手順の指導や監視に使用されるあらゆるIT要素と、それに付随するマニュアル手順や物理的設備を、ITシステムリソースとよびます。
情報技術システムは、1台以上のコンピュータと、それに付随するあらゆる規模の資源で構成されます。システムを構成する資源は、物理的に接続されている必要はありません。
ITシステム保守とは?
システム保守とは、既存のシステムを監視し、見直し、必要不可欠または望ましい改善を行うプロセスのことです。
具体的にいうと、IT システム保守には以下のようないくつかの作業を含みます。
・業務上の必要性に応じてシステムの可用性を高める:これには、システムが内蔵する信頼性と保守性、および利用可能なリソースを考慮する必要があります。
・適切な保守計画により、システムの運用能力を維持する:そのためには、故障を回避するための予防保全や、修正保全までの期間を長くしてシステムの稼働率を高めるなど、信頼性重視の保全戦略が必要です。
・有限な技術者資源と保守・修理時間を最大限に活用する:承認された保守下請け業者への非重要タスクのアウトソーシングが可能なように保守活動を区分します。
・情報技術を活用した保守管理:分析および計画立案を支援するために、運用および保守の活動を体系的に文書化し、追跡することを含みます。
多くの保守担当者は、ほかのユーザーにできるだけ影響を与えない時間帯に、必要なシステムの保守を行う「定期保守」を好みます。
なぜシステム保守が重要なのか?
システム保守の目的は、システムのサービス提供能力を損なわないようにすることです。そのために、システムのサービス提供能力を追跡し、問題を記録して後で検討し、修正、適応、完全、予防措置を実施し、能力が回復したことを確認します。
ITシステムを定期的に保守することで、よりスムーズに動作させ、故障の危険性を減らすことができます。ITシステムのメンテナンスが行き届いていれば、従業員やビジネスが技術的な障害によって妨げられることはなく、結果的にサポート費用を削減できるのです。
基本的な保守は、サーバーやシステムの寿命を延ばし、ダウンタイムや効果率の低下の可能性を削減するのに役立ちます。
システム保守は、プログラムや設計の欠陥を取り除き、文書やテストデータを更新し、ユーザー補助をアップグレードするといった継続的なプロセスなのです。
ITシステム保守の種類
ITシステム保守には、「修正型」「適応型」「完全型」「予防型」「予測型」の5種類があります。
修正保守
修正保守とは、故障したシステムを修理して正常な状態に戻すことです。
そのため、補修には初期費用がかからず、ほかのプロアクティブな保守手法に比べると、はるかに少ない計画を立てるだけで済みます。
修正保守は、優れたメンテナンス戦略にとって不可欠な要素ですが、短期的なものです。
ITシステムの保守をすべて修正保守に依存することは、長期的に持続可能ではありません。
どんなシステムでも故障する可能性があるため、ほとんどの組織において修正保守が必要になります。
適応保守
適応保守とは、システムのほかの部分で発生した変更によって影響を受けた部分の変更を実施することです。
また、環境の変化に対してシステムを適応させることも指します。ここでいう環境とは、システムに(外部から)作用する条件や影響のことです。
たとえば、ビジネスルール、ワークパターン、政府の政策などは、システムに大きな影響を与えます。
適応保守は、情報システムがユーザーの情報ニーズに対応できるよう、プログラムの機能を修正するものです。
以下のような組織の変化によって適応保守が必要になることもあります。
・組織的な手続きの変更
・組織の目的、目標、方針の変更
・経営情報を変える必要がある
・システム制御やセキュリティ要件の変更
完全保守
完全保守とは、既存の製品の機能を微調整したり、削除したり、新しい機能を追加したりすることです。製品の機能だけではなく、外観を変えることもあります。
またシステムの性能を向上させるために、新しいプログラムを設定したり、既存のプログラムを更新したりすることでもあります。
完全保守は、組織内外の変化に伴って発生するユーザーの追加的なニーズに対応するために行われます。外部の変化とは、基本的に環境要因であり、システム保守を行わなければ情報システムの効果がなくなり、非効率になる可能性があるためです。
予防保守
予防保守とは、使用状況や時間的な原因に応じて定期的に実施し、機器の故障リスクを低減させる保守のことです。
予防保守は、機器の故障を少なくするために定期的に行われるもので、システムが稼動している間に実施します。予防保守によって、修理回数を減らし、ダウンタイムを最小限に抑え、動作低下の原因となる弱点を特定することができます。
メモリの解放、ハードディスクの空き容量、バックアップコピーの作成、コンピュータシステムのウイルススキャンの実行などは、予防保守業務の一例です。
予測保守
予測保守とは、プロアクティブな保守とは異なり、保守が必要なシステムが故障しそうなときだけシャットダウンすることを指します。機器やプロセスの動作の異常や潜在的な問題をデータ解析により検知し、故障する前にアプローチする手段です。複数のサービス分野の履歴データとリアルタイムデータを組み合わせることで、問題を予測します。
予測保守により、システムの保守に費やす時間とコストを削減することができます。
システムを保守する理想的なタイミングを把握することを目的に実施されるため、追加コストをかけずに、高い信頼性と低いメンテナンス頻度を実現できます。
ITシステム保守の注意ポイント
ITシステム保守を行う際に注意すべきポイントは、以下の4点です。
ハードウェアの保守
ハードウェアは、さまざまな状況下で頻繁に破損します。
そのため、すべての物理要因が正常に動作していることを確認するために、ハードウェアの保守を行います。これにより、破損の発生を未然に防ぎ、問題が発生した場合には解決します。
ソフトウェア保守
セキュリティ・システムを最新の状態に保たなければ、システムを危険にさらすことになります。
プログラムの更新はパッチともよばれ、通常、プロバイダーから定期的に配布され、ソフトウェアを最新の状態に保つことができます。
ソフトウェアのアップデートの大部分は、インターネットを通じてダウンロードすることができるため、ソフトウェア保守が容易に行えます。
データメンテナンス
顧客情報などの重要なデータの損失は、企業にとって致命的です。
このため、企業のデータを保守することは、最重要目標の一つでしょう。
サイバーセキュリティ
ウイルス、悪意のある攻撃者、スパイウェアは、いずれも企業のデータにとって大きなリスクとなり得ます。
大切な情報を危険から守るため、セキュリティに不安がある場合は、十分な安全策を講じることをおすすめします。
まとめ
ITシステム保守は避けては通れません。
保守を雑用と考えるのではなく、業務やビジネスの最新技術を実行・導入するための手段と捉えることで、企業のマインドセットを適切にチューニングすることができます。
技術の進歩は早く、変化し続けるため、企業は従業員一人ひとりに学ばせ、適応させなければならない局面に立たされることがあります。しかし、テクノロジーとDXの将来性が価値あるものであることを忘れてはなりません。困難に負けず、保守を進めるべきです。
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