概念実証とは
Facebook
Twitter
LinkedIn

「PoC(概念実証)」とは?ITプロジェクトの可能性を検証する手法

目次

はじめに

アイデアを出すのは楽しいことですが、想像だけではなく、実際に目で見て確認する必要があります。

「PoC(Proof of Concept|概念実証)」とは、そのアイデアが実際に使用できる可能性を示すものです。まだそのビジョンを実現することが目的ではなく、その実行可能性を示すことが目的です。PoC(概念実証)を活用することで、意思決定者がアイデアの可能性を検討する際に、企業が製品をリリースした後の全体像や状況を垣間見ることがでます。

本コラムでは、PoC(概念実証)の概要や必要性、具体的な手順、活用シーンなど、PoC(概念実証)について理解を深め、実践するために知っておきたいことをまとめて解説いたします。

PoC(概念実証)とは?

PoC(概念実証)とは、あるプロジェクトや製品が実現可能であり、そのサポートや開発に必要な費用を正当化するのに十分な価値があることを証明する証拠を集めるプロセスを意味します。

PoC(概念実証)では、理想的な製品やサービスがどのようにして市場に登場するのか、どのように機能するのか、そもそも必要なのか、誰がターゲットなのかなどを説明します。企業がサンプルや最終版を作成し、広く導入や販売に向けてリリースする前の小規模な前提条件として機能します。

PoC(概念実証)はさまざまな業界で使われていますが、ソフトウェア開発では特定の手順を示す言葉として最もよく使われています。ソフトウェアが現実世界で生産できるかどうか、開発にどのような技術を採用すべきか、プログラムがユーザーに引き受けられるかどうかを確立するための手法です。

PoC(概念実証)、プロトタイプ(試作品)、MVP(実用最小限製品)の違い

  • 「PoC(概念実証)」
  • 「プロトタイプ(試作品)」
  • 「MVP(実用最小限製品)」

これらに共通する最も重要なことは、最終製品ではないということです。また、製品開発においてさまざまな段階で使用されます。

以下で、それぞれの特徴をご紹介いたします。

PoC(概念実証)= Proof-of-concept

開発者は、ソフトウェア開発において特定の前提条件(通常は技術的なもの)をテストし、コンセプトが実行可能かどうかを確認するために、PoC(概念実証)を使用します。

PoC(概念実証)とは、システム全体を実装することではなく、その一部を実装することです。社内では、コンセプトが実現可能かどうかを確認し、最適なルートを検討するために活用されます。また、スタートアップの資金調達のために、資金面での実現可能性を示すためにも利用されます。

PoC(概念実証)は通常、スタートアップ企業や組織が、すべての関係者にソリューションの価値を説得するために使用します。

PoC(概念実証)の目的は、実装がうまくいくかどうかを確認することです。

また、後の開発段階での潜在的な失敗を減らすのにも役立ちます。

プロトタイプ(試作品)

PoC(概念実証)はアイデアが実現可能かどうかを示すもので、プロトタイプ(試作品)はそれを「どのように」開発するかにフォーカスしたものです。

特に、プロトタイプ(試作品)を可視化する「プロダクト・ビジュアライゼーション(product visualization)」は試作品の強みで、完成した製品がどのように見えるかを具現化できます。これは、ラフ案や実用的なモデルを作る最初のステップに似ています。

プロトタイプ(試作品)の主な利点は、欠陥がないかどうかを迅速にテストできることです。また、市場に投入しなくても、潜在的なユーザーから意見を得ることができます。

テストのフィードバックに基づいて、既存の試作品に修正を加えたり、新バージョンをリリースしたり、新しい試作品を作成したりすることで、本番開発における修正よりもコストをかけずに済みます。

実用最小限製品(Minimum Viable Product)

「実用最小限製品(Minimum Viable Product/MVP)」とは、顧客のニーズを満たせる最小限の製品のことで、完全に機能します。

MVPの目的はシンプルで最も重要な機能を確立することが中心であるため、この手法は特に起業家に人気があります。プロトタイプとは違ってバグがなく、すぐに発売できるため、市場での競争力もあります。たとえば、アプリを開発する際、最初に展開する時には多くの機能を持たせるのではなく、製品の基本的な価値を提供することに集中します。

MVPを使用することで、製品のターゲットとなる消費者がアプリの主要なビジネス目的に対してどのように関わり、反応するのかを発見することができます。そして、実際のユーザーから得られた洞察や学びを利用して、ビジネス全体の目的に最も合致する分野に時間、労力、現金を向けることができます。このことから、MVPの構築は反復的なプロセスであるともいえます。

どうしてPoC(概念実証)が必要なのか?

どうしてPoC(概念実証)が必要なのでしょうか?

PoC(概念実証)には、次の3つの目的があります。

潜在的な危険性や障害物を特定する

PoC(概念実証)を行うことで、プロジェクトチームは提案された製品を実現するための潜在的なリスクや障害を特定することができます。

チームは、製品の発売後、あるいは発売前に課題を発見するのではなく、開発段階にあるうちに課題を予測し、プロジェクトを適切に準備します。

PoC(概念実証)は、プロジェクトマネジメントの基礎をスムーズに導入することを保証するものではありませんが、製品の成功確率を高めることはできます。

スケーラビリティの可能性を見極める

PoC(概念実証)は、コンセプトの実現性だけでなく、すぐにでも、あるいは時間をかけてでも、その拡張性をテストできます。

経営者や関係者は、システムアーキテクチャ、人的資源、ワークフローの標準化などの観点から、スケールアップして量産する方法をPoC(概念実証)で確認できます。

このようにして、PoC(概念実証)を活用することで企業はより多くの生産物を扱うことができるかどうかを判断しやすくなります。提案段階でも、プロジェクトマネージャーがスコープクリープに対処する際に、PoC(概念実証)が役立ちます。

※スコープクリープ…プロジェクトが当初の見積りを超えて肥大化すること。

投資の前に証明する

PoC(概念実証)は、プロジェクトチームがアイデアの有用性と収益性を実証するためのものです。

PoC(概念実証)を活用することで、ビジネス関係者に対して、製品のアイデアを写真やビジュアルを使って詳しく説明することができ、また、提案された製品が会社の業務、ブランドイメージ、顧客関係にもたらすメリットを明確に説明できます。

プロジェクトマネージャーは、そのアイデアを開発するために必要なリソースを割くように会社を説得することができます。

PoC(概念実証)はまた、利害関係者が勝敗分析やコストベネフィット分析によってコンセプトを評価する際にも活用できます。

どのような場合にPoC(概念実証)を使用するのか?

PoC(概念実証)は、ブルーオーシャン戦略に取り組んでいる場合、つまり、市場に類似製品がなく、尊敬すべきライバルもいない場合に有効な手段です。

理由はさまざまですが、多くの起業家が失敗するのは、自分が想像した商品が技術的に不可能だからです。それを避けるためにできることは、ソフトウェア開発のプロセスをPoC(概念実証)から始めることです。

一方、上記のようなシナリオは、確立されたビジネスアイデアを次の段階に進めることが当たり前のIT分野では少ないです。競合他社は、あるアプリケーションの実用性をすでに証明しており、あなたがすべきことは、彼らの失敗から学べます。

しかし、競合他社を凌駕するためには、優れた新機能が必要です。そのためには、競争の激しいソフトウェアの世界をどのようにして抜群になるか、データに基づいたインサイトを得るPoC(概念実証)が必要です。

PoC(概念実証)の実行手順

PoC(概念実証)は、次の4つのステップで実施します。

ステップ1:商品のニーズを把握する

プロジェクトチームは、ターゲット市場と課題を特定し、製品の要件を確立する必要があります。

このステップでは、お客様からの正確で確認された回答が必要です。こうした回答は、プロジェクトチームが代表的な顧客サンプルにインタビューすることで得られます。お客様の不満や、困ったことを解決するために何をして欲しいのか、どのようなユーザーエクスペリエンスを求めているのかなどを聞き出しましょう。

これにより、プロジェクトチームは、お客様の気持ちや視点を十分に理解し、プロジェクトの目的や目標を明確にすることができます。

ステップ2:適切なソリューションを考える

プロジェクトチームは、集められた回答をもとに、最適な解決策を求めてブレインストーミングを始めます。その際、企業の能力の範囲内で実行可能なものでなければならないことも念頭に置いてください。

チームでは、それぞれの創造的な選択肢を、予想される価格、タイムライン、必要な技術、必要な運用能力、競合、リソースなどの観点から評価する必要があります。もしくは、テーブルの上のアイデアの数を最も実行可能なものに減らし、提案された製品を完成させることもできます。

また、ソリューションが、組織や利害関係者の目的達成にどのように役立つかについても議論する必要もあります。

ステップ3:プロトタイプを作成し、テストを開始する

次の段階では、あなたのソリューションを基本的な製品に要約してプロトタイプを構築し、先にインタビューした人々と一緒にテストします。想定される機能セットとUI/UXは、このプロトタイプで実現する必要があります。

プロトタイプの作成が完了したら、インタビューでテストを行い、より多くのフィードバックを得ましょう。製品をどのように使用しているかを記録し、直感的なインターフェイスになっているか、重要な機能を見逃していないかを確認します。

このような潜在的な顧客からのフィードバックを利用し、製品コンセプトを改善します。PoC(概念実証)に対する消費者の反応や経験に基づいて、ソリューションの効果と改善点を特定します。

ステップ4:コンセプトの最終確認

最後に、製品の機能性、特徴、利点などをまとめた完成度の高いPoC(概念実証)の提案書を作成しましょう。

提案書には、スケジュール、コスト、成功基準、必要なリソースなどの詳細をすべて記載します。

これで、PoC(概念実証)が達成された後、ビジネス関係者は製品の開発を承認することができます。

PoC(概念実証)を成功させるための5つのポイント

フォーブズ誌は、著名なリーダーたちによる概念実証実行を成功させるためのヒントを紹介しています。

これらは、日本のICT市場に関する当社の知見に基づく、最も重要なトップ5です。

必要不可欠な範囲にこだわる

PoC(概念実証)以降の投資効果を実証するために必要な要素のみに範囲を限定する必要があります。

さらに、PoC(概念実証)の段階では実証が難しい高度な技術的ソリューションを提供するのではなく、ユーザーエクスペリエンスを強調し、それがどのようなものであるかをストーリーとして説明する必要があります。

目的に合わせて範囲を絞る

PoC(概念実証)の目的を理解することは非常に重要です。

未知の問題のリスクを軽減することなのか、技術的な選択を検証することなのか、それともビジネス関係者に価値を示すことなのか。

範囲を限定することで、次のフェーズに進む前に、迅速に反復して意図した結果に到達することができます。

徹底したリサーチ

効果的なPoC(概念実証)のためには、徹底したリサーチを行うことが重要です。

最初のステップは外部の市場調査で、顧客の痛みや課題を特定するのに重要です。

次に、社内でベータテストが可能なアイデアのブレインストーミングを開始します。この方法は、フィードバックを集め、結果を測定し、繰り返し改善するための有益なリサーチ方法であることが証明されています。

単純化

複雑なものを単純化することが重要です。

コンセプトの証明は、特に技術的な専門家が書いた場合、書きにくいことで知られています。物事がどのように機能するかを、わかりやすく詳細に示すことが重要です。

さらに、PoC(概念実証)のコードは、実行可能で複雑なものであることを確認するために、第三者に公開またはレビューしてもらう必要があります。

聞き手の立場を理解して考える

PoC(概念実証)を作成する際のアドバイスとして、聞き手の立場に立って書くことが挙げられます。

完成したらどうなるかを語る際に、あまりにも先走りすぎて、関係者の現実や、必要であれば、近い将来の目標に関連づけるチャンスを逃さないようにしましょう。

書き手が現在の状況を理解できないと、しばしば不評を買ってしまうことがあります。

関連産業でのPoC(概念実証)

ソフトウェア開発におけるPoC(概念実証)

ソフトウェア開発におけるPoC(概念実証)とは、参加者の目的や役割が異なるさまざまな手順を指します。また、あるシステムが要件を満たしているかどうかを、ユーザーがビジネス上の役割を果たしながら判断する部分的なソリューションもPoC(概念実証)とよばれます。

PoC(概念実証)の全体的な目標は、システムをどのように接続するか、特定のセットアップでどれだけのスループットを達成できるかなど、技術的な困難を解決することです。

ビジネス開発におけるPoC(概念実証)

PoC(概念実証)は、スタートアップ企業が、ある製品がビジネス分野で資金的に実現可能であることを示す方法であり、関係者に送付されます。

PoC(概念実証)には相当な調査と検討を必要とし、これには、収益モデルの分析が含まれます。この分析では、組織は、製品およびサービスからの予測収益に加えて、開発費、長期的な財務予測、サービスの維持およびマーケティングのコストを明らかにします。

サイバーセキュリティにおけるPoC(概念実証)

ほかの業界とは対照的に、サイバーセキュリティにおけるPoC(概念実証)は、ソリューションが機能していることを意味するものではありません。むしろその正反対で、ソリューションがうまくいかないことを証明するものです。

サイバーセキュリティにおけるPoC(概念実証)では、システムが安全でないことを実証するために攻撃を行います。これらの攻撃はホワイトハットハッカーやサイバーセキュリティの専門家によって、ソフトウェアやハードウェアの欠陥を明らかにするために頻繁に行われています。

まとめ

PoC(概念実証)は、あるアイデアが実用的であり、ターゲット市場にとって魅力的であるかどうか、また企業にとって実現可能であるかどうかを判断するためのものです。

プロジェクトチームは、PoC(概念実証)を利用して、提案された製品の予想される成分や機能性を調査することができます。企業はこれらの事実をもとに、新しく作られたソリューションが広く受け入れられるための準備ができているかどうかを評価し、コンセプトを承認し、その実行に投資するかどうかを決定することができます。

PoC(概念実証)は万能のソリューションではありませんが、PoC(概念実証)をいつ、どのように実行するかを知っていれば、予測可能な失敗からビジネスベンチャーを守ることができます。

PoCをオフショア開発で行うことのメリット

上記で紹介したPoC(概念実証)を実施していくためには、プロダクトのアイデアや要件はもちろんのこと、開発エンジニアやある程度の予算が必要となります。

実現性が不確かな状況である程度のボリュームの予算をかけることに不安を感じる企業も少なくないでしょう。そういった場合に、低コストで柔軟なエンジニアリソースを確保できるオフショア開発が活用されることがあります。

当社でも多くのPoC(概念実証)関連のプロジェクトを対応しました。多くの事例で日本国内で発注したときよりも20~50%のコストを抑えたまま、PoC(概念実証)を実施することができました。

オフショア開発について、よくご存知ない方は下記の「【お役立ち資料】ベトナムオフショア開発入門書」をぜひ参考にしてみてください。

CMC Japanについて

ベトナム第2位のICT企業である当社、CMCグループは、ベトナム政府主導の新型コロナウイルス対策に準拠し、ハノイおよび、ダナン・ホーチミン市の3拠点で、オフショア開発を継続して提供しています。

中長期的なリソース計画や開発コストの最適化をご検討の企業様は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

当社は日本のお客様に「止まらない、持続可能な開発」をベトナムオフショア開発で支援しています。

【ブログ】アジャイルとは?開発をはじめ、ビジネス全体に活用できるアジャイルについて解説します

この記事では、アジャイルとは何か、ソフトウェア開発にどのような影響を与えるのかなどを解説します。

【ブログ】「開発モデル」とは?開発モデルの種類とそれぞれのメリット・デメリットについて比較!

この記事では、いくつかのソフトウェア開発モデルにの種類や概要、メリット・デメリットを比較しながら、解説します。

【動画】【2022年版】2分でわかる!オフショア開発とは?

本動画では、日本のIT開発プロジェクトと深く関係がある「オフショア開発」の概要とメリットについて、サクッとで解説しています。

【お役立ち資料】 ベトナムオフショア開発入門書
資料ダウンロード

資料は下記のフォームを送信して頂くと完了画面またはメールにてダウン口一ドできます

Previous
Next

アフター/ウイズコロナの開発リソース支援なら、CMC Japan

Facebook
Twitter
LinkedIn
この記事を書いた人
この記事を書いた人

Hien(ヒエン)
ベトナムハノイ貿易大学のビジネス日本語学部卒。2018年に東京でインターンシップ、その後4年間マーケティング業務に従事。「マーケティングで、社会を変える奇跡を作る」ことを目標に、2020年からはB2B市場を中心に活動。趣味は自己改善、読書、座禅。

出典:

Designli「ソフトウェア開発を成功させるための概念実証の5つのステップ」– https://designli.co/blog/5-steps-proof-concept-successful-software-development/(アクセス日時:2021年11月23日14時17分)

The Blueprint – A Motley Fool Service「概念実証の完全ガイド」– https://www.fool.com/the-blueprint/proof-of-concept/(アクセス日時:2021年11月23日14時23分)

Keytotech「概念実証、試作品 、実用最小限の製品の使い分け」– https://keytotech.com/2020/05/15/poc-prototype-mvp-difference/(アクセス日時:2021年11月34日14時23分)

Merix Studio「概念実証とは、そしてどのような場合に必要なのか」– https://www.merixstudio.com/blog/proof-of-concept/アクセス日時:2021年11月34日14時44分)

Formlabs「概念実証:製品アイデアの有効性を検証する方法」– https://formlabs.com/blog/proof-of-concept-poc/アクセス日時:2021年11月34日14時56分)

Forbes「概念実証を成功させるための12のおすすめ」– https://www.forbes.com/sites/forbestechcouncil/2021/05/03/12-expert-tips-for-developing-a-successful-proof-of-concept/?sh=4a94052dcb51アクセス日時:2021年11月34日14時56分)

Techopedia「概念実証」– https://www.techopedia.com/definition/4066/proof-of-concept-pocアクセス日時:2021年11月34日15時05分)

Techjury「2021年に必要な「概念実証」とは?」– https://techjury.net/blog/what-is-proof-of-concept/#grefアクセス日時:2021年11月34日15時13分)

Net Solutions「2021年に成功する概念実証(PoC)を開発するための3つのアドバイス」– https://www.netsolutions.com/insights/proof-of-concept-poc/アクセス日時:2021年11月34日15時27分)