ステージング環境

システム開発におけるステージング環境とは|構築する手順やツールも紹介

ステージング環境とは、本番環境と同じ環境でシステムやソフトウェアの最終テストが行われる開発環境のことを指します。このフェーズにより、リリース後にシステムやソフトウェアに予期しないバグやエラーが発生しないことを確認します。本記事では、ステージング環境の概要や構築方法、構築に用いられる便利ツール5選についてご紹介します。

目次

1.ステージング環境とは?

まず初めに、ステージング環境の概要についてご紹介します。

ステージング環境とは、システムやソフトウェア開発において、本番環境に近い環境を模擬的に構築したものです。つまり、実際の本番環境と同じ構成や設定、データを持った環境を開発者やテスターが利用して、システムやソフトウェアのテストや検証を行うために使われます。

ステージング環境は、本番環境と同じ環境でテストや検証を行うことができるため、問題が発生した場合に、本番環境で同じ問題が発生することを防ぐことができます。また、ステージング環境を使用することで、新しい機能のテストや、バグ修正後の動作確認、パフォーマンステストなどを行うことができます。

ステージング環境は、開発者やテスターがアプリケーションやシステムの挙動を確認し、不具合を発見して修正することができるため、品質保証やリリースの安全性につながります。ステージング環境を構築することは、システムやソフトウェアの開発において非常に重要な役割を果たします。

2.ステージング環境の役割とは?

概要の部分でも少し触れましたが、ここではシステム、ソフトウェア開発におけるステージング環境の役割や重要性についてもう少し深く説明します。

ステージング環境には、以下のような役割があります。

検証の信頼性を高める
通常、ステージング環境は、本番環境と同じ設定や構成を持っているため、テストや検証の信頼性が高まります。不具合を発見することで、システムの品質向上につなげることができます。

障害を事前に発見する
ステージング環境は、本番環境に近い環境であるため、本番環境で発生しうる障害を予防することができます。障害が発生した場合は、ステージング環境で再現性を確認し、本番環境への影響を最小限にすることができます。

開発スピードアップ
ステージング環境を利用することで、本番環境でリリースする前に、問題を特定し修正することができます。このため、リリース前のテストや検証の時間を短縮することにつながり、ユーザーにプロダクトを迅速に届けることが可能になります。

以上のことから、ステージング環境を構築することは、品質保証やリリースの安全性を向上させ、開発プロセスをスムーズに進めることにつながるため、非常に重要なステップであることがわかります

3.ステージング環境を構築する際に気を付けるべき点

次に、ステージング環境を構築する際の注意点についてご紹介します。具体的には、以下のポイントに注意する必要があります。

本番環境に近い構成で構築する

ステージング環境は、本番環境におけるバグやエラーを事前に発見し、修正するために利用されるため、本番環境と同じような構成で構築することが重要です。具体的には、ハードウェアで言えば本番環境と同じ種類のサーバー、ストレージ、ネットワーク構成を用いることが重要です。ソフトウェアに関しては、同じバージョンのOS、ミドルウェア、アプリケーションサーバ、データベースなどを使用します。また、データに関しても同じ量のデータかつ同じデータベース、テストデータなどを使用することが望ましいです。

定期的な更新と同期を行う

本番環境との差異が生じないよう、ステージング環境も定期的に更新と同期を行い、最新の状態を維持する必要があります。

複数人で利用する場合は制限を設ける

ステージング環境は、複数の人が利用することがありますが、本番環境とは異なり、制限のない状態で利用されると、本番環境と同じように重大な問題が発生する可能性があります。そのため、適切な権限設定やアクセス制限を行うことで、そのような問題を未然に防ぐ必要があります。

監視を行う

ステージング環境においても、監視を行い、システムの異常や不具合を早期に発見し、修正することが重要です。また、監視の結果から本番環境におけるシステム改善の方向性を考えることもできます。

セキュリティに配慮する

ステージング環境には、本番環境同様に、適切なセキュリティ対策が必要です。ステージング環境であっても、外部からの攻撃の標的となる可能性があるため、ファイアウォールやアクセス制御などのセキュリティ対策をしっかりと実施する必要があります。

以上のポイントに注意して、適切にステージング環境を構築することが大切です。

4.ステージング環境の構築からテストまでの手順

ここでは、ステージング環境からテストを実施するまでの具体的な手順をご紹介します。

ハードウェアの設定

ステージング環境を構築するサーバー、ストレージ、ネットワークなどの設定を行います。クラウドサービスを使用する場合は、必要なリソースを確保する必要があります。

オペレーティングシステムのインストール

ステージング環境に使用するオペレーティングシステムをインストールします。インストールには、ハードウェアの要件に応じたオペレーティングシステムを選択する必要があります。

ソフトウェアのインストール

ステージング環境で使用するソフトウェアをインストールします。例えば、Webサーバー、アプリケーションサーバー、データベースなどが挙げられます。インストールするソフトウェアの種類によって、それぞれ設定が必要な場合があります。

パッケージ管理システムの使用

ステージング環境で使用するソフトウェアやツールには、パッケージ管理システムを使用することが推奨されます。例えば、yumやapt-getなどのパッケージ管理システムを使用して必要なパッケージをインストールすることができます。

設定の変更

ステージング環境で使用するソフトウェアやツールの設定を本番環境に近づけます。例えば、データベースの設定、アプリケーションの設定などが挙げられます。本番環境と同じ設定を使用することで、ステージング環境で得られたテスト結果を本番環境における動作と比較しやすくなります。

データの準備

ステージング環境で使用するデータを本番環境からコピーします。ただし、個人情報や機密情報を含むデータをコピーする場合は、適切な手順を踏んで処理する必要があります。適切な処理とは、データをコピーする前に暗号化することで、第三者による不正アクセスを防ぐことや、不要なデータの削除、アクセス権限の適切な制御などが含まれます。

テストの実施

ステージング環境が構築されたら、テストを実施します。テストは、システムやソフトウェアの動作やパフォーマンスの問題を特定するために行われます。具体的には、以下のようなテストが実施されます。

・機能テスト

システムやソフトウェアの機能が正しく動作するかどうかを確認します。ユーザーが期待する操作ができるか、期待通りの結果が表示されるかを確認します。

・パフォーマンステスト

パフォーマンステストでは、多数のユーザーに対して応答可能かどうかを確認します。これには、負荷テストやストレステストなどが含まれます。

・セキュリティテスト

セキュリティテストは、システムやソフトウェアの脆弱性やセキュリティ問題を特定するために実施されます。これには、脆弱性スキャンやペネトレーションテストなどが含まれます。

・ユーザビリティテスト

ユーザビリティテストは、ユーザーが扱いやすいものであるかを確認するために実施されます。プロダクトが意図した通りに動作するのか、デザインが妥当であるのかなどを評価します。

テストが実施された後、問題が発見された場合は修正が行われます。修正が完了したら、再度テストを行い、問題が解決されたことを確認します。全てのテストがパスした場合、本番環境にデプロイされます。

5.ステージング環境の構築に使用されるツール5選

最後に、ステージング環境の構築に用いられる5つのツールをご紹介します。

Docker

Dockerとは、コンテナ仮想化技術を用いたアプリケーションの開発・配布・実行を支援するツールです。Dockerを使うことで、アプリケーションの開発環境やステージング環境、本番環境などをコンテナとして簡単に作成することができます。

以下に、Dockerの特徴と利点をいくつか紹介します。

コンテナ仮想化
Dockerは、コンテナ仮想化技術を使用してアプリケーションを実行します。コンテナは、アプリケーションが必要とするライブラリやツール、設定情報などを含めた独立した環境を提供します。このため、アプリケーションの実行環境をほかのアプリケーションと分離し、環境依存性を解消することができます。

ポータビリティ
Dockerで作成したコンテナは、ほかの環境でも同じように実行することができます。つまり、開発環境で作成したコンテナをステージング環境や本番環境でそのまま利用することができます。これにより、アプリケーションの移植性が向上し、開発から運用までの流れがスムーズになります。

スケーラビリティ
Dockerを使用することで、アプリケーションのスケーリングも簡単に行えます。同じコンテナを複数起動することで、アプリケーションの負荷分散や高可用性を実現できます。

自動化
Dockerは、コンテナの作成や実行などを自動化することができます。自動化することで、アプリケーションの開発・配布・実行のプロセスを簡素化し、高速化することができます。

以上が、Dockerの特徴と利点です。Dockerは、開発者や運用者がより効率的にアプリケーションを管理するためのツールとして、現在広く利用されています。

Jenkins

Jenkinsは、継続的インテグレーション(CI)および継続的デリバリー(CD)のためのオープンソースツールです。Jenkinsは、ビルド、テスト、配布、デプロイなどのタスクを自動化することで、アプリケーションの品質を向上させることができます。

以下に、Jenkinsの特徴と利点をいくつか紹介します。

オープンソース
Jenkinsは、オープンソースツールであり、無料で利用することができます。また、多くのプラグインが提供されており、拡張性に優れています。これらのプラグインを使用することで、様々なツールやサービスとの連携を容易に行うことができます。

自動化
Jenkinsは、ビルドやテストなどのタスクを自動化することができます。自動化することで、開発者が手動で作業する必要がなくなり、時間や労力を節約することができます。また、自動化により、エラーやバグを早期に発見し、修正することができます。

ビルドパイプライン
Jenkinsは、ビルドパイプラインを作成することができます。ビルドパイプラインは、ビルドやテスト、デプロイなどのタスクを一続きにまとめたものであり、これによってアプリケーションの品質を向上させることができます。

分散ビルド
Jenkinsは、分散ビルドをサポートしています。これにより、ビルドの処理を複数のマシンで分散することができ、ビルド時間の短縮やスケーラビリティの向上につながります。

以上が、Jenkinsの特徴と利点です。Jenkinsは、継続的インテグレーションや継続的デリバリーの自動化に役立つツールとして、利用されています。

Terraform

文章引用元:https://www.terraform.io/

Terraformは、クラウドプロバイダー(AWS、Azure、Google Cloudなど)に対してインフラストラクチャのコード化を行うためのオープンソースのツールです。Terraformを使用することで、繰り返し実行可能なコードを記述し、クラウドインフラストラクチャを管理することができます。

ステージング環境の構築にTerraformを使用する場合、以下のような特徴があります。

コード化による柔軟性
Terraformを使用すると、インフラストラクチャをコード化することができます。これにより、環境を簡単に再構築できるため、柔軟性が向上します。

リソースの依存関係の自動解決
Terraformは、リソースの依存関係を自動的に解決することができます。このため、リソースの作成や削除の順序を考慮する必要がなくなります。

インフラストラクチャの変更の追跡
Terraformを使用することで、インフラストラクチャの変更を追跡することができます。これにより、変更がいつ、誰によって行われたかを簡単に特定することができます。また、必要に応じて変更前の状態を復元することができます。

ドキュメンテーション
Terraformを使用することで、インフラストラクチャの状態や変更のドキュメンテーションを簡単に作成できます。これにより、チーム全体で環境の理解を深めることができます。

以上が、Terraformを用いた環境構築の特徴になります。

Puppet

Puppetは、ITインフラストラクチャを自動化するためのオープンソースのツールです。Puppetを使用することで、コンピュータシステムやアプリケーションの状態を管理し、自動化することができます。

以下に、Puppetの特徴と利点をいくつか紹介します。

宣言的言語
Puppetは、状態を宣言するための宣言的言語を使用しています。この言語は、変更したい状態を宣言することで、状態の変更を自動化することができます。

クロスプラットフォーム
Puppetは、Linux、UNIX、Windowsなど、様々なプラットフォームをサポートしています。これにより、複数のプラットフォームを同時に管理することができます。

エージェント
Puppetは、クライアント/サーバーモデルを採用しており、対象のホストにエージェントをインストールする必要があります。これにより、対象のホストの状態を常に監視し、必要に応じて自動的に変更することができます。

マニフェスト
Puppetには、マニフェストと呼ばれるファイルがあります。マニフェストは、コンピュータシステムの状態を定義するためのファイルであり、変更したい状態を記述することができます。

拡張性
Puppetには、多くのモジュールが提供されています。これらのモジュールを使用することで、既存のモジュールを拡張することができます。

以上が、Puppetの特徴と利点です。Puppetは、ITインフラストラクチャの自動化に役立つツールとして、幅広く活用されています

Vagrant

Vagrantは、仮想マシンを管理するためのオープンソースのツールです。このツールにより開発者が仮想環境を素早く構築、共有、管理することができます。

以下に、Vagrantの主な特徴をいくつか紹介します。

仮想環境の自動化
Vagrantを使用することで、開発者はコマンドラインインターフェース(CLI)で仮想マシンを自動化することができます。これにより、開発者は環境の設定に時間を費やすことなく、開発に集中することができます。

仮想環境の共有
Vagrantは、仮想環境の共有を容易にします。開発者は、Vagrantfileと呼ばれるファイルを共有するだけで、仮想環境を簡単に複製することができます。

仮想環境の構築
Vagrantは、様々な仮想化プラットフォームに対応しています。これにより、開発者は仮想環境を構築するために、自分の好みの仮想化プラットフォームを選択することができます。

プロビジョニング
Vagrantは、仮想環境のプロビジョニングを自動化することができます。開発者は、スクリプトを使用して、必要なパッケージやアプリケーションをインストールすることができます。

プラグインのサポート
Vagrantは、多数のプラグインをサポートしています。これにより、開発者は、Vagrantの機能を拡張するために、自分自身のプラグインを作成することができます。

以上が、Vagrantの主な特徴です。Vagrantは、開発者が簡単に仮想環境を構築し、管理することができる非常に便利なツールです。

これらのツールは、ステージング環境の構築を簡素化し、高速化することができます。ただし、環境に合わせて最適なツールを選択する必要があります。

まとめ

本記事では、システム、ソフトウェア開発におけるステージング環境とは何か、具体的な構築方法や構築に用いられる便利なツール5選についてご紹介しました。ステージング環境では、開発したシステムやソフトウェアが要件通りに動作し、ユーザーのニーズに応えられているかを確認することでした。そのため、このフェーズは高いユーザーエクスペリエンスを保証するための重要なステップだと言えます。自前でテスト環境を構築するのが困難である場合は、アウトソーシングするという選択肢を検討する必要があるかもしれません。

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