SaaSには、「ホリゾンタルSaaS」と「バーティカルSaaS」の2つの種類があります。
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SaaSの2つの種類 - ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaS -

目次

はじめに

米国発のSaaSは、日本にも浸透し、今や法人利用でも個人利用でもソフトウェアの利用形態として当たり前のものになりつつあります。

SaaSには、「ホリゾンタルSaaS」と「バーティカルSaaS」の2つの種類があり、米国でもまずはホリゾンタルSaaSが売上高でも投資額でも盛り上がり、バーティカルSaaSが続くという流れがあります。SaaSにおいて米国に5年程度、遅れを取っているといわれる日本でも、今後、同様の流れが起きるでしょう。

本コラムでは、「ホリゾンタルSaaS」と「バーティカルSaaS」の違いやそれぞれの特徴、メリット・デメリットなどをまとめてご紹介いたします。

SaaSの2つの種類:「ホリゾンタルSaaS」と「バーティカルSaaS」とは

SaaSには、「ホリゾンタルSaaS」と「バーティカルSaaS」の2つの種類があります。

SaaSとは

SaaSとは、Software as a Serviceの頭文字を取ったもので、クラウド上で提供されるソフトウェアを、サービスとして必要な分だけ利用できる形態を指します。

ユーザー側から見ると、利用端末にソフトウェアをインストールする必要がなく、インターネット環境さえあれば、いつでもどこからでも利用できる、といったメリットがあり、提供する側から見ても、ユーザーを獲得するハードルが低く、一度、獲得したユーザーには継続的な利用が見込め、高いLTVが期待できるなどのメリットがあります。

SaaSについて詳しくは、下記の記事もご覧ください。

ホリゾンタルSaaS

ホリゾンタルSaaSとは、業種に関わらずに利用されるようなSaaSを指します。

ホリゾンタル(horizontal)は「水平の」を意味する英語で、ホリゾンタルSaaSが企業や部門をまたいで水平的に利用されることを言い表しています。

たとえば、メールサービスやオンラインストレージサービス、勤怠管理や経費清算といったクラウドサービスがホリゾンタルSaaSに当たります。

また、たとえば、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)の場合、ユーザーの部門や職種は限定されますが、ホリゾンタルSaaSにカテゴライズされます。

ホリゾンタルSaaSは、業務課題を解決する点が特徴です。

バーティカルSaaS

一方、バーティカルSaaSとは、業種が限定されるSaaSを指します。

バーティカル(vertical)は「垂直の」を意味する英語で、ホリゾンタル(horizontal)の対義語に当たります。

たとえば、食品業界向け、医療業界向けなど、ユーザーとなる業界を限定したサービスです。このように業界に特化したSaaSは、米国などでは「インダストリー・クラウド」とよばれています。

バーティカルSaaSは、業界に特有の課題を解決する点が特徴です。

冒頭でもお伝えしましたが、SaaS発祥の地であり日本のSaaSより5年ほど進んでいるといわれる米国においても、日本においても、ホリゾンタルSaaSが先行して登場・拡大し、その後でバーティカルSaaSが現れました。

ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSのメリット・デメリット

上でお伝えしたように、ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSの大きな違いは、業界に特化しているかどうかですが、これからSaaS事業に参入しようとしている企業にとって気になるのは、それぞれのメリットとデメリットではないでしょうか。

以下で、SaaS提供者視点で見たホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSのメリット・デメリットをご紹介いたします。

ホリゾンタルSaaSのメリット

まずはホリゾンタルSaaSのメリットから確認していきましょう。

営業開拓先が豊富にある

ホリゾンタルSaaSが業界を問わずに利用できることから、営業の新規開拓先の母数は豊富にあります。SaaSの特徴として低コストで利用できることから、企業規模も限定されにくいため、その点でも営業先は潤沢だといえるでしょう。

また、ホリゾンタルSaaSの場合、ターゲット企業がすでにほかのSaaSを導入していたとしても、まったく同じ用途のSaaSでなければ導入してもらえる可能性があります。

たとえば、すでに、勤怠管理や経費清算のSaaSを導入済みの企業が、グループウェアのSaaSを導入する可能性は十分にあるということで、この点でも営業開拓先は豊富にあるといえます。

SaaS名・会社名の知名度を上げやすい

業界を横断して利用されるホリゾンタルSaaSでは、ある程度のシェアを取ることができれば、そのジャンルのSaaSとしての知名度を上げやすい点もメリットです。

SaaS名とともに社名が広がることも期待でき、副次的な効果としては、人材や投資家を集める際にも有利になるでしょう。

ホリゾンタルSaaSのデメリット

一方、ホリゾンタルSaaSにもデメリットがあります。

競合との競争が激しい

日本でSaaS市場は成長期に当たり、M&Aなどによる新規参入が進んでいます。

バーティカルSaaSに比べれば、市場の成熟度は進んでいて、営業開拓先が豊富にあるとはいえ、まだまだ競争は激しいといえます。

バーティカルSaaSのメリット

では、バーティカルSaaSのメリット・デメリットはどうでしょうか?

まずは、メリットから見ていきましょう。

ホリゾンタルSaaSに比べて競合が少ない

バーティカルSaaSはまだホリゾンタルSaaSに比べて市場が成熟しておらず、競合が少ない状態です。ターゲット業界別に分けると、競合はさらに少なくなります。

また、比較的ニッチなビジネスとなるため、参入企業は事前に十分なリサーチを重ねるなど、慎重な判断を行うことが予想されます。その結果、参入数や参入頻度なども低くなることが期待できます。

特定の業界で高シェアを取れる可能性がある

上記のように競合が少ないため、高シェアを取りやすいというのもバーティカルSaaSのメリットです。

その業界のスタンダードになる可能性もあります。

解約・乗り換えされにくい

上でお伝えしたように、バーティカルSaaSでは競合が少ないことから、顧客側は「サービスを選び放題」というわけにはいきません。その結果、多少、サービスに不満があっても解約したり乗り換えたりといったことも起きにくいといえます。

バーティカルSaaSのデメリット

バーティカルSaaSのデメリットといえるのは、以下の2点です。

SaaS名・会社名の知名度が限定的になる

バーティカルSaaSの特性から、上記のメリットでお伝えしたような業界スタンダードになれたとしても、知名度はその業界内でしか上がりません。

つまり、その業界では有名でも、別の業界のビジネスパーソンには知られていない、といった具合に、SaaS名・会社名の知名度は限定的になります。

SaaSの導入数も限定的になる

多くの業界で市場が成熟期にある日本において、数少ない成長業界でもない限り、たとえ市場を独占できたとしても導入数(社数・ユーザー数など)はすぐに上限が来てしまいます。

ひいては、会社の成長もある程度、限定的になると考えられます。

ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSのそれぞれのサービス

ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSの具体的なサービス例をご紹介します。

ホリゾンタルSaaSのサービス例

まずは、ホリゾンタルSaaSから、海外と日本に分けてご紹介します。

海外のホリゾンタルSaaS

SaaSを最初に始めたのが米国のセールスフォース・ドットコム社です。CRM(顧客関係管理)プラットフォームの「Salesforce」は1999年にサービス提供が開始され、世界的なシェアを誇ります。日本法人として株式会社セールスフォース・ドットコムがあり、日本でも拡販しています。

同じく米国発のCRMプラットフォームに、「HubSpot(ハブスポット)」があります。インバウンドマーケティングに特化している点が特徴で、2006年にサービスが提供開始されました。

Zendesk(ゼンデスク)」もホリゾンタルSaaSで、こちらは、ヘルプデスクの管理システムです。2007年にサービス提供を開始。ゼンデスク社はもともと、デンマークの企業でしたが、米国に移転し、現在はサンフランシスコに本社を置いています。

海外のホリゾンタルSaaSは米国企業のサービスが牽引しており、マーケティングや営業など、顧客関連のデータ管理を担うサービスがシェアを伸ばしています。

日本のホリゾンタルSaaS

日本のホリゾンタルSaaSとして早期に提供され始めたのは、名刺管理サービスの「Sansan(サンサン)」(Sansan株式会社・2007年提供開始)、業務支援システム「ジョブカン」(株式会社Donuts(ドーナツ)・2010年提供開始)などです。

つづいて、会計・人事労務の「freee(フリー)」(freee株式会社)が2013年3月より提供開始され、同年11月、法人・個人事業主向け金融サービス「マネーフォワードクラウド会計」(株式会社マネーフォワード)も提供開始されました。ほかに、人財活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」(株式会社ビズリーチ・2016年提供開始)などがあります。

バーティカルSaaSのサービス例

つづいて、バーティカルSaaSのサービス例を、海外と日本に分けてご紹介します。

海外のバーティカルSaaS

バーティカルSaaSも米国発のものが席巻しています。

製薬や医療機器といったライフサイエンス業界向けの顧客管理プラットフォーム「Veeva(ヴィーヴァ)」が米Veeva Systems(ヴィーヴァ・システムズ)社から2007年より提供開始され、損害保険業界向けの基幹業務システム「Guidewire(ガイドワイヤー)」が米Guidewire Software(ガイドワイヤー・ソフトウェア)社から2001年より提供されています。

米Procore Technologies(プロコア・テクノロジーズ)社の「PROCORE(プロコア)」(2002年に提供開始)、米Textura Corporation(テクスチュラ・コーポレーション)社の「Textura(テクスチュラ)」(2004年に提供開始)といった、建設業界向けのバーティカルSaaSも盛り上がりを見せています。

日本のバーティカルSaaS

日本のバーティカルSaaSの草分けといえるのが、「BtoBプラットフォーム」と「カイポケ」です。

「BtoBプラットフォーム」は、株式会社インフォマートがもともと飲食業界向けに1998年年から提供する受発注や請求書の電子化サービスです。現在は、業界を問わずに使える「BtoBプラットフォーム 請求書」を含む8つのソリューションが「BtoBプラットフォームシリーズ」として提供されています。

「カイポケ」は、株式会社エス・エム・エスが2006年からサービス提供を開始している、中小介護事業者向け介護保険請求ソフトです。人手不足が深刻な介護業界で、煩雑な介護保険報酬請求業務など、事務業務を効率化し、業務負担を減らすのに役立つツールです。

日本のバーティカルSaaSでは、ほかに建設業界向けの図面・現場施工管理アプリ「SPIDERPLUS(スパイダープラス)」(スパイダープラス株式会社・2011年提供開始)、学習塾向けのAI教材「atama+(アタマプラス)」(atama plus 株式会社・2017年提供開始)などがあります。

SaaS事業を行う際の注意点

最後に、これからホリゾンタルSaaSまたはバーティカルSaaSを開発してSaaSビジネスに進出するに当たり注意したいのが事業の評価方法です。

ストック型ビジネスとフロー型ビジネス

SaaSに限らず、月額などで定額料金を支払ってもらうサブスクリプション型のビジネスを選択すると、ストック型の収益をもたらしてくれます。なお、ストック型ビジネスとは継続的に収益を上げるビジネスモデルのことで、反対に単発型で売り切り型のビジネスモデルのことをフロー型ビジネスといいます。

ストック型のビジネスモデルには、安定的な収益が見込めるというメリットがある反面、ビジネスに対する投資を回収するまでに時間がかかる点がデメリットです。このデメリットから、経営層には「売上や利益が少ない」と判断され、経営資源が振り分けられづらい傾向があります。

SaaS事業のようなストック型ビジネスではLTVで評価する

フロー型ビジネスでは、1回受注すればそこで利益が確定し、開発費や営業コストなどに対する利益率を算出できます。

しかし、SaaSのようなストック型ビジネスでは通常、第1回目の支払いで投資額を回収することはしません。数ヵ月、数年と利用してもらう中に損益分岐点を設け、そこを通過するまではコストの回収期間なので利益は出ないということです。

このことから、従来のフロー型ビジネスと同じ評価方法でSaaS事業を評価してしまうと、過小評価されやすくなります。

SaaS事業ではまず、解約率を把握し、LTV(Life Time Value/顧客生涯価値)を算出する必要があります。LTVが出せれば、受注1件当たりにかけられるコストの上限も見えてきます。そうすれば、コストの上限の中で必要な投資を行えるようになります。

まとめ

SaaSは、ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSに分けられ、後発のバーティカルSaaSは今後、日本でも市場規模を拡大していくことが予想されます。

ただ、ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSには、上でご紹介したようにそれぞれメリット・デメリットが異なります。

新規事業をご検討中の企業様は、自社の強みを活かせ、今後の競争力強化につながるようなSaaS開発を検討してみてはいかがでしょうか。

事業化の際は、SaaS事業の評価方法にもご注意ください。

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この記事を書いた人
この記事を書いた人

Hien(ヒエン)
ベトナムハノイ貿易大学のビジネス日本語学部卒。2018年に東京でインターンシップ、その後4年間マーケティング業務に従事。「マーケティングで、社会を変える奇跡を作る」ことを目標に、2020年からはB2B市場を中心に活動。趣味は自己改善、読書、座禅。

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