今話題のKotlinとは|概要や特徴や用途について解説
本記事では、NetflixやAirbnb、Pinterest、Uberなどで使用されている今話題のプログラミング言語であるKotlinについてご紹介します。その概要や特徴、Android向けアプリ開発以外の用途、企業がKotlinの採用している背景について解説していきます。
目次
Kotlinとは
まず、Kotlinというプログラミングの概要をご紹介します。
Kotlinは、通常“コトリン”と読み、チェコ共和国の首都プラハに位置するソフトウェア開発企業であるJetBrainsによって開発された、JVM(仮想マシン)上で動作するオープンソースのオブジェクト指向プログラミング言語です。2011年にリリースされたため、比較的新しい言語といえます。
また、Javaの弱点を克服する形で設計されたKotlinは、Javaよりコードが簡潔かつJavaとスムーズに連携し、相互運用することができるという特徴があります。
さらに、Googleが2017年に開催された開発者向けカンファレンスにおいて、KotlinをAndroidアプリ開発言語に追加することを発表したことにより、シェアが急速に拡大しています。Googleによると、Androidアプリ開発者の50%以上がAndroidモバイルアプリの開発にKotlinが使用されているようです。
2022年12月時点で、Androidは世界のOSシェアの72.37%を占めており(引用元:StatCounter Global Stats – OS Market Share)、Kotlinの人気はますます高まっていくことが予想されます。
Kotlinの特徴
ここでは、Kotlinの特徴についてご紹介します。
簡潔でわかりやすい構文
コードの構文が簡潔でわかりやすい点は、Kotlinの最大の特徴の1つです。コードがシンプルであるため、開発を効率よく高速に開発を進めることができます。また、高い可読性により、エラーやバグを特定し、メンテナンスがしやすいという利点もあります。
オープンソース
Kotlinはオープンソースであるだけでなく、既存のJavaコードをKotlinコードにシングルクリックで変換できる機能も提供しています。
Javaとの完全な相互運用性
Kotlinは基本的にJVM(仮想マシン)上で実行され、Javaのライブラリやツールをサポートしているため、Javaと相互運用が可能です。そのため、JavaからKotlinを呼び出したり、KotlinからJavaを呼び出したりすることで、1つのアプリを2つの言語でコンパイルすることが可能です。また、Javaで開発を進めていたコードをそのまま残しつつ、新しい機能においてはKotlinで記述するということも可能です。
低コスト
Kotlinを開発言語として採用する場合、基本的には費用がほとんどかかりません。オープンソースであるため、ライセンスに付随するコストが発生しません。また、Javaを使用したことがある方であれば、比較的簡単に学習することができるため、学習にかかる費用もそれほど高くないでしょう。
高い安全性と信頼性
Kotlinは、Javaで頻繁に発生する、システム障害に発展しうるnull参照による実行時エラーを防げる“Null safety”という機能を兼ね備えています。このように、システム障害につながるようなコードが書きづらい文法を採用することで、高い安全性と信頼性を担保しています。
Lazy-Load機能
Lazy Load機能により、アプリのコンテンツの表示速度を高速化することができます。この機能は、長いロード時間によるユーザーのストレスを軽減するのに役立ち、アプリ開発者に重宝されています。
Kotlinの用途とは
次に、Kotlinが何に使われているプログラミング言語であるのか、その用途を確認していきましょう。Kotlinは、もともとAndroidのアプリ開発向けの言語として使われ始めましたが、今では他の分野においても活用が進んでいます。具体的には以下のような開発に用いられています。
バックエンドWeb開発
バックエンドWeb開発は、JavaのWebフレームワークである「Spring Framework」を使用して行われることが多いです。しかし、Kotlinは、その簡潔さや容易な操作性、Javaと相互運用可能であり、Javaクラスライブラリをサポートしているなどの理由から、サーバー側のWeb開発でも使用されるようになりました。実際に、GoogleやAmazonなどの大手企業において、サーバーサイドのコードを一部JavaからKotlinに置き換えるという動きが見られます。
フルスタックWeb開発
開発者は、Kotlin for JavaScript(Kotlin/JS)を使用することで、フロントエンドWeb開発用にKotlinのコードをJavaScriptに変換することができます。フルスタックエンジニアはKotlinを使用することで、同じ言語によってバックエンドコードおよびフロントエンドコードを記述することが可能になります。
データサイエンス
Kotlinは、データパイプラインの構築や機械学習モデルの本番環境への導入など、データサイエンスの領域でも活用されています。また、KotlinはJavaで使用されるJupyterおよびZeppelinという2 つのデータサイエンスツールをサポートしています。
マルチプラットフォームモバイル開発
KotlinはJavaとの相互運用性により、Javaが実行されている場所であればどこでも実行することができるため、クロスプラットフォームアプリの構築が可能です。
例えば、開発者はKotlinで作成した1つのソースコードから、Androidや、Apple iOS、Apple watchOS、Linuxで動作するクロスプラットフォームモバイルアプリケーションを開発することができます
企業がKotlinに切り替えている理由
企業がKotlinに切り替える理由は主に2つあります。
①開発時間が短縮できる
メリットの部分でも説明した通り、KotlinはJavaなどの開発言語と比較し、コードが簡潔です。そのため、高速かつ効率的なコーディングを可能にし、結果として開発者は開発時間を大幅に短縮することができます。
社会や消費者のニーズが急速に変化する今日で、開発時間の短縮は、非常に重要なポイントです。また、開発時間の短縮は、開発コストの削減に繋がるというメリットもあります。
②アプリのクラッシュが少ない
上記でコードが簡潔であることによる生産性の向上についてご紹介しましたが、コードがシンプルであることにより企業が享受できる恩恵は他にもあります。それは、バグを特定し、対処しやすいという点です。コードが長く複雑だとバグなどが発生した場合にメンテナンスが長期化する恐れがあります。メンテナンスの期間の長期化に応じて、費用も増大していくため、企業はよりシンプルでメンテナンスが容易な開発言語を好みます。
まとめ
本記事では、日本でも親しみのあるNetflixやPinterest、Uberなどのアプリに利用されているKotlinの概要、特徴、用途、企業がアプリ開発に採用している背景についてご紹介しました。本記事を通して、Kotlinの魅力についてご理解いただけたのではないでしょうか。
Kotlinによるアプリケーション開発をご検討の企業様は、ぜひCMC Japanにお任せください。CMC Japanは、30年の開発ノウハウおよび多様なスキルセットを備えた2200人以上のITエンジニアをもって、お客様のプロジェクトをサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。