技術的負債とは

技術的負債とは?技術的負債に対処するための6つのベストプラクティス

目次

はじめに

技術的負債とは、ソフトウェア開発、特にレガシーシステムやアプリケーションのモダナイゼーションにおいて、よく使われる言葉です。

この記事では、技術的負債について知っておくべきことをすべて説明します。

技術的負債とは?

技術的負債とは、ソフトウェア開発プロジェクトにおいて、急いで実装したり、修正せずに放置したりすることで、将来的に修正や改善が必要になる技術的な問題のことを指します。つまり、開発者が一時的に早急な対応を選んだことで、将来的に支払わなければならない「負債」ということです。

開発者は通常、品質とスピードのバランスを取る必要があります。完璧にプログラムされたソフトウェアを開発することと、打ち上げの締め切りに間に合うように適当な品質でコードを書くことは、トレードオフの関係となるのです。

技術的負債は、通常の借金と同じように、今メリットを得られる代わりに、後で返済しなければなりません。

技術的負債は主に、以下のような原因で発生するメンテナンスの問題を指す言葉として使われています。

・予算の制約

・締切りの制限

・開発方法の選択ミス

・コードが雑に書かれている

技術的負債は、常に良くないものなのか?

技術的負債が常に良くないものなのかといえば、そんなことはありません。

後からメンテナンスが発生する可能性もありますが、それに見合うだけの価値があれば選択する場合もあります。

開発者は、プロジェクトの締め切りを守り、時間内にソフトウェアをリリースするために、一時的に技術的負債を作ることがあります。また、市場の需要や競合状況が激しい場合には、一時的に技術的負債を許容することが、事業を存続させたり、加速させるために必要な場合もあります。

ただ、開発プロセスにおける怠慢や技術的判断の誤りから生じた技術的負債は、良くないものと言えるでしょう。開発者がこのトレードオフを選択する際は、短期的な手抜きが長期的なコストを生むリスクを認識しましょう。

技術的負債の種類

技術的負債には、「計画的な技術的負債」「無計画な技術的負債」「避けられない技術的負債」の3種類があります。

計画的な技術的負債

計画的な技術的負債とは、開発者がリスクとコストを十分に認識した上で意図的に行うトレードオフです。

つまり、リリースの期限に間に合わせるために、開発において近道を選択すると同時に、後でその近道を埋めるために戻ってくる必要があるとわかっているケースです。

このような計画的技術的負債を行う際は、時間とともに急速に蓄積されていくため、膨大にならないよう、記録を残しておく必要があります。

無計画な技術的負債

無計画な技術的負債とは、意図せずに発生した技術的負債のことを指します。 

・開発手法の不備

・コーディング能力不足

・エンジニアリングの判断ミス

・チーム間のミスコミュニケーション

技術的負債は、細部への配慮を欠くことで発生しますが、適切なソフトウェア開発モデルの採用で、このリスクを大幅に軽減できます。

避けられない技術的負債

避けられない技術的負債とは、過去の開発の拙さからではなく、ビジネスモデルや製品、新技術の変化から生じる負債です。このタイプの負債は、ソフトウェアを開発した時点では予見できなかったため、避けることはできません。

事業の存続に関わる新しいビジネスモデルや新製品を採用する場合、その変化に合わせて古いシステムを調整したり、書き換えたりすることは問題視されません。また、技術は日進月歩であり、今日の最新技術が明日には陳腐化することもあり、新しい技術に対応するために古い技術の負債を返済することも問題視されることではありません。

技術的負債を管理するための6つの方法

技術的負債がゼロでない組織とは、自社でソフトウェアを開発しない組織です。自社開発をしているのであれば、多少の技術的負債があっても大した問題ではありません。重要なのは、それらにどう対処するかです。

負債返済のための時間を確保しておく

技術的負債は、それらが悲惨なレベルにまで累積していない限り、深刻な問題ではありません。

技術的負債の蓄積を防ぐには、新しい機能を開発する際に、コードベースのクリーンアップに時間を確保するように意識すると良いでしょう。

コード規格の採択とレビュー

コード規格(コード標準)とは、プログラミングのルールやガイドライン、ベストプラクティスをまとめたものです。

開発者がきれいで読みやすいコードを書くためのガイドとなり、また、後で変更が必要になった場合にも簡単に対応できるようにするためのものです。「良いアプリ」の基準を明確にし、統一することで、技術的負債を減らすことができます。

コードレビューとは、開発者が互いのコードに誤りがないかを検証するプロセスです。潜在的な問題の回避に役立つだけでなく、この習慣によって開発者は互いに学び、スキルを向上させることができます。

知識ライブラリーの用意

開発工程で技術的な変更を見失ってしまうことがあるので、それを文書化しておくと、後で技術的負債の返済が楽になります。近道の方法やチェックリスト、添付ファイル、ロードマップなどを含む、このようなドキュメントをチームメンバーが読んだり交換したりすることで、役に立つ知識ライブラリーとして活用できます。

この文書により、開発者は開発プロセスで必要なあらゆる情報にアクセスでき、混乱することなく問題を解決できるようになります。

単体テストを行う

技術的負債を解決したり、回復したりする簡単な方法の1つは、負債の蓄積を避けるためにユニットテストをより頻繁に実施することです。

ユニットテストは、開発者がバグを特定し、コードの品質を向上させるのに役立ちます。

アジャイル開発の採用

アジャイル開発を採用し、スプリントごとに一貫して返済することで、技術的負債の蓄積を抑えることができます。

アジャイル開発では、チームはより小さな機能のバッチに取り組み、それによって発生する技術的負債を、より管理しやすい状態で確保できます。アジャイル開発では、すべての技術的負債が製品バックログに記録されるため、将来の追跡も容易になります。なお、アジャイル開発では、製品品質に関する独自の測定基準に基づいて「完了」の定義を明確にすれば、技術的負債とみなされるものを特定しやすくなります。

問題があるコードのリファクタリングを行う

頻繁なリファクタリングは、技術的負債を最小限に抑えるための最適な方法です。リファクタリングとは、不完全に書かれたコードを、より理解しやすく、保守しやすく、バグがないように書き換える作業のことです。この活動は、問題のあるレガシーコードを修正するのに役立つため、ソフトウェアの近代化と技術的負債の返済に必要です。

まとめ

本記事を通して、全ての技術的負債が「悪」であるわけではないことを理解していただけたのではないでしょうか。開発者がリスクとコストを十分に認識した上で一時的に抱える技術的負債は「良い」技術的負債と言えるでしょう。反対に、チーム間のミスコミュニケーションやわかりづらいコーディングによって発生した技術的負債はあまり良いものではありません。技術的負債を多く抱えないために、本記事でご紹介した6つのアドバイスを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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