物流業界はどのように進化するのか?
物流業界は多くの課題と問題に直面していますが、これらを克服するために最新技術の導入や新しいビジネスモデルの採用による取り組みが進められています。
これから、物流業界がどのような進化を遂げるのか、その今後の展望を一緒に探っていきましょう。
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目次
物流アウトソーシング(3PL)
物流アウトソーシングは、企業が自身の物流業務を外部のサービスプロバイダーに委託することを指し、この戦略は3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)として知られています。物流業務の全てを委託する全体アウトソーシングと、一部の業務だけを委託する機能アウトソーシングの二つに分けられます。
物流アウトソーシングで委託できる主要な機能には、輸送、荷役、保管、流通加工があります。これらに加えて、顧客からの受発注処理や決済業務を含むサービスはフルフィルメントと呼ばれ、3PLとは異なるビジネスモデルです。
シェアリングエコノミーとの違いは、シェアリングエコノミーが短期間や単発での利用を想定しているのに対し、物流アウトソーシングは長期的な契約を前提としている点です。物流アウトソーシングでは、スキルや設備、サポート体制、コストなどを考慮してサービス提供者を選ぶことができます。
物流業界が直面する人手不足の問題を解決する手段として、物流アウトソーシングの重要性は今後も高まっていくと考えられます。
シェアリングエコノミー(共有経済)
物流業界を含む多くの分野で注目されているのが、シェアリングエコノミーというビジネスモデルです。
総務省によると、シェアリングエコノミーは「個人や企業が持つ活用可能な資産を、インターネットを活用したマッチングプラットフォームを通じて他者と共有し、経済活動を活性化させること」と定義されています。これを簡単に説明すると、さまざまな仕事や物品を共有してビジネスとして成立させる経済スタイルです。
シェアリングエコノミーには「空間、スキル、移動、お金、物品」の5つの領域があります。たとえば、カーシェアリング、宿泊施設の共有、タクシーのマッチングサービス、宅配サービスの共有などが含まれます。
物流業界においても、倉庫や配送トラックのシェアリングサービスが登場しており、余剰リソースを提供したい企業と、それを利用したい企業を結びつけるマッチングが進んでいます。シェアリングエコノミーは、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献も期待されており、今後もこの分野の発展が見込まれます。
自動から自律型システムへ
物流DX(デジタルトランスフォーメーション)は、AIやIoTなどのデジタル技術を物流業務に取り入れ、全体を最適化する取り組みです。これには、作業の自動化や情報管理システムの導入が含まれます。
作業の自動化は、人の手を介さずに物流作業を行うことで、荷役作業を行う物流ロボットや、請求書処理や受発注業務を自動化するシステムなどが例として挙げられます。
【作業自動化の事例】
- AVG(無人搬送車)
- AMR(自律走行搬送ロボット)
- RPA(業務プロセス自動化)
一方、情報管理システムは商品の流通に関する情報を集約し、商品の位置や作業状況、在庫、配送状況などを一元管理します。
【情報管理システムの種類】
- WMS(倉庫管理システム)
- TMS(輸送管理システム)
- LMS(物流管理システム)
現段階では、これらのロボットやシステムはプログラムに従って動く「自動化」が主流ですが、将来はこれらが自ら学習し動く「自律化」への進展が期待されています。