ソフトウェア開発とは? ソフトウェア開発の流れ及びリスクの軽減対策
ソフトウェア開発は、プログラマーがコンピュータプログラムを作成するための一連のプロセスを提供します。このプロセスは、ソフトウェア開発ライフサイクルの各フェーズを構成しています。ソフトウェア開発の手法を理解するのは、プロジェクトを進める上で大きなメリットをもたらします。
今回は、ソフトウェア開発について説明し、主な流れやコンピュータプログラムの種類をまとめ、ソフトウェア開発プロジェクトにおける問題やリスクを洗い出していきましょう。
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目的
ソフト開発とは?
ソフトウェア開発とは、プログラマーがコンピュータ・プログラムを構築するために用いるプロセスをいいます。このプロセスは、ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)とも呼ばれ、技術仕様とユーザー要件を満たす製品を構築するためのメソッドを提供するいくつかのフェーズを含んでいます。
SDLCは、ソフトウェア会社がコンピュータプログラムを構築し、改善するために使用できる国際標準や開発チームが高品質のソフトウェアを設計、作成、維持するために従うべき、定義された構造を提供します。ITソフトウェア開発プロセスの目的は、決められた予算とスケジュール内で効果的に製品を構築することです。
ソフトウェア開発の流れの主要ステップ
ソフトウェア開発のライフサイクルには、大きく分けて以下の6つのステップがあります。
1. ニーズの把握
ニーズの把握は、市場調査やブレーンストーミングのプロセスです。ソフトウェア開発に着手する前に、企業がその製品の実現可能性を判断するために広範囲に市場調査を行う必要があります。開発者は、ターゲットとなる消費者がソフトウェアを最大限に活用し、必要性や有用性に気付くように、、ソフトウェアが提供すべき機能やサービスを明確にしなければなりません。これらの情報を得るには、見込み顧客や既存顧客からのフィードバックやアンケート調査など、いくつかの方法があります。
また、開発チームは社内の他部門と、製品の強み、弱み、機会について話し合う必要があります。製品開発を成功させるためにすべての必要なパラメータが準備されば、ソフトウェア開発プロセスが開始されます。
2. 要件定義
要件定義とは、ソフトウェア開発ライフサイクルの第2段階です。ステークホルダーが、提案された製品の目標を達成するための技術要件とユーザー要件、および仕様について合意します。このフェーズでは、高品質の製品を提供するために、全てのコンポーネント、スコープ、開発者のタスク、テストパラメータなどの詳細なアウトラインが提供されます。
要件定義には、開発者、ユーザー、テスター、プロジェクトマネージャー、品質保証責任者が関ります。ITアウトソーシング会社と協働すると、それらはすべてパッケージの中に包含されます。また、ここは又プログラマーがアジャイル型、ウォーターフォール型、Vモデル型などのソフトウェア開発手法を選択するフェーズでもあります。担当チームは、プロジェクト進行中の必要な時に参照できるように、この段階の結果をソフトウェア要件定義書に記録します。
3. 設計
設計は、ソフトウェア開発プロセスの第3段階です。このフェーズでは、デザイナーと開発者が、要件定義書に基づいて、ソフトウェアを作成するために必要で高度な技術仕様を作成します。ステークホルダーは、リスクレベル、チーム構成、適用技術、開発時間、開発予算、プロジェクトの制限、メソッド、アーキテクチャ設計などの要素について話し合います。
設計仕様書(DSD)は、製品のアーキテクチャ設計、コンポーネント、コミュニケーション、フロントエンド表現、ユーザーフローを指定します。このステップでは、開発者とテスターにテンプレートを提供し、製品の欠陥や納期遅延が生じるリスクを低減します。
4. 開発・実装
次に設計パラメータの開発・実装のフェーズです。開発者は、前工程で合意した設計仕様書や要件定義書に基づき、プログラムの記述を行います。会社の手順やガイドラインに従って、フロントエンドの開発者はインターフェースやバックエンドを開発し、データベース管理者はデータベースに関連データを作成します。また、プログラマーは互いのコードをテストし、レビューします。
コーディングが完了すると、開発者は製品を実装段階にある環境に配備します。これにより、パフォーマンスが要件を満たすために、プログラムのパイロット版をテストすることができます。
5. テスト
ユーザーに提供する前に、ソフトウェアにバグがないかを確認し、そのパフォーマンスを検証するフェーズです。このフェーズでは、エキスパートテスターが製品の機能を確認し、要件定義書通りに動くかどうかを検証します。
テスターは、ソフトウェアの個々のコンポーネントの性能を検証するために、テストソフトウェア使用の経験があれば探索的テスト又はテストスクリプトを使用します。コードの不具合を開発者に知らせます。開発者はその欠陥が明らかであると確認したら、プログラムの改善を進めます。テスターはソフトウェアにバグがなく、要件通りに動作するまでこのプロセスを繰り返します。
6. デプロイ・保守
ソフトウェアに欠陥がないことが確認されると、開発者は顧客へソフトウェアを納品します。ソフトウェアの製品版リリース後、ITソフトウェア開発会社はメンテナンスチームを作り、顧客が製品を使用する際に遭遇する問題を管理します。保守は、軽微な不具合であればホットフィックスで済みますが、深刻な不具合はアップデートが必要です。
ソフトウェアの種類
ソフトウェアは、用途や適用範囲から、以下の大きく3つに分類できます。この記事では、ソフトウェアの主な種類を紹介します。
1. システムソフトウェア
オペレーティングシステム又はOSとも呼ばれるシステムソフトウェアは、コンピュータが入力コマンドを機械が読める言語に変換するために使用するプログラムです。オペレーティングシステムは、コンピュータのハードウェアコンポーネントを制御します。
パソコンでよく使われているOSの例としては、Microsoft社のWindows OS、Apple社のMacBookに使われているMac OS、LinuxベースのUbuntuなどが挙げられます。ウェブサーバーはApache OSを使用し、UNIX OSは独自のシステムを構築するために使用されます。
2. アプリケーションソフトウェア
アプリケーションソフトウェアは、多くの人がコンピューターやスマートフォンでタスクを実行するために使用するアプリケーションです。ワープロソフト、インターネットブラウザ、メディアプレーヤー、写真編集ツール、アンチウィルス、そしてSaaS (Software as a Service) 製品などがよく知られています。
3. プログラミング言語
次にソフトウェア開発のプログラミング言語です。コーダーがプログラムを作成するときに使用されます。プログラミング言語としては、Java、C++、PHPなどがあげられます。
プログラミング言語については、下記の記事で詳しく解説しております。
直面する可能性のあるソフトウェア開発リスク
ソフトウェア開発においては、様々な内部・外部リスクが存在します。ソフトウェアのリスクを検出するのは、高品質の製品を作り、目標を達成するために非常に重要です。ソフトウェア開発におけるリスクは、ソフトウェア開発プロジェクトの成功に影響を及ぼす要因です。そのため、プロジェクトを成功させるためには、これらのリスクに備え、軽減することが重要です。
1. コードの問題
ソフトウェア開発における重大リスクの1つは、質の低いコードです。急ぎの作業や他の多くの要因により、質の低いコードが含まれることがあります。コードの問題としては、バグ、論理エラーなどがあげられます。コードの質に関するリスクは、次に示す事項を行うことで軽減することができます。
- コードのテストを頻繁に行う
- バグや論理エラーが発見されると、修正する
- ソフトウェア開発者向けのコーディング標準を作成する
- コーディングのベストプラクティスを使用する
2. 厳しい納期
ソフトウェア開発プロジェクトによって納期が厳しいことがあります。場合によっては、ソフトウェア開発チームが納期を守れないこともあります。確実な納期に間に合うような綿密なプロジェクト計画を立てることで、このリスクを軽減することができます。
3. 期待に応えられない
ソフトウェア開発におけるもう一つのリスクは、不正確な見積もりによる期待外れです。ソフトウェア開発プロジェクトでは見積りが必要ですが、正確な見積を算出しないケースがあります。コスト、納期、成果などの見積もりが不正確だと、ソフトウェア開発プロジェクトが顧客の期待に応えられない原因となります。このリスクを軽減するには、見積もりの楽観的な程度を含む、見積りの可能性を明確にすることが必要です。これで、ステークホルダーがプロジェクトに対して現実的な期待を抱くことができます。
4. 生産性が低い
生産性の問題は、ソフトウェア開発におけるリスクにもなります。遅延や従業員の燃え尽きなど、さまざまな要因で、ソフトウェア開発チームが生産性に悩むことがあります。チームの生産性を高めるには、次のような方法があります。
- ストレスを軽減し、燃え尽き症候群を防ぐために、適切なプロジェクト計画を立てる
- プロジェクトの詳細や問題点について効果的にコミュニケーションをとる
- チームのモチベーションを上げ、リーダーシップスキルがある良いリーダーを選出する
生産性を向上させるもう一つの方法は、優れた目標を設定することです。強力な目標を設定することで、従業員がモチベーションを維持し、軌道に乗せます。SMART テクニックを使って、次のような目標を設定するとよいでしょう。
- 具体的である
- 測定可能である
- 達成可能である
- 現実的 である
- タイムリーである
5. 予算の問題
次にソフトウェア開発における予算の問題です。プロジェクトのスコープが変わると、ソフトウェア開発の予算も変わりますが、予算オーバーにならないようにプロジェクトを監視することが重要です。プロジェクトコストの上昇を防ぐために、プロジェクトが変更されるたびに、プロジェクト計画と予算を調整しましょう。
6. リスクマネジメントが不十分
リスクマネジメントの不備もリスクの一つです。効率的なリスクマネジメントは、ソフトウェア開発チームがリスクを発見し、うまく対応する為に不可欠です。リスクマネジメントを改善するためには、次のような方法があります。
- 潜在的なリスクを特定する
- 各リスクの発生確率を計算する
- リスク軽減計画を作成する
- リスクを注意深く監視する
7. プロジェクト管理が不適切
リスクマネジメントと同様に、ソフトウェア開発におけるもう一つのリスクは、不適切なプロジェクト管理です。効率的なプロジェクト管理は、目標、期待、時間枠、期限が明確になることにつながるため、プロジェクトの成功にとって重要です。プロジェクト管理を改善するためには、次のような方法があります。
- プロジェクトマネージャーを採用する
- プロジェクト計画を作成する
- プロジェクト管理ソフトウェアを導入する
- 組織全体で明確なコミュニケーションラインを構築する
8. スコープクリープ
プロジェクトのスコープを変更することにより、ソフトウェア開発におけるリスクも引き起こす可能性があります。スコープクリープとは、プロジェクトのスコープが当初と全く異なるものに変化してしまうことを指します。スコープクリープは、ソフトウェア開発において、プロジェクトの納期に間に合わなかったり、プロジェクトの期間を延長する原因となり、リスクを引き起こす可能性があります。プロジェクトを管理可能なセグメント又はイテレーションに分割し、スコープを頻繁にレビューすることで、スコープクリープを監視することができます。
9. ステークホルダーの問題
ソフトウェア開発のもう一つのリスクは、希薄な関与や不正確な期待値といったステークホルダーの問題です。ステークホルダーにソフトウェア開発プロジェクトを理解し、ソフトウェア開発チームに参加してもらうように、ステークホルダーと効果的にコミュニケーションを取ることが重要です。ステークホルダーがプロジェクトの成功に大きな影響を与えるため、ステークホルダーとの良い関係を築くことも重要です。ステークホルダーとの関係を改善するためには、次のような方法があります。
- ステークホルダーと頻繁にコミュニケーションを取る
- ステークホルダーがプロジェクトに何を期待するかを把握するために、 しっかりとしたプロジェクト計画を作成する
- 明確なプロジェクト目標を設定する
10. ユーザーの反応
プロジェクトに対するユーザーの反応も、ソフトウェア開発のリスクの一つです。プロジェクトの成功は、どれだけのユーザーがそのソフトウェアを購入し、採用するかに直接依存するため、ユーザーの反応は非常に重要です。このリスクは、次の方法で軽減することができます。
- ベータテストやユーザーテストを通じて、事前にソフトウェアをテストする
- ユーザーアンケートを実施
- フォーカスグループを実施し、ユーザーに関する情報を収集する
11. プロジェクトチームメンバーの離脱
ソフトウェア開発では、主要なメンバーがプロジェクトから離脱するなど、従業員の離職も大きなリスクとなります。チームメンバーがソフトウェア開発プロジェクトから離れると、そのスキル、専門知識、プロジェクトの背景を置き換えることが難しくなります。このリスクは、次の方法で軽減することができます。
- プロジェクトの詳細を文書化する
- 新しいチームメンバーのためのトレーニングプログラムを作成する
- 退職する従業員に移行計画を作成するよう依頼する
12. 外部リスク
また、外部リスクも考慮するべきです。外部リスクには、法律の改正、経済の変動、自然災害などの予測不可能な要素が含まれます。外部リスクを回避するのが難しいですが、それを軽減することができます。保険に加入することで、特定のリスクに備えることができます。また、ソフトウェア開発に関する法律や最新時事を常に入手しておくことことで、外部リスクが発生した際に迅速に対応することができます。
まとめ
ソフトウェア開発全体の工数や費用は、要件によって異なります。そのため、オフショアソフトウェア開発会社のような、業務を理解しているプロのソフトウェア開発会社に依頼した方がよいでしょう。これにより、プロジェクトに関わる時間、エネルギー、金銭の無駄を避けることができます。仕事を終わらせるために初心者の開発者を採用しても、プロジェクトが完了した後、望ましくないエラーが発生する可能性があります。初心者の開発者が優秀ではないということではありません。しかし、予算が限られており、リスクを負いたくないのであれば、プロの開発者に依頼することをお勧めします。
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